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恋愛の刺激と結婚の安定

  去年の夏に婚約指輪を買い、来月に籍を入れる予定なので激務になりがちな保険会社を退職した。
今は全く違う業界で残業の少ない働き方をしながら、結婚と4、5年後に計画している出産に備えている。
婚約者とは大学の時に会い「こういう人と結婚したら幸せなんだろうな(けどときめかないな)」という印象から徐々に恋愛対象になっていったので、そもそもスタート時点から家庭のイメージが強かった。
来月とうとう籍を入れる。なんとなく今日思ったことを書いてみる。


一日のデート

  先週、太ったし便秘がちだとぼやいていたら相手から運動がてら遠くの公園まで散歩に行こうと提案を受けた。
午前中に掃除を済ませ、昼まで寝て行く気のない相手を起こして2時間近所を徘徊し、お腹をすかせて帰宅後、車でネパールカレーの店に行き夕飯を食べてスーパーに買い出しに行った。

 実は婚約指輪をまだ渡されていない。
子どものころからベタなプロポーズに憧れて、おしゃれしてレストランで渡してほしいと伝えて預けてある。
なかなか渡してくれないのでカレー屋に行く道中で聞いてみたところ「気が重い」と言われてしまった。
不安になって「籍を入れることが?プロポーズが?」と確認すると「プロポーズ。君の期待を上回れなさそう」との回答だった。
よくよく話を聞くと、相手の仕事が上司の無茶ぶりで雲行きが怪しく、更に雲行きが怪しいということに彼自身は気付いたが、上司は知識不足ゆえに耳を傾けてくれないそうだ。
そんななか指示に従って仕事を進めなければいけないし、他の案件も非常にヘビーらしい。
もともと恋愛下手で初めての彼女がわたしの彼氏が仕事で不安な中、苦手なロマンチックな提案を考えるのは辛いだろう。
一生に一度の夢だから叶えてほしかったな、という惜しさはあるが、相手がしんどそうにプロポーズしても楽しくはない。

 その話が尾を引いて、カレー屋さんも美味しかったけどファミリー向けですこし落ち着きがない印象だった。
「子どもができたら行けないようなお店に今いっときたいな」「プロポーズは夢があったからずっとお願いしてたのに1年後に強く断られて悲しいな。」なんて思いながら食べた。


クソブスの考えから改めてみる


 お支払いのレジで毎回財布を出してお札を出すものの、毎回断られてしまう。そのまま車に乗り込んだ時に、けれどとふと思った。


「自分が保険会社で辛い案件ばかりのとき、プライベートなんて自分の心を慰めるだけで手いっぱいだったよな」
「毎回プロポーズは不安だって言うけど、結婚や籍を入れることについて不安だとは決して言わないな」
「お互い新入社員になったとき、私のほうがでかい会社だ凄いなって褒めてくれたけど、お会計は相手が持ってくれたよな。就活中は転勤ある職種希望の私にマウンティングしてくる男子学生だっていたのに。」
「今日も私が散歩好きだから散歩コース考えてくれて、つかれてないか喉は乾いてないか気を遣ってくれたよな」
「カレーのお店も、友達と行って美味しかったって言ってたよな。自分が食べて美味しかったお店を紹介してくれたんだ。」

昔から恋愛が好きで惚れっぽい私と、惚れにくいし感情表現が苦手な相手だとときどきペースが合わない。
けれど、暗くなった夜道を安全運転してくれる相手の器の大きさと愛情深さに胸がいっぱいになり急に愛おしくなった。

「今日もすごく1日楽しかった。散歩も嬉しかったし、美味しいお店でご馳走してくれてありがとう。毎週末過ごすたびに人生の楽しい思い出ランキング更新されてくわ。」と伝えたら「そんなに重大な1日?」と引いてた。

人生1回目とは思えない愛情深さと安定感を持った婚約者。
尊敬と安心の地続きにあるかけがえのない慈しみを感じられる相手と人生一緒に過ごせられるの、幸せすぎる。


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