昨日の土曜は夕方18時になっても、晩御飯を作るの面倒くさくて仕方がない。三時すぎに小腹が減ってこっそり近所の蕎麦やさんで生ビールと海老天とすだち蕎麦を食べたせいなのは分かっているけどそんなことは言えないし。

具合悪いふりして夫に任せようかなあ、ウーバーイーツは高いしゴミが増えるしなあ、などと決めきれず、文字通りソファでゴロゴロしていた。すると、なんということでしょう、夫と子供達が「SAND LANDを映画館に観にいってついでにサイゼリアに行きたいんだけどいいかな」、と言い出してくれた。私はもう出かける気分じゃなかったので、「3人でどうぞどうぞ行っておいで私のことなんて気にしなくて大丈夫よ楽しんでらしておほほほほ」とにこやかに送り出す。「晩御飯の下拵え？いいのいいのそんなの明日食べましょう！大丈夫よ冷蔵庫に入れておけば（ニッコリ）」と。

３人が出ていって玄関扉が閉まると嘘みたいに生きる気力が湧いてきた。Netflixで保存リストに長いこと入っていたゾン100のアニメを6話（リリースされている分全て）をテレビ画面で再生しながら、いそいそと一週間分のアイロンがけをする。さらに山形から届いた桃をひとりでまるごと一個分、クリームチーズを塗った全粒粉入りクラッカーに切ってのせてソファで食べて晩御飯とした。そうだった、私は別に毎晩まともな食事なんてしたくないんだった、子育てしてるせいで危うく勘違いするところだったぜ、と思いだし、思いがけずハッピーな土曜夜となった。（22時頃、子どもたちも大変満足した様子で帰ってきた。彼らはサイゼリアが都内で一番いいレストランだと思っている。私の教育の成果だ。）

前置きが長くなったけどゾン100のあらすじ。

主人公の体育会系男子アキラが長年憧れていたTV業界に就職するものの、ものすごいブラックでゾンビのような働き方を強いられる。そうこうするうちに、謎の疫病が流行り、多くの人がゾンビ化してしまう。ゾンビに噛まれた人はゾンビになってしまうので、感染者は増える一方。どんどんと都市機能は麻痺して行く中、生き残った人たちは恐怖におののきパニックとなる。一方でアキラは「もう会社に行かなくていいんだ！」とこれを好機とみなし「ゾンビになるまでにしたい100のこと」をリストにして実行していく。

「○○しないで死ぬなら、ゾンビに食われたほうがましだ」というセリフが繰り返されて、もともとは臆病だったアキラが長年の想いを晴らしていくのが痛快でもある。好きだった人に告白したり、朝からビールを飲んだり、親友に会いに行ったり。

テーマ。

命は短いからやりたいことをやろう、大切なひとには好きだと言おう、というテーマはきっと昔からあって、ちょっと前に見た黒澤明監督原作、カズオ・イシグロリメイクのリビングもとても美しい映画だった。

バケツリストを更新したくなる。

ゾン100では、普通ならゾンビになる疫病がただの不幸として描かれそうなのを転機として逆転させているのが面白い。そしてゾンビにならなくても、社畜になってしまったらゾンビと同じだよね、という意味もあるのだろう。末期がんとか交通事故とかで人生の短さを想起させるよりブラック労働をさせられていると感じる若者も共感しやすいのかも。

そしてこれを見るとバケツリストを書きたくなると思う。私もひさしぶりに更新をした。香川うどん旅を完了とできたのが小さな勝利。

私もプチゾンビ。

自分の状況を振り返ると、労基法的観点で言えばどの基準に照らしても多分ブラック労働ではないけど、ホワイトすぎて眩しくて逆に仕事のストレスが高く、生存のために心を殺しているなと感じることがそれなりにあるので私もプチゾンビだ。そして最近は親の足が悪くなったりしているのを見るとあと何年元気でいられるかな自分は、とも思う。ゾンビ入りは意外に近いのかもしれない。

リスクを取って試行錯誤しながら何かを作っていく、ということについて、変な話だけど閉経前に始めないといけない焦燥感みたいなのを感じる。もちろん、80歳プログラマーおばあちゃんもいるわけだし、いくつになっても人間の挑戦に不可能はないのだけど、私の場合は一度消えた火を起こすのに難易度があがりそうだ、という意味において。土曜夜の家族の夕食作りが面倒になるくらいのダメ人間には、頑張れない場面がたくさんあるから多分急いだほうがいいのだ。

ゾンビに食われる前にやること。

私は金沢で古民家を買いたいと、うわ言のように一年前くらいから言っている。しばらくぶりに気に入りそうな物件が出てきた。次の週末はそれを見に行って購入を検討する。なぜ縁も縁もない金沢に？とか、そのお金子供の教育費にあてたらいいのでは？とか色々頭の中にツッコミはやまないのだけど、多分やらずに死ぬくらいならゾンビに食われたほうがまし案件なので、前のめりで検討してこようと思う。

あなたもゾン100を見て、バケツリストを、更新してみませんか？