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ドラマで見た結婚後の姓の話

2023年10月期のドラマ「いちばんすきな花」が本当に好きだった。嫌いなところが見当たらないくらい、好きだった。

最終話で印象的だったのが“むらさきちゃん”こと村山咲の登場シーン。結婚後の姓にまつわる会話で「旦那にこっちの名字になってもらったの。女が名字変えなきゃいけないとか納得いかなくて」との台詞があった。
はじめから理解ある相手だったわけではなく、パートナー間で真剣な話し合いが行われ「勝ち取った」結果だということ。そういう描き方は、今の日本社会に生きる、本当は結婚しても元の姓のままでいたかった私には響きまくった。

私が結婚にむけての話し合いの当事者だったのは2018年。自分のほうが名字を変えることになるだろうなと諦めてはいたものの、だまって変えるつもりはなかった。
日本でも選択的夫婦別姓が実現してほしいという意見をつねづね口にしていたこともあってか、「夫の姓と妻の姓、どちらを選ぶ?」と問いかけてみても、パートナーが頭ごなしに何かを主張してくることはなかった。
彼の意見は、社会の現状を鑑みると夫の姓にしておいたほうが無難だろうとのことだった。理解はできるけど、納得できたわけじゃない。

相手の姓になるのが嫌とかじゃなくて、手続き上の煩雑さや不利益を被るのが嫌とかじゃなくて(嫌ではあるけど)、これまでを生きてきた「わたしの」姓のままでいたいと思うことは何もおかしくないと思う。

ある時「私自身は選択的夫婦別姓が導入されても姓を元に戻すことはないと思います」と書き出されたツイートが目に止まった。
「私の本当の名前は三十年以上前からダムの底に沈んだままです」。
私も夫の姓に変えたとき「私の新しい名前」とは思えず「私の本当の名前」が自分から剥がれ落ちてしまった気がしたものだ。
戻れるものなら戻りたい。けれど、いざそうなったらやれるだろうか? 子どもがいなければ話はシンプルだがそうではない。その時が来てみなければわからない。

2024年2月現在、経団連が政府に選択的夫婦別姓の導入を求めている。人権的観点ではなくビジネス的観点なので、そこには別の問題があるけれど、実現にむけて前進するのならばまずは歓迎したい。

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