榎木英介

一般社団法人科学・政策と社会研究室代表理事。病理専門医、細胞診専門医。科学技術政策、医…

榎木英介

一般社団法人科学・政策と社会研究室代表理事。病理専門医、細胞診専門医。科学技術政策、医療政策ウォッチャーです。

マガジン

  • インディ病理医・科学ジャーナリスト榎木英介の”機微”だんご

    フリーランスの病理医兼科学ジャーナリストである榎木英介が、病理、医療業界や博士号取得者のキャリアパス、科学技術と社会に関する「機微」な話題を語ります。組織に属しない「インディペンデント(インディ)」ならではの忖度ない意見や他では公開できない情報を惜しみなくつづっていきます。 榎木の作った“機微だんご“、うまいかまずいか。まずは試しておくんなさい。うまかったらお仲間になっとくれ。 マガジン購読すると単品購入よりお安く記事を読むことができます。

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死にたい人へ

 ある文章が私の心に突き刺さった。  この文章だ。  ああ、似てる、と思った。私自身、死のうと思ったことがあるからだ。  この件は、何度か書いているし、ツイートもしている。  他にも何個かあるが、とりあえずこくらいにしておこう。  記事はぜひ読んでほしいなと思うが、重要なことを述べている。  本当にその通りなのだ。何も見えなくなっている状態。これで全てが終わっているという絶望的な気持ち。  首にザイルをかけてから25年。「未来人」の視点から見れば、あの時のピンチ

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    • 氷河期世代が動かなかった訳

       就職氷河期世代の先頭が50代に突入し、いよいよ老後、人生の決着が見えてきた昨今。この世代が浮かばれないまま消滅することが明らかになりつつある。  なぜこれほど不遇な状態なのに、怒りの声をあげたりしなかったのか。  上の記事が指摘するように、世代内の成功者とそうでない人たちがまとまらなかったとか、まだ希望があったとか、ガス抜きされたとかいろいろあるだろう。  一応私は例外的にこれじゃおかしいと思って、実際に行動してみたが、あっという間に「鎮圧」された。  「世代間対立

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      • 国会議員を出す?

         こんなニュースを見かけた。  田中まさし議員は、自民党の比例区選出の参議院議員。日本理学療法士連盟会長でもある。  以前考察したことがあるが、いわゆる組織内候補の一人ということになる。

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        • ナポレオン・コンプレックス

           忘れられない思い出がある。  1990年代初頭だったと思う。  ラッシュ時の横須賀線。身動きが取れない状態の中…。  隣に立っていた「ヤンキー」(偏見)が、私の頭を週刊少年ジャンプの置台にしてマンガを読み出したのだ。  頭を振るもジャンプは頭から外れない。角があたって痛い。しばらく攻防が続いたが、そのうち男は降りていった。  身長162センチ(当時)というのはこういうことか…。そう思わせられる出来事だった。

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          高度知識人材がいらない国

           もう四半世紀、博士号取得者のキャリアパスについて考え続け、行動してきた。

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          「敵」は側にいる

           人というのは悲しい生き物で、他人と比較して差を意識し、嫉妬したり逆に見下したりする。  そして概ね、その嫉妬、見下しは、割と自分に近い人たちに対して向けられる。  人は差が大きい場合は怒りも嫉妬も抱かない。大谷翔平氏に嫉妬する一般人はあまりいない。

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          政策と大学受験

           最近大学受験のことを書くことが多いが、将来の選択に関わることなので、関心がある人が多いのではないかと思って書いている。  昨日も書いたが、高校生程度での進路選択は、親族やメディアなど、限られた手に入る情報に左右される。  バブル期に医学部に行って医師になる選択は、親族に医療関係者がおらず、近所の公立の学校で過ごしてきた人間には考えづらかったと言える。  よく言われるのが、東大生に人気になったらその分野も終わりというものだ。  造船なんかが有名だが、秀才がこぞって行く

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          医学部など全く考えていなかった私が医師になった理由

           今年で医師になって20年になる。思えば人生の半分弱を医師として働いていることになる。  32歳で医師になって20年。ということは52歳になっているわけだ。当たり前だが。  この20年は必死に働いてきた。  あえて初期研修で救急病院(神戸赤十字病院)に飛び込み、もまれた日々。  たすき掛けプログラムで大学病院で過ごした日々。  病理医を目指して奮闘した日々。  へき地の一人病理医としてすべての責任を負ったあの頃。専門医試験に落ちてガーンとなったあの日。  働き方

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          「コタツジャーナリスト」になる

           コタツ記事といえば、楽して書いている質の低い記事として、基本揶揄の対象だ。  Copilotに聞いてみた。  私もたまにコタツ記事を読むが、テレビ番組の内容とX上の反応を組み合わせたような記事は、安易だなあと思ってしまう。それでも読んでしまうわけだが。

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          「裁量権」とハラスメント

           年度末を中心に、年度の変わり目には大学教員の不祥事処分が多数公表される。  私はメルマガに「研究事件簿」というコーナーを設けるなど、こうした不祥事の事例を収集している。  ここ数日でも、以下のような事例が公表されている。  それぞれの事例が報道もされている。  千葉大の事例は、当事者の元教員の方がXに投稿されていた。  被害者の方が納得できる処分が出たことはとても良かった。  こうした不祥事、とくにハラスメントは、被害に遭われた方々の人生を変えてしまう深刻な加害

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          大型哺乳類の脅威

           熊の被害が深刻だ。ここ一週間程度のニュースにも、熊に関するものを散見する。  拡大する被害対策として、環境省は熊を「指定管理鳥獣」に追加した。  本州に住むツキノワグマはこんな感じの生き物だ。  北海道に住むヒグマに至っては、これを凌駕する。  こんな生き物に遭遇したら、とても正気を保てないだろう。恐怖に震え、命が助かることを懇願する。  登山者の間では、1970年に発生した恐怖の事件が脳裏に焼きついている。日高山系福岡大ワンゲル事故だ。  逃げる登山者。追うヒ

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          医学とドイツ語

           明治維新後、日本は医学をドイツから取り入れるようになったことはよく知られている。江戸期にはオランダからしかルートがなかったので、蘭学が花開いたわけだが、そんな遠慮はもうなくなったわけで、最先端の科学はイギリスかドイツからやってきた。  帝国大学にやってきたお雇い外国人の教授たちが、近代日本に最先端の科学をもたらした。そんな外国人たちの銅像が、いまだに東大構内に立っている。  医学だとエルヴィン・ベルツ、ユリウス・スクリバ、レオポルド・ミュルレルの銅像がある。いずれもドイ

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          "擬似"科学商売と向き合うには

           科学者という言葉は、なんか照れ臭い。  科学研究をやっている人なら科学者と呼んでいいのだろうが、研究者といったほうがしっくりする。  そもそも科学とは何か、というのがなかなか難しい。

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          フリーランス病理医VS常勤病理医、ほんとのところ

           フリーランス病理医になって4年が経過した。  会社設立が2020年4月3日だから、もう5年目に突入している。  いろいろなことがあった。突如の仕事打ち切り。いきなりの来院日変更。長時間移動、その他まあ、大変な部分もあったが、「自己決定権」を行使できるフリーランスは、なかなか得難いものがある。  会社といっても事業を行えているわけではなく、フリーランスの仕事の個人事務所みたいなものだ。仕事の一部、診断など医師の仕事以外を会社受託にしている。  起業というと成長しなけれ

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          東大から医学部のリアル

           受験業界では、東大か医学部か、という比較がよくなされる。  一部を除いて難易度的にとんとん、あるいは東大のほうが難しいので、どちらに行くのがよいのか、とあれこれ議論が交わされている。  概ね医学部に行ったほうがいい、という話になってはいるが、東大もやはり人気がある。東大と医学部の両方を兼ねる東大理3の人気は超絶だ。  医学には興味がない、ほかになりたいものがある、という理由で東大の理3以外に行くのは決して悪いことではない。というか、当然だ。生命科学者になりたいというな

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          人生の伏線回収

           50年以上生きていると、若い頃にはわからなかったことがちょっとだけわかるようになる。  若い頃にこだわったものは、実は大したことがないということ。  たとえば大学受験浪人は、1年程度は今となっては誤差だ。  みたいな学年主義というか、年齢主義は、我々に染みついたものだ。だから18歳やそこらでななかな「脱洗脳」できない。  昔やっていたZ会の旬報の投書欄か何かに、「浪人すると一生後悔する」などと書いていた人がいたが、そんなわけないだろ、と言いたい。  私とてまだまだ

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