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雨のち照れ

雨の日って肌寒い。

今週はトレーナーさんが気合い入れてメニュー作ってくれたのに、雨続きで台無しだ。
外でトレーニングができない日は筋トレやお勉強をするのが鉄板なんだけど、ずっとそればっかりもつまんないって口実でトレーナー室に居座ってます。今日はちょっぴりわるい子です。

「スペ、今日のメニュー変更しといたから確認してくれないか」

トレーナーさんはそう言って私を手招きする。
側に寄ると、いつもより濃いめの柔軟剤の香りがした。

「トレーナーさん、いつもと香り違いますね」
「ん?ごめん、もしかしてまだ匂うか?生乾き臭したら嫌だろうし柔軟剤多めにしたんだけど…」
「わ、悪い意味じゃないですよ!全然いい匂いです!」

トレーナーさんは不器用なくせに、気遣い上手だ。この前も私が調子に乗って食べ過ぎて体重を増やした時も、気づかないフリをしながら食事のメニューをこっそり変更してくれたり。私が自由奔放なせいでドジ踏んじゃっても笑顔で慰めてくれたり。本当に優しい人だ。

「スペ…さすがに近いかも…」
「あわわわわわ!?ごめんなさい!」

練習メニューを見ながら思い耽っているうちにトレーナーさんと密着してしまっていた。ひとしきり謝った後に顔を上げると、そこには顔を赤らめ口をモゴモゴさせたトレーナーがいた。

「いい匂いが、した」

急に何を言い出すんだこの人は。さっきの仕返し?というかそんな照れながら言われても困る!そういうのは本当にズルい。

今日はあっついなぁ、もう。

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