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カセットプレーヤーAUREX AX-W10Cを買った

先週19日、東芝の古のオーディオブランドAurex(オーレックス)が新たにリブランディングして、令和のこの時代に完全新作のカセットテーププレーヤー3種を発売することを知った。

上のブランドサイトにある通り、いずれも白またはクリアを基調とした、ポップで親しみやすいデザインのもの。Aurexとしては近年もクラシックなタイプの、いわゆるラジカセが出ていましたが、それとは一線を画す思い切ったラインナップ。わたしはこの中では、特にスピーカーのないシンプルなプレーヤーAX-W10C (Walky)が気になって、さっそく購入しました。

「ちょうどいいカセットプレーヤー」を探して

レコード、カセット、MD、CDと人それぞれ思い入れの深い音楽メディアというのがあると思いますが、わたしにとってはそれが小・中学生時代から親しんだカセットテープ。いまだに自宅にはラジオのエアチェックテープや、レンタルCDからダビングしたゲームミュージックやダンスミュージックのテープ、高校生のころに自作曲を録音したテープなどが、けっこうな量そのままになっている。ただ、古いラジカセはみんな処分してしまって、プレーヤーがないから聴く手段もないという状態でした。

カセットメディア、ここ何年かまた人気だそうだし、別にプレーヤーが絶滅したわけでもない。その気になれば大手家電メーカーから出ている適当なものを買えばいいんだけど、いざ探すとなんというか…「ちょうどいい」ものがない。CDはCDで再生環境持っているし、ラジオもついてなくていいし、スピーカーもお気に入りがあるから、置き場所をとるような昔ながらのラジカセのかたちじゃなくていいんですよね。というか今ラジカセって日本語で操作パネルの文字が大きく書いてある、要するにご老人向けの商品なのだ。

で、ラジカセ以外で探すと、たとえば輸入メーカーもので敢えてレトロ風デザインにしましたみたいな、一見おしゃれなカセットプレーヤーもあるにはある。でもなんか、これも現物を見ると異様に安っぽくて不安になる。実際、何年か前にこの手のものを買ってみて、あまりにもヒスノイズがきつくてまったく使えなかった経験から、せっかく今になってまたプレーヤーを買うなら、それなりにいい音で聴けないと意味ないと思うようになりました。

もう少しちゃんとしたものを、と思って調べると、フランスのB-1000EWWe Are Rewindという選択肢もあって、機能的にはまさにこういうものが理想。でもちょっと高いし、店頭などで実物を見る機会もなくて、二の足を踏んでいました。

そこへ飛び込んできたのがこの東芝の新しいやつ!

初報ではこの、三角錐を横倒しにしたようなスピーカー付属のモデルも小さくてかわいいなと思ったんだけど、こちらにはヘッドフォン出力(ステレオミニ)がついていないので、Walky (W10C)のほうにしました。今後、ラインでオーディオインターフェースに繋いでカセット音源をデータ化したりもしたいので。そういう用途でなければR10Cのコンパクト感はかなり新しくていいなと思います。

かわいいWalky

ビックカメラで購入。わりと人気らしく、発売日後の週末を経ていくつかの店舗では品薄になっているようでした。にしても、通販限定とかでもなく量販店で普通に買えるのは安心感がある。付属品は給電用のUSB TypeC-Aケーブルのみ。電源アダプタはないので、適当なUSB-Aコネクタに差して使えます。単三乾電池2本でも動く。

AX-W10/AX-W10Cに与えられたWalkyという愛称は、かつて展開していたポータブルプレーヤーの愛称で、その復活もファンには熱いらしい。わたしはWalkman派なので知らなかった。ボディの白い部分は全体的に梨地加工になっていて、最小限チープに見えないような工夫はされている。カバー前面がクリアプラスチックなのがW10Cのほうで、わたしはこっちにした。

カセットを入れてみるとこんな。かわいい! レコードもそうだけど、せっせと駆動系が回転して音楽を鳴らしている様子を見ると不思議と高ぶるものがある。

肝心の音に関して、個人的にはまったく問題ありませんでした。そもそもの手持ちの音源の音質がさほど良くないというのもあるけれど、以前安物のプレーヤーで気になったヒスノイズや音の薄さは感じなかった。記憶の通りに鳴る。聞くところによると、どうも内部メカに関しては先に挙げたB-1000やWe Are Rewindとほぼ同一なのではないかという声がネット上にもあり(確認できる限りでパーツの外見がほぼ同じ)、いずれも実質的に中国のどこかのメーカーのOEMなのではという気がします。

Bluetooth送信も簡単で、本体裏のボタンを押すとLEDが点滅するので、その間に受信するスピーカーなりイヤフォン側でペアリングすればよいだけ。カセットテープの音源をBluetoothスピーカーで聴くの、なんだかオーバーテクノロジーのような奇妙な感覚です。

W10にのみ「バーチャルサラウンド」機能が搭載されている。本体側面にオン・オフスライドスイッチがついているわけだけど、まともなスピーカーかヘッドフォンを持っていれば必要ないと思います。音的には全体のフォーカスが上にずれてヴォーカルなどの中高域が不自然に強調される感じ。個人的には蛇足かな。

一応ライン入力(AUX)とRECボタンがある。今回、手持ちの古いアーカイブを聴くことがメインで、まだ録音は試していないけれど、あまり録音時の音質は良くないみたい。もしまたミックステープなどを作ってみたくなったら、それはまたそれで音のいいダブルデッキとかを探したほうがいいのかも。

上の動画はBluetooth再生している様子を録画したもの(再生開始までが遅いのは単にテープ端の空白部分があるから)。中学2年生のころ、少ない情報のなかFMラジオでユーロビートなどのダンスミュージックを聴き漁っていた。今聴いても未知の音楽との出会いが鮮烈に蘇る。

カセットテープ、音質は不完全だしテープ巻くのも不便だけど、改めてこのメディアにしかない手触りの良さがあるなと感じます。まさか令和になって穴に指突っ込んでぐるぐるする日が来ると思わなかった。こういった、今のニーズに即した必要十分の、しかもかわいいプレーヤーが税込7,700円とかで買えるのはありがたい。ぜひたくさん売れてカラバリなども出てほしい。おすすめです。

そんなわけで、わたしはこれからしばらく、伊集院さんの深夜ラジオを録音したやつ3年半分(1999~2002年)を聞いて過ごそうと思います。

なつかし!

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