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ピューロランドの地下がクラブだった話

日曜、十数年来の音楽仲間であるkokouさんとフミアキさんを招いて自宅でVR体験会をした。ちょうどこの土日に「SANRIO Virtual Fes」というサンリオピューロランド主導のバーチャルライブ企画があり、いい機会なので行ってみましょうという話に。どういうイベントなのかというのは下記参照。

自分は、VR機器とゲーミングPC環境は既にあるものの、去年から今年にかけては特に引っ越しなどの環境変化に追われて、いまだ本格的にVRChatなどには潜り込めていなくて、これまではせいぜいVKetとかに一人で行って空気になって展示を楽しんだりする程度でした。トータルプレイ時間は10時間にも満たないかもしれない。そんな具合なので、当初はとりあえず事前販売の有料エリアのチケットは買わずに、無料エリアの体験だけ覗ければいいかな、くらいのテンション。

まんま多摩センターにあるサンリオピューロランドの入口を模したエントランス

VRクラブカルチャー・ニュービー

わたしも一応長いことDJをやっているので、VRで広がりつつあるというクラブ文化にはもちろん興味があって、それこそSHARPNELさんがVRへ行ったのだとか、GHOSTCLUBという謎のクラブがあるのだかというのは断片的には聞き及んでいて、そのうえで事前に紹介してもらったVRChatレイヴシーンを取り上げたショートドキュメンタリーを観たりもしていました。

で今回、サンリオバーチャルフェスの地下5階のクラブエリア、「ALT3」のディレクションをGHOSTCLUBの0b4k3さんが担当されるというので、俄然気になった。サンリオ、何年かまではリアルピューロランドでもオールナイトのDJイベントをやったりとか攻めた企画があるとは知ってたけど、そこまでVRに乗り気なんだ、みたいな。それは見てみたい。

入口からしてすごい

時間になって会場へ行くと、まあ上のフロアはサンリオのイベントだから、お馴染みのサンリオキャラクターがポップな舞台で歌って踊ったりしているわけですよ。無料開放されているB4でもちょっとしたミニライブがあったり、記念撮影とかトランポリンだとか、趣向を凝らしたVRChatらしい仕掛けもあったりして。有料フロアのB2、B3に対して、いわゆるオンラインゲームのロビーみたいなゆるっとした雰囲気に懐かしいものも感じる(ドリキャス時代のPSOを思い出した)。

対して、B5フロアはまずワールドへの入りかたから異なる。18時半にイベントのDiscordでワールドへのリンクが解放され、そこから先着順で決められた定員だけがインスタンスに入ることができるのです。

地下5階までエレベーターで降りる体になっているんだけど、正面を向くと小ぎれいなホールから一転、薄暗い蛍光灯で朧に照らされた通路の先はいかにも怪しげな雰囲気。パーティーのフライヤーが無造作に落ちていて、突き当たりには赤い非常灯の点いた武骨な作業用エレベーターがある…。

どこへ連れていかれるんだ

作業用エレベーターで降りた先、通路を抜けると廃坑を魔改造したような吹き抜け空間があって、そこがまさにクラブのフロアになっているのでした。正面にDJブースのあるステージ、奥に縦に長い巨大なスクリーン、フロアを挟んで反対側は渋谷WWWのような雛壇状のスタンディング客席。

これはもうクラブ

でもう、始まるとこれがリアルにクラブと錯覚するくらいクラブそのものの雰囲気なんですね。無心で踊る人、ゆらゆら揺れる人、向き合って何かしらのコミュニケーションを取っているとおぼしき人たち、はたまた高いところで座ってまったりしている人たち…。クラブでこういう感じの人、いるいるという実在感なのです。クラウドの間を抜けるときには視線すらも感じる。バキバキにキメたモノトーンのかっこいいアバター、全身ネオンタトゥーのクールなお姉さん。

リアルのクラブで体感するような、耳だけではなく体全体で感じる音、骨をすり抜けて内臓を震わせるようなボディソニックはない。ないんだけど、逆に言ってしまえばそれ以外はみんなあるな…というのが感想です。スピーカーにも定位感があり、空間を鳴らしているように感じる。VRのクラブは既にクラブのようなところではなく、クラブだった。

かかっている音楽も良かった。オープニングでプレイしていたのは上のドキュメンタリーにも出ているLAの2ToneDisco。ジャンルレスかつ別に全然チャラくないバキバキのDJでカッコよかった。こういう音楽がかかるパーティーなら普通に遊びに行きたいよ。

この日は物理で友人が遊びに来ていたので、3人で交代で体験するような形。セッティングとしてはQuest 2とPCをAir Linkで繋いで、オーディオはPCを経由してBTスピーカーから、映像はミラーリングしたのをプロジェクターで映していた。こうするとHMDをしていない2人も楽しめる一方、ヘッドセットの一人称空間オーディオ特有の没入感とはまた違うだろうから、それはまた別の機会に体験してみたいかな。

今回のサンリオバーチャルフェスの「ALT3」に関しては、まずピューロランドの地下にこういう空間があってというコンセプトがもう最高なのでした。そのうえで剥き出しの岩壁や天井を這うパイプやケーブル、金網といった細かいオブジェクトの作り込みから来る実在感、高度な映像と音楽のシンクロニシティ、そしてクールなアバターで身を固めたオーディエンスたちが一体となって生み出す雰囲気に圧倒された。90年代のインターネット黎明期のような、手探りのクリエイティブ。謎めいたVRクラブカルチャーで今リアルに起きていることの一端を体感できた気分です。

VRやっていきたい

結局、遊びに来た2人ともがその日のうちにQuest 2を買うという、熱い一日でした。やっぱりこう、平面のスクショや動画でいくら見たって、6DoF立体視で体験しないと伝わらないような魅力がVRにはあるのですよね。

年末から来年にかけて、改めてVRChatでもいろんな活動が始められたらと思っているので、よかったらフレンドになってください。ユーザーネームはepxstudioでやっています。


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