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奥深い世界にハマって20年!ワインが紡ぐ出会いに感謝

ワインのプロたちは、どんな想いでワインと向き合ってお客様と接しているのか?スタッフの想いやこだわりを伝える「わたしとワイン」

丸の内店:國武 昭宏

「深遠なるワインの世界に魅了され早20年」。
 
ワインの世界でその魅力を伝え続ける國武にはあるモットーがあります。
 
それは“向上心・探求心”。
 
20年学び続ける彼にワインの魅力、そして仕事に対する想いを訊きました。

ワインがつなぐ縁

―まずはワインにハマったきっかけを教えてください。
 
20代の頃からお酒は好きで飲んでいたんですが、ただ特に何も考えずに専らビールばかりを飲んでいました。
 
そんなとき当時働いていた飲食店の先輩にワインを勧められたんです。
 
そのお店でもワインを提供していたのもあって、少しずつワインの魅力に触れていきました。
 
ちゃんと学んだらもっと楽しめるかなと思い、資格取得に向けて勉強を始めたことでワインにのめり込んでいきました。
 
―ワインの魅力というと?
 
これだけ多様性のあるお酒って類を見ないところと、8000年前から造られているという今まで脈々と受け継がれてきた歴史の重みを感じるところです。
 
こういったことを学んでいるうちにどんどんハマっていきましたね。
 
そして何より、ワインは人と人とをつなぐ存在です。
 
私自身もワインをきっかけとした出会いが今につながっていると思います。
 
―そんなワインとの出会いからエノテカに転職をしたということですね。
 
はい、当時働いていた飲食店でもワインは提供していたんですが、カジュアルなお店だったのでワインに深く携わることはありませんでした。
 
もっと直接ワインに関わる仕事をしたいと思い、エノテカに転職したのが2008年です。
 
広尾本店で4年間務めた後、一度自分のやりたいことを叶えるためにエノテカを離れたんですが、2016年11月にまたご縁をいただき戻ってきて今に至ります。
 
これも全てワインがつないでくれた縁だと思っています。

誰もが満足してくれるテイスティングを

―國武さんの業務内容を教えてください。
 
5年ほど、この丸の内店のラウンジスペースで働いていて、セミナーなどの開催や毎週末のテイスティングの企画を行っています。
 
―やりがいは何ですか?
 
直接お客様と触れ合い、面と向かってお話ができることですね。
 
そこで「テイスティング内容が良かったよ」「良い体験になった」と言ってもらえるとすごくうれしいです。
 
そういうお客様の反応を直に感じることができるのが現場のやりがいであり、逆に難しさでもあると思います。
 
全ての人に満足してもらうというのを目標にしていますが、中には「値段が高い」や「もっとこういう組み合わせが良かった」などのお声をいただくこともあります。
 
そういった声も拾って次回はより良いものになるようにと努めています。

―どのようにテイスティング内容を決めているんですか?
 
いろんな体験をしてもらいたいので、幅広くタイプ違いのものを揃えたり、その経験が何か次に生きるように意図をもって決めています。
 
闇雲にあらゆる品種を集めるというわけではなく、一つの産地に絞ったり、川の右岸と左岸に分けたり、いろんな切り口で比較を楽しめるようにしています。
 
―難しさはありますか?
 
コロナ禍以降は周りの環境が大きく変わりました。丸の内や大手町界隈はリモートワークの方が多く、出社率が下がっているので、18時以降の入店が激減してしまったんです。
 
新しいお客様にもご来店していただくために、これまでのテイスティングとは違った内容、エントリー層向けの企画を取り入れるようにしています。
 
以前はワインに精通している方が来店されることが多かったんですが、最近は客層もだいぶ広がってきて新規の方も増えてきました。
 
そういった方々をワインラヴァ―として醸成していけたらなと……なんだか上から目線になってしまいますが(笑)
 
この場所でワインの魅力を少しでも伝えていけたらなと思っています。
 
―國武さんが仕事をする上で心がけていることは何ですか?
 
「向上心・探求心を常に持て」というのをソムリエとして自分の心に留めています。
 
奥深いワインは勉強してもしきれないほどですが、さらに上を目指せるように日々学び続けています。

かけがえのないもの

―國武さんにとってワインとは?
 
自分の人生にとってかけがえのないものです。
 
あまりにも自然にそばにありすぎて意識をしていないというか、それくらい日常的なものです。
 
―普段はどんなワインを飲むことが多いですか?
 
白ワインを飲むことが多いです。厚みのあるシャルドネが好きですね。
 
普段飲むときはテイスティングのことを細かく意識して飲みません。ワインって本来はそうやって楽しむものだと思うんです。
 
なので勉強として飲むものと日常的に飲むものでは楽しみ方は違うかもしれません。
 
プロなら「こういったマリアージュで楽しんでいます」と言うのが理想なのかもしれませんが、私にとってワインはそれ以上に日常的なものすぎるので、難しく考えずにあるがままに飲んでいます。
 
―これまで飲んできて忘れられないワインはありますか?
 
綺麗に熟成したボルドーワインです。果実感がちょうど溶け込んできてそこにしおれたお花のような風味と旨味が相まった……そんな美しい熟成を経たワインは記憶に残っています。
 
例えば、1985年のシャトー・ボーセジュール・ベコ。30年熟成のものを飲みました。
 
全体の調和がとれていて、瑞々しさも備えていながら少し旨味を伴った味わいでした。
 
これを飲んだ時にボルドーワインが“ワインの女王”と言われる所以が分かったような気がしたんです。
 
よく例えられるじゃないですか、女王と。
 
もともと力強かったのが熟成によってエレガントになり、それぞれの要素のバランスが取れた1本になるということをこのワインを飲んで再認識したんです。
 
そしてやっぱりワインは奥深いなと、実感しました。
 
そんなワインの魅力を伝えていきたいからこそ、様々な面白いテイスティングを企画してお客様にも奥深い世界を体験してもらっています。
 
これからもワインの魅力を伝え続け、この場所からワインラヴァ―が生まれていくとうれしい限りです。