木下理仁(きのしたよしひと)

ワークショップ・デザイナー、ファシリテーター。中学、高校、大学、市民講座、教員研修など…

木下理仁(きのしたよしひと)

ワークショップ・デザイナー、ファシリテーター。中学、高校、大学、市民講座、教員研修などで参加型の授業やワークショップをおこなっています。著書に『チョコレートを食べたことがないカカオ農園の子どもにきみはチョコレートをあげるか?』『国籍の?がわかる本』『難民の?がわかる本』など。

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『チョコレートを食べたことがないカカオ農園の子どもにきみはチョコレートをあげるか?』

 ぼくがいままでやってきたワークショップのいくつかを疑似体験してもらうための本ができました。「国際協力」や「多文化共生」をテーマにした、いわば “読むワークショップ” です。  中学生から大学1年生くらいまでを読み手として想定した本ですが、学校の先生にも、参加型の授業をつくるうえでのヒントにしてもらえたらうれしいです。  出版社による本の紹介はこちら  https://www.junposha.com/book/b644006.html 木下理仁(きのしたよしひと) プロ

    • TAKOトークが楽しい ♪

       2020年の春、新型コロナの感染症が広がって、慣れないオンラインで仕事をやらざるを得なくなったとき、仕方なく使い始めたZoomですが、慣れてくると、これがとても便利で面白い! ぼくは、オンライン・ミーティングの楽しさにすっかりハマってしまいました。 ​ オンラインなら、自分の家にいながら参加でき、わざわざ出かけなくてもいいので、とても楽で、交通費もかからない。何らかの障害があって外出が難しい人や高齢者も参加しやすい。引っ込み思案で大勢の人の中に入って行くのが苦手な人にとっ

      • 「貿易ゲーム」から「新・貿易ゲーム」へ

         英国で「貿易ゲーム」が生まれてから20年以上経つと、世界の貿易もずいぶん様相が変わってきました。中国、タイ、マレーシアのような、かつての「途上国」が加工貿易でお金を稼ぎ、日本の企業は海外へ工場を移転させて国内の経済が空洞化し・・・。  20世紀が終わりに近づく頃、ぼくらは「貿易ゲーム」の“古さ”を感じ始めていました。  そんなとき、Christian Aid が「貿易ゲーム」の発展版である『MARKET TRADING』というワークショップ教材を出していることを知ったので

        • 『貿易ゲーム(日本版)』の誕生

           ワークショップの面白さに魅せられたぼくは、ボランティアとして関わっていた開発教育協議会(現在の開発教育協会)主催の開発教育全国研究集会で初めて「貿易ゲーム」をやらせてもらいました。1994年の夏のことです。  割り当てられた部屋がとても狭くて窮屈だったので、机とイスをすべて運び出し、参加者は全員、床の上に座ってゲームをやったのですが、ものすごく盛り上がり、会場は興奮のるつぼと化しました。  “しかけ”がしっかりしているので、ファシリテーターが慣れていなくても、参加者がどんど

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        『チョコレートを食べたことがないカカオ農園の子どもにきみはチョコレートをあげるか?』

          「貿易ゲーム」の衝撃

           ぼくが初めて体験した開発教育のワークショップは、1990年の夏、開発教育協議会(現在の開発教育協会)主催の開発教育全国研究集会の中で行われた「ソシオドラマ」でした。  参加者の体験をその場で身体を使って表現していくという手法が、とても新鮮でした。  参加者の中にたまたま青年海外協力隊でマレーシアに行き、母親を対象とした栄養指導などを行っていた人がいて、その人の話を聞きながらマレーシアの村の生活を参加者全員で身体を使って再現していきました。数人が身体を組み合わせて高床式の「ロ

          ビールのCMで、出会いと対話のデザインを考える その7(最終回)

           さあ、いよいよ最終回です。このCMの最後の部分(3:31~)を見ていきます。 ⑧ 「選択肢」が示される ⑨ 「対話」を始める  動画  https://www.youtube.com/watch?v=tdsFCgiVOdo  一緒に作業をして仲良くなりかけていた相手が、自分とまったく正反対の主張の持ち主であることを知り、気まずい雰囲気になった状態で、アナウンスが流れます。 「選択肢があります。退室するか、残ってビールを飲みながら話し合うか」  二人はそれぞれ一瞬考

          ビールのCMで、出会いと対話のデザインを考える その7(最終回)

          ビールのCMで、出会いと対話のデザインを考える その6

           さあ、こんどは⑦(5:27~)です。 ⑦ それぞれの主張を記録した短い動画を見る  動画  https://www.youtube.com/watch?v=tdsFCgiVOdo  自己開示、共通点探し、共同(協働)作業を終えて、二人はもう心の中で「この人と友だちになれそうだ」と感じているかもしれません。  カウンターの上には冷えたビール。力仕事を終えた後のビールはきっと美味しいことでしょう。  ここで、壁の高い位置に取り付けられたスピーカーから「短い動画を見せます

          ビールのCMで、出会いと対話のデザインを考える その6

          ビールのCMで、出会いと対話のデザインを考える その5

           このCMの⑤~⑥の部分を見てみましょう。 ⑤ 組み立てが終わって、それが「カウンター」だと分かる ⑥ カウンターにビールを置く  3. BRIDGE BUILDING(橋渡し)(2:30~)のところです。  動画  https://www.youtube.com/watch?v=tdsFCgiVOdo  自己開示と共通点探し、そして共同(協働)作業の結果、バーのカウンターが完成します。  ここまでくると、思わず笑顔でハイタッチしたくなるほど、二人の間には最初とはまっ

          ビールのCMで、出会いと対話のデザインを考える その5

          「演出」で授業はもっと楽しくなる

           小学校の教員研修で、『ココロ部!』(NHK)の動画「こまったプレゼント」を使ったワークショップを体験してもらいました。 こまったプレゼント https://www2.nhk.or.jp/school/watch/bangumi/?das_id=D0005130351_00000  動画を見たあと、自分の意見をワークシートに記入 → 4人ずつの小グループで話し合い → 各グループの結論を発表 → ロールプレイ → 全員で意見交換 という流れです。  先生たちがとても積極

          「演出」で授業はもっと楽しくなる

          ビールのCMで、出会いと対話のデザインを考える その4

           こんどは、このCMの③~④の部分を見てみます。 ③ 自分のことを「5つの形容詞」で表す ④ 相手と自分の「3つの共通点」を見つける  1. Q & A  「あなたを5つの形容詞で説明してください」  「私とあなたが持つ3つの共通点を述べなさい」 というところです。  動画  https://www.youtube.com/watch?v=tdsFCgiVOdo  話し合いを始める前に相手の警戒感を解こうと思ったら、大事なことは、まず「自己開示」をすることです。自分が

          ビールのCMで、出会いと対話のデザインを考える その4

          ビールのCMで、出会いと対話のデザインを考える その3

           このCMの②~④の部分を見てみましょう。 ① 何をするのか、相手が誰なのか、まったく知らずに会う ② 指示に従って何かを組み立てる ③ 自分のことを「5つの形容詞」で表す ④ 相手と自分の「3つの共通点」を見つける ⑤ 組み立てが終わって、それが「カウンター」だと分かる ⑥ カウンターにビールを置く ⑦ それぞれの主張を記録した短い動画を見る ⑧ 「選択肢」が示される ⑨ 「対話」を始める  動画の1:02~  1. THE ICE BREAKER アイスブレーカー  

          ビールのCMで、出会いと対話のデザインを考える その3

          ビールのCMで、出会いと対話のデザインを考える その2

           ハイネケンのCMの最初の部分を見てみましょう。  https://www.youtube.com/watch?v=tdsFCgiVOdo  ここで2人の参加者は、これから何をするのか、相手が誰なのか、まったく知らずに出会います。  ワークショップの「ねらい」を告げずにいきなり始めるというのは、ぼくもよくやります。  さまざまな立場の人が集まる「まちづくり」のワークショップや、組織の活動について話し合う会議では、そういうわけにいきませんが、学校の場合は、生徒はすでに教室

          ビールのCMで、出会いと対話のデザインを考える その2

          ビールのCMで、出会いと対話のデザインを考える その1

           ハイネケンのこのCM、「出会い」と「対話」を“デザイン”することの意味を考えるうえで、とても良い見本になります。 https://www.youtube.com/watch?v=tdsFCgiVOdo ① 何をするのか、相手が誰なのか、まったく知らずに会う ② 指示に従って何かを組み立てる ③ 自分のことを「5つの形容詞」で表す ④ 相手と自分の「3つの共通点」を見つける ⑤ 組み立てが終わって、それが「カウンター」だと分かる ⑥ カウンターにビールを置く ⑦ それぞれ

          ビールのCMで、出会いと対話のデザインを考える その1

          ブレイン・ストーミングのコツは「Yes, and」

           大学のオンライン授業。  アフリカのある村で「ソーシャル・ビジネスを企画する」というワークショップ。  グループに分かれて話し合う前に、ティナ・シーリグさんのこの動画を見せたら効果てきめんでした。 https://www.youtube.com/watch?v=e2V-lPmvSHs 「いいですね~そして、という風に話すことでどんどん話が広がって楽しかったです」 「特産物で餃子フェスのようなことをすればいいのではと軽い気持ちで提案したところ、Yes,andのようにみんな

          ブレイン・ストーミングのコツは「Yes, and」

          なぜ「エアなわとび」が効果的か

           ワークショップの翌日、太ももが筋肉痛になることがあります。  原因は「エア縄跳び」です。  1時間のお昼休みの後にワークを再開するときや、子どもたちを対象としたワークショップでは、身体を動かすアイスブレイクから始めるのが効果的。どよーんとした空気もあっという間に切り替わって、場が活性化します。  「簡単なウォーミングアップから始めましょう」といって参加者に大きな輪になってもらい、「じゃあ、縄跳びをやります。縄を持ってください」といって両手に縄跳びの縄を持つ格好をする。そし

          なぜ「エアなわとび」が効果的か