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カーネルサンダースになろうとする男「テリー伊藤」

演出家「伊藤輝夫」

世間一般において「テリー伊藤」はもはやタレントであり、コメンテーターと言うのが大方の見方であろう。最近では「から揚げの天才」をプロデュースしている人という認識だろう。しかし、私にとっては違う。テレビ業界への誘いをもたらし、人生において多大なる影響を与えた演出家「伊藤輝夫」である。蛇足であるが、伊東四朗さんの本名もまた、「伊藤輝夫」であることはあまり知られてはいない。

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水道橋博士からの助言

実はかねてより、懇意というべきか、その仕事ぶりに心酔してきた一人である「水道橋博士」さんといろいろと接する機会に恵まれた。若い読者は知らないだろうが、テレビ東京の「浅草橋ヤング洋品店」において浅草キッドと私が所属していた制作会社ロコモーションは蜜月の関係にあった。



制作会社ロコモ―ションといっても業界関係者でなければ全くの馴染みのない会社だろう。簡単に言えば、テリー伊藤こと、伊藤さんが代表取締役を務める制作会社であり、数々の優秀な放送作家(そーたに、おちまさと、田中直人、都築浩、村上卓史、堀江利幸、酒井健作など)や腕利きのディレクターを数多く生み出してきた制作会社である。と書くと響きはいいが、一方で志半ばで去っていった若者の数は数知れず。当時のテレビ業界が「ブラック業界」そのものであるとすればその頂点に君臨する「超ブラック企業」こそが「ロコモーション」であると言っても過言ではないだろう。当時からADはすぐに逃げ出すために常に人手不足。(ある時は車を運転中のADが信号で止まった瞬間に逃げ出す、こともあった。)面接では、表向きの社長Sさんによる面談だが、その内容は大概が雑談であり、大事なポイントは二つのみだ。


「日本語で会話がきちんと出来ること」
「普通自動車の免許証を持っていること」

これのみだ。非正規社員、いや日雇いでももうちょっと聞くことがあるだろう。あとはせいぜい「明日から来れる?」ぐらいだろうか。それぐらい敷居の低い会社と説明すれば、通じるであろうか?ある意味、社会における更生施設とでも言うべき輩がそろう。そして数年も持ちこたえたものはどこへ行っても重宝されるディレクターとなり、会社を去っていくのが会社の倣いでもある。ある意味で学歴など一切関係ない逆転人生のチャンスを与えてくれる会社がロコモーションである。


これまた、蛇足ではあるが
あえて分かりやすく、その常識の枠を超えた一例を説明するのなら
ロコモーションからの暖簾分けの如く、独立果たし成功を収めたのはソフトオンデマンドの「高橋雅也」こと「高橋がなり氏」である。ちなみにソフトオンデマンドでの成功の前は、ゴルフショップ、中華店店長(浅ヤンで活躍した金萬福が料理長)を経てという経歴を持つ。

「自衛隊のPKOに派遣される方が楽」とまで揶揄されるロコモーションの放送作家として長らく仕事をしてきたから私だからこそ、他方、たけし軍団に身を置き、芸を磨いた博士さんに懇意を抱かないわけがない。

そんな博士さんから「小説・テリー学校」を書くべきとの言葉をいただく。
このような言葉をもらって、心に火がつかないわけがない。世間からの「テリー伊藤関連記事」へのYahooのコメントを見るたびに「まあ、そうかも」という思いもあるが大概は「そうじゃないんだよ!」と声高に叫びたい時もある。

テリー伊藤には「ゲッペルス」がいない

ある程度の年配のテレビ業界関係者ならば、「テリー伊藤」がどれほどの演出における発明をし、「元気が出るテレビ」⇒「電波少年」⇒「イッテQ」「鉄腕DASH」という「ロケ体質」の系譜を作ったかを知っているだろう。「ロケで体を張り、スタジオよりもVTR!」「言葉が分からなくても、画を見れば面白い!」というそれはいわば、「今日、来日したばかりのイラン人を笑わせろ!」とというテリーイズムそのものである。そんな伊藤さんには「ヒトラーにおけるゲッペルス(宣伝相)がいない!」という欠点を私自身、知っている。

これはひとえに、伊藤さんが照れ屋だからではないかと思っている。これまで数々のインタビュー、連載を抱える中で自分の仕事については多少なりとも語るが、「自分が褒められる」ことを異常なまでに避けている。かつて細木和子全盛の時代に、番組のゲストのオファーが幾度となく来たがひらすらに断り続けていた。その時、「俺は褒められたくないよ。」と伊藤さんはつぶやいていた。褒められると相手をいじりにくくなり、照れ笑いを浮かべる自分の姿を殊更に嫌っていると思われる。

このことを諸先輩方は知っているからか?伊藤さんにはゲッペルスがいない。これは私自身もそうであるのだが、伊藤さんの門下生は「伊藤さんに褒められる作品」を作ることが最大の恩返しではないかと思っている。「クリエイターたるもの、いつか巣立つ」という考えを多分、伊藤さん自身持っている。自分がかつて在籍した制作会社IVSから独立したように。

「小説・テリー学校」の行方

博士さんからは「まだ、伊藤さんは生きている。」という言葉もいただいた。これは「聞きたいことを本人から聞ける環境にある。」という意であり私の今の立場なら、インタビューに応じてくれる可能性もある。それによって伊藤さんから学びを伝えたい気持ちもある。一方で「まず、褒められる作品を作れよ!」という思いもある。思いは逡巡する。

ひとまず、今回、YouTubeのfoodots.において築地の「丸武」と「から揚げの天才」へ取材をした。どうやら伊藤さんは今、「カーネルサンダース」になろうとしていることだけは分かった。かつてTBSのビビットで共演したオリエンタルラジオの中田敦彦さんに対し、「無精ひげ、生やしてるとコメンテーターとしてはダメだよ」と助言したことで、すぐさまあっちゃんは髭を剃ったのは、知る人ぞ知るエピソードである。そんな人が今や白いひげを蓄えている、「チキン(から揚げ)」「人形」「白いひげ」「65歳を越えてからのFCビジネス(伊藤さんは現在71歳)」どう、考えてもカーネルサンダースだろう。まだ、金持ちになりたいのか?そう、思いつつも制作会社の経営者として自分の稼いだ金を社員の給料に回していた姿を知るだけに「どうぞ!伊藤さん!儲けてください!」と叫ばずにはいられないのです。そんな思いをひっくるめた動画で確認していただきたい。

#テリー伊藤 #foodots . #学校



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