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詩を読むこと

詩人の伊藤比呂美の本を読んでいたら「どうしようもなくなったら詩人になりなさい」とあった。瀬戸内寂聴さんも「小説家になりなさい」って言うらしいから半分冗談だと思っている。

それぐらい生活が大変だった時代、アートに生きることは無頼だったと思う。今回、好きな詩についてちょこっと書きたいなって思ったって、つい、調べ物をしたら、作品と作者の人格は違うと頭の中で強調しないとならなかった。でも、調べていくと、与謝野蕪村の有名な俳句の舞台が分かってより深く感じられたり、中原中也について初めて知ったことがあったりした。

小林秀雄との経緯は白洲正子さんの本を読んで知ってはいたが、それを描いた曽根富美子さんのマンガ「含羞(はじらい)わが友中原中也」を試し読みしてアートに生きるすさまじさが絵の自在な変化でえがかれていてすげえなって思ったりした。内的な世界に生きるという事は生活を見捨ててしまうという事で。それとの葛藤が詩を生み出すように思う。

私たちがなぜ生活だけで満足できないか。人間っていうのは厄介なものなのか。どんな形でも空想の世界が必要か。洞窟のなかで書かれた豊穣の象徴としての動物たち。闇の中で夢見ることで私たちは死と隣り合わせだと知ってしまった生を生きていく


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