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スパークリングゴールド色のねずみ6(完結)

スパークリングゴールド色のねずみ5



自分にはもう、引き寄せや創造する力はないのだと長らく絶望してきた。

3次元への怒りがそれを邪魔していたことには、あまり気づいておらず、ドゥーガル氏の目の前でそれを突きつけられたのちに、色々振り返りながら、なぜそれが怒りに変わった理由のことなどを考えていた。

とても平たくいうと、3次元的な愛(自己愛や、お金、物質的な豊かさ)をいちもくさんに創造しようとした最初のころ、その世界のなかで陰湿なイジメみたいなのに遭ったのだ。

でも誰にも言えなかった。そんなことを口にしたら、カッコ悪いとただそう思った。

見せかけの愛を怒り交じりの正義感で暴くことは、もうひとりの自分との戦いで、結局死に際までわたしは、それがただの自分の被害者意識なのかもしれないと、最後までとことん自分のことを疑い続けるしかできなかった。

その日スタッフ兼友達の1人に迎えにきてもらい、ドゥーガル氏のセッションのことを話しながら、そんな経緯も含めてこれまで起こっていた色々な裏のこともぽつり、打ち明けると、彼女はさめざめ泣いていた。


「そんなことつゆとも知らず、どれだけ孤独だったろうに」と理解が生まれ、ひとりで黙々と抱えてきたことは、その時点で役目を終え、浄化されたようなそんな気がした。


「世界に出て行く」というアファメーションの元、必要な手放しと許しを行っていく。
自分の喉元から外にでるときに、詰まった声とともに突きつけられた、わたしの醜い怒りの正体は、巨大な岩のイメージで表れ、それをなんとかすべて洗い流した翌朝。


なにもかもが時効。

ワークを終わらせるために20分のタイマーをセットして、少し足が出て携帯の音が鳴る。

嗚咽とこぼれきる直前の涙をぬぐい、ホテルのソファから天井を見上げた。


わたしは、腐っても、ゴールド。

23分でわたしはそれを終えた。





ところでわたしはビュッフェが大嫌いで、一流ホテルのビュッフェもどれだけ豪華でも普段めったにつけない。

なぜか今回、たまたま気が向いて朝食つきの部屋を予約していたら、嫌いなビュッフェではなくコースで、朝から嬉々として素敵な時間を過ごした。量も内容もあんなにセンスの良い朝食は、いまだかつて見たことがなかった。

出張中、会う人会う人と最高の時間を過ごし、笑顔は耐えず、そういえば忘れていたけどホテルの部屋は無料アップグレードされていた。

翌日八王子のFMラジオと約束をしていたのだが、なんども予定変更をし、最終的に2時間半約束の時間が遅れたため、すでに先方から返事は来ていなかった。

なにもかもうまくいかないだろうと思ってイライラ絶頂のまま、都内から1時間半、乗り間違えること二回、外気温38度、生理2日目、駅から徒歩20分中15分上り坂にて「遠すぎる。」「暑い。」「死ぬ。」「帰りたい。」「暑い。」とぶつくさぶつくさ友人に愚痴りながら同伴してもらい、2時間遅刻し、ほぼアポなしで向かったFMラジオの方との約束は、想像以上に好感触だった。

遅刻したせいなのか代表の方と直接話ができて、長らくラジオを夢見ては夢打ち砕かれてきたこの1年半に、希望の光を射した気がした。


長らくの憤りに終止符を打ち、3次元でものごとを創造する、ということが「できる」ということを思い出し、
「そりゃできるわ、全米トップのサイキックがそう言ったんだから。」と妙な確信が内から湧いてくるのをじわじわと感じてゆく。

自分が助けを求めるときにつまづいてきた部分や、スタッフへの信頼、チームで何かをするという部分へも、確かな指針を与えてもらい、ひとつづつ、音を立てて何か詰まっていた部分が抜けていくのがわかった。

泣き暮らしつづけ大好きだった人との別れは、涙を出し切るごとに、ゆるやかに癒されていくのがわかり、次第に元々の愛を思い出していった。
今後また、もう二度と会えないことになったとしても、ただ優しい気持ちで彼を思うことができるような感覚がこくこくと、戻ってくる。


そういえば東京出張のすこしまえ、彼に別れを告げた日に、クラゲアプリを4つほどダウンロードし、彼の名前をつけて育てることにしたクラゲは、1センチから2、5センチに成長し、ときどき「お腹がすいて死にそうです」と通知がくる。
帰りの新幹線のなかで、クラゲの水槽の水を変えていたら、若い女子なら誰もが知っているであろう20万部級の雑誌の、悩める女性に向けた企画で私の活動を紹介したい、とオファーが来ていた。


くすんだドブネズミの遅刻上京から、帰還までの2日間。
ちょっとっていうかだいぶ疲れたけど多分、金粉の残りを名古屋駅あたりに撒き散らしながら、大好きだった彼と駅ナカで手をつないで帰るところを想った。

それはそれは大好きだったその大きな手で。



おわり。






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(*^o^*)

<あとがき。>


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