夏の詩

六花亭札幌本店の庭を眺めつつ。

詩「花のかず」/岸田衿子

ひとは行くところがないと
花のそばにやってくる

花は 咲いてるだけなのに
水は ひかっているだけなのに

花のかずを かぞえるのは
時をはかる方法
ながれる 時の長さを

ひとは 群れからはなれると
花のそばにやってくる

花は 黙っているだけなのに
水は みなぎっているだけなのに

 🥀🥀🥀

詩集「いそがなくてもいいんだよ」

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この頃の古本

日常ネタでいろいろ書きたいこともなくはないのだけれども、全体のバランスを考えて結局は本の話。

7月は金額的にいうと過去最大級に本を買っていた。ちょっとぼかしていうと、家賃の倍額近く……。

買っちまったものはしょうがないし、生活も逼迫しているわけではないけれど、さすがにやり過ぎたかなという気もしている。

で、先月買った本の中にこんなものがある。

夏目漱石『吾輩は猫である』の、一番最初の大きい

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汚れっちまった悲しみに……/中原中也/童話屋 読んでます。中原中也の詩は心の暗くて痛いところに染み入るようでじゅんときます。島田光雄さんの装幀もgood。

歌ふことしかありはしない

これも、いつか書いた中原中也についてのエッセイなので載せておきます。

二人は、八幡様の茶店でビールを飲んだ。夕闇の中で柳が煙つてゐた。ビールを一と口飲んでは、「あゝ、ボーヨー、ボーヨ―」と喚いた。「ボーヨーつて何だ」「前途茫洋さ、あゝ、ボーヨー、ボーヨー」と彼は眼を据え、悲し気な節を付けた。(小林秀雄「中原中也の思ひ出」)

明治40(1907)年に詩人中原中也は生まれた。

中原中也といえば、

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悲喜こもごも

1つの記事にするほど詳しくないけど気になることを、まとめてみた。



この世界は、瞳の色を構成するメラニン色素によって見え方が違っているそうだ。

犬には、この世界は全体的にピンクかがって見えているそうだが、それもメラニン色素のせいなのだろうか。

(ちなみに、犬が見ている世界の話の出所は、清水玲子の漫画『秘密ートップ・シークレット』だ。情報の出所は、だいたい漫画か小説かアニメだ)



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わが喫煙

おまへのその、白い二本の脛が、
      夕暮、港の町の寒い夕暮、
によきによきと、ペエヴの上を歩むのだ。
      店々に灯がついて、灯がついて、
私がそれをみながら歩いてゐると、
      おまへが声をかけるのだ、
どつかにはいつて憩みませうよと。

そこで私は、橋や荷足を見残しながら、
      レストランに這入るのだーー
わんわんいふ喧騒、むつとするスチーム、
      さても此

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兄と弟(テと手)

わたしの ては、
たくさんのことが できます。
なかでも、いちばん すてきなのは、
わたしの ては、ほかのひとの てを
にぎれる ということ。
ジーン・ホルゼンターラー「わたしのて」

かなしければ
抱きしめてもらおうとひらき、
うれしければ、
拍子うち、舞いおどり、
怒りは、そのいきおい、
そのとんがりのまま、とんできて、
楽しさはぜんぶ、
ちいさなその手につかんだものから
生まれてくる。
その

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00:00 | 00:30

※試聴版です。オリジナル版(01:35)はマガジン購入すると視聴できます。

中原中也の第2詩集「在りし日の歌」。
「在りし日」は「過ぎ去りし日」という意味。副題に「亡き児文也の霊に捧ぐ」とあるように亡くなった子供への追悼を込めて編まれています。
今回の「小見川千明のお気楽文学サロン」では「六月の雨」を朗読します。
とてもリズム感も良い名作だと思います・・・ぜひお楽しみください。

※「小見川千明のお気楽文学サロン」が供する画像、音声等を、権利者の許可なく複製、転用、販売な

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中原中也

だいだい色の夕日が窓を抜けて、部屋に舞う埃を天の川のように照らす。

中原中也の詩は、そんな感じになる。

胸の中で曲線が重なって、そら豆みたいな器ができる。けっこうそれが胸に突っかかる感覚になる。
そこに、トロンとした液体がこぼれ落ちる。

中原中也の詩は、そんな感じになる。

#中原中也 #詩 #感覚 #エッセイ #コラム