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熱血の落とし穴

 80年代、週刊少年ジャンプの愛読者だったことはすでに書いた。

 ジャンプといえば、「友情・努力・勝利」が有名だ。ジャンプの三大原則といわれる。

 これはどうやら都市伝説的なもので、自ら標榜したことはないようだ。

「友情・努力・勝利」というのは、あるときの読者アンケートで読者の人たちが好む単語は何かっていうので、その当時、上位に来たものだったそうです。編集会議であるとか編集部員の話の中で、「友情・努力・勝利」を重んじるべし、みたいなことが話されたことは一度もないですし。「ジャンプとは?」みたいなことも、よく聞かれたりもするんですけど、まったくことばにしてないんですよ。だから、「ジャンプ」が最初につくったポリシーがあるとしたら、「アンケート」と「新人主義」じゃないですかね。

https://www.1101.com/n/s/lin_shihei/2023-09-04.html

 とはいえ、「友情・努力・勝利」に表されるような、いわば熱血のような漫画が多かったように思う。

 SNS上でよくネタにされる「魁!!男塾」にしても、「燃える!お兄さん」にしても、「slam dunk」にしても、とにかく熱い。汗臭い。

 こうした熱血漫画に影響されて、努力することは苦にはならなくなった。それはよかったと思う。

 ただ、大人になって考えてみると、熱血には大きな問題があるなあ、と思うようになった。

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このマガジンでは、“めずらし医“である病理医の中でもレア中のレアなフリーランスの病理医からみた病理診断、医学界の話、研究者になることに挫折し学士編入学を経て医師になった者から見たキャリアの話、そして「科学ジャーナリスト賞」受賞者の視点から見た科学技術政策の話の3つの内容を中心に綴っていきます。

フリーランスの病理医兼科学ジャーナリストである榎木英介が、病理、医療業界や博士号取得者のキャリアパス、科学技術と社会に関する「機微」な話題…

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