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心頭滅却してもちょっと暑すぎ。

本日で地蔵会の行事は全て終わりました。
夜は施餓鬼供養も行いました。
施主さまにはおつとめありがとうございました!

暑すぎるので雪の写真入れちゃおう。


この数日、大変な暑さですね。
関東の方では40度近くまで上がったところも
あったとか。

先日までは朝夕涼しくて今年は落ち着いてるかなー
などと書いてましたが(笑)

実は私、暑さと湿度には結構弱い方で
この暑さと湿気にちょっとやられ気味です。

高野山の大学生の場合、夏休みや春休みを利用して
四度加行を行うのですが
ご存知の通り冬は年によってはマイナス10度以下に
なることも多く積雪もあります。

ということで私は夏休みに加行を行いました。
夏は山上も暑いです。

現在各所でご活躍の先輩僧侶の方々がおっしゃるには
十数年前までは山上はもっと涼しくて、
クーラーが必要と思うことはなかったそうです。

確かに大学の教室や下宿、宿坊の部屋などには
ヒーターはあってもクーラーはない場合がほとんど。

さすがに下界のように40度近くになることはないですが、
それでも35度くらいまでは上がりますし、湿度も高いです。

そして、加行中着ていいのは行の時の黒衣如法衣、
掃除などの作務の時の作務衣、寝る時のパジャマのみ。

さすがにパジャマは洋装なのですが、
日中最も長時間着ている僧衣はもちろん和装。

下着、襦袢、白衣、黒衣、如法衣をつけていますから
都合5枚重ねになっています。

つまり、暑い!重い!

この状態で食事や行、伽藍や奥之院参拝をするので
汗もかきますし、暑さや疲れで朦朧とすることも。

加行中は一日に3座の行法を行います。
朝暗いうちに一座、午前中に一座、午後に一座。

午後の一座は暑さがこたえてくる座でもあります。
特に護摩の時は(笑)

心頭滅却すれば火もまた涼し、という言葉は
もともとは中国の漢詩から来ているそうですが、
有名になったのは戦国時代の禅僧、快川紹喜の
故事によります。

この方は武田信玄に招かれて、武田家の相談役や外交僧を
つとめられた臨済宗妙心寺派の僧侶。
正親町天皇からは大通智勝国師という国師号を送られ、
恵林寺で信玄公の葬儀の導師をされた高僧です。

武田氏の滅亡後、信長に敵対した人々を
恵林寺に匿ったこともあってか、
織田信長が快川紹喜のいる恵林寺に火をかけた時、
この言葉を述べて身を火に投じたとのことです。

禅の公案を集めた碧巌録にもあるそうですが、
もともとは杜荀鶴の詩「夏日悟空上人の院に題す」の言葉。
快川師はこの第3、4句を辞世とされました。

三伏閉門披一衲 さんぷくもんをとざしていちのうをきる
兼無松竹蔭房廊 かねてしょうちくのぼうろうをおおうなし
安禅不必須山水 あんぜんかならずしもさんすいをもちいず
滅却心頭火自涼 しんとうをめっきゃくすればひもおのずからすずし


暑さの厳しい三伏の時期にも悟空上人は門を閉ざして
僧衣をきちんと着ている。
この院には建物をおおってくれる松や竹もない。
安らかな禅の境地を得るのに必ずしも山水の地を必要としない。
暑いと思う心を消し去れば、
火でさえ自然と涼しく感じられるものである。

という意味。

なんとなく禅宗のお坊さんが言いそう、と思ってたら
やはりそうでした(笑)

炎暑を煩悩や禅の境地を妨げるものに喩え、
そこから離れることを教えています。

三毒のうちの瞋恚も身を焦がす熱として表現されることが
多いです。

行法や瞑想によってある程度心が静まると
確かに涼しい感覚があります。

ですが、熱中症で搬送された方の多くが、エアコンを使わなかった
理由を説明するときこの言葉を使われるとか。

解決する方法があるのなら、迷わずそれを使った方がいいです。

最優先で考慮するべきなのは何、と考えること
自分に対する慈悲を忘れないことで
我が身をよりよく保ってくださいね。


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