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#2 映えカフェの流行 同調性と差別化

 横溝エリカ(@HengGou_JinXia)です。
「1日1記事」2日目のテーマは「映えカフェの流行 同調性と差別化」です。

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『貢茶』をご存じだろうか。
 貢茶(Gong Cha)は、世界中で展開する台湾ティーカフェである。国内でも、東京を中心に26店舗置かれていて、さらに新規3店舗のオープンが予定されている(2019年2月19日現在)。(公式HP「店舗案内」より)
 先日、梅田茶屋町店の前を通りかかると、10・20代の若者たちが長蛇の列を成していた。近くにいたカップルは、あまりの多さに諦めて帰ってしまったほどだ。

 台湾と言えば、梅田三番街の台湾甜商店もオープン当時から変わらぬ人気を誇っている。私も混んでいないときを見計らって行ったクチだ。台湾に対して好印象を抱く日本の若者は多いことが、台湾ブームの後押しをしているのかもしれない。
 また、2年くらい前に、京都河原町にある抹茶館の抹茶ティラミスもSNSでバズっていた。最後尾が5時間待ちなのを見かけたことがある。

 3店舗に共通するのは、メニューの可愛さや、内装のおしゃれさだ。いわゆるSNS映えするカフェである。
 ここ私は、このようなカフェを「映えカフェ」と呼称してみる。

「情報を食べる」という言葉を耳にしたことがある。
 現代の消費者は、メニューを飲食して、どんな味かを楽しむほか、人気店の商品だとか、おしゃれなカフェだとか、SNS映えするとかの「情報」も含めて飲食しているのだ。
 こちらのはてなブログでも同様の指摘がされていたので以下に引用する。

現代人は情報を食べているという。
つまり、食べ物の味や栄養価といった本質よりも、話題性、店の雰囲気、見た目、価格…そういった情報のほうが重視されがち、ということだろう。
極端に言えば、FacebookやInstagramにアップするために食事をしている、ということだ。それは極端に言いすぎだ。
娯楽としての食事に偏っている、といえるかもしれない。

  はてなブログ「ろまん快道 別室」より引用

 私たちは、様々な「情報を食べる」ために、映えカフェで消費しているといっても過言ではない。

 では、映えカフェが若者の間で流行するメカニズムは何だろうか。そこで、社会学事典で「流行」の項を引いてみた。

人々が流行を採用する動機について、ジンメルは「同調性への欲求」と「差別化の欲求」の拮抗のダイナミズムであるとした。

 社会学事典(弘文堂)、p. 914より引用

 多様化している現代の流行現象の全てを、この2の欲求で説明できるわけではないかもしれないが、私は「同調性への欲求」「差別化の欲求」という言葉が目に留まった。
 人はなぜ流行に惹かれるか?という問いに対して、ジンメルは、流行に参加する人々は、他者への同調と差別化という相反する欲求を、同時に持ち合わせているからだと提唱した(中島、2000、p. 75)。
 貢茶も、台湾甜商店も、抹茶館も、皆が行っている流行りのものに触れたいという気持ちと、周囲一般にはまだ浸透していない最先端カルチャーの一員になりたいという気持ちを、同時に満足させてくれる。
 映えカフェで映える写真を撮り、インスタで皆と同じハッシュタグ(#貢茶等)を付けて投稿する。私のインスタを見てくれるフォロワーの友達の多くは、まだそのカフェには訪れていない。何だか自分だけ皆より「映える人間」になった気分。
 流行に乗りたい願望と、皆より映えたいという願望が、私たちをして映えカフェに向かわせるのだ。

参考
貢茶公式HP https://www.gongcha.co.jp/
台湾甜商店公式HP http://taiwan-tian.com/
中島純一(2000)「ル・ボン,タルド,ジンメルにみる流行理論の系譜
――集合行動論の観点から――」,『東海大学紀要文学部』, pp.84-69.
はてなブログ「ろまん快道 別室」http://romanlog.hateblo.jp/entry/2016/11/06/034718
抹茶館公式HP https://www.create-restaurants.co.jp/shop/index.php?controller=FrontCrShop&action=shop_show&id=1106
見田宗介, 栗原彬, 田中義久編(1988)『社会学事典』,弘文堂.



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