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「蹴球学」を読んで:言語化と用語化

レオザ・フットボールさんの蹴球学を読みました。

YouTubeで小澤一郎さんと木崎さんが対談に参加していて、結構褒めてたのでそんなにすごいのか?と思って期待を膨らませて読みましたが、ちょっとこれは冷静にならないといけないな、と思い止まりました。
(木崎さんは構成担当なので宣伝するのは自然ですが)

書籍で書いている理論は以下の八つ、確かに言いたいことはもっともですし、良いことを書いてありますが、あまり揚げ足を取りたくないけれど、理論という割には小さいものが多い印象は否めないです。しかも、トゥヘルはバイエルンで4バックですし。

◽️正対理論
◽️ポイント論
◽️サイドバックは、、、
◽️アピアリング
◽️ファジーゾーン
◽️トゥヘルシステム
◽️プレパレーションパス
◽️同サイド圧縮

おそらく小澤さんが書籍を賞賛したのは、やや不明確だったことを細かいことまで言語化したからだと推測します。それすらままなかった日本サッカーの指導者、解説者の言語化欠乏からすれば大きな進歩で、意義はあると思います。

ただ用語化と言語化を区別するなら、世の中的に解説者を通じて既に何らか言語化されているものも既にあり、書籍の中で用語化されていますが、本当に必要か?思うものはあります。

とするならば、用語を作ることが目的ではなく、サッカーファンに考え方が広まることが大事ですが、これらはそれにあたるのかどうなのだろうと。小澤さんの動画はこれらの用語は一つも使われないけれど実に分かりやすいですから、言語化と用語化の使い分けは大事だと本を読んで学びました。

として見ると、原理や原則はサッカーの攻撃はいかにあるべき、守備はいかにあるべきか、その上でどのような潮流があり今はどういうコンセプトに基づくか、、という流れで書かなくてはいけないはず。

その点では岡田さんが書かれた岡田メソッドの方が的確で深みがあります。比べるものではないといえばないのですが。

もし改めて本を書いてもらえるなら、プレーモデルのカタログを作ってくれたらと期待します。かつて『プレーモデルの教科書』という本が出ていますが、それを使ってプレーモデルを定めたという話はあまり聞いたことがありません。だとすると、保持と非保持、それぞれの構え方やポールの奪い方、ゴールへのボール運びのプロセスなどを構造化して、選択式(カタログやメニューのような形)でモデルが作れるように語ってほしいなと。

と、別の人にもし戦術本を誰かに書いてほしいかと聞かれたら、林陵平さんですね。解説者としての経験と、東大サッカー部の監督を終えた今、経験を踏まえてまとめて欲しいと思います。

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