見出し画像

ドナルドダックも大学の顔

May 27, 2020

【2020年5月27日の記事です】
長い自粛期間もいったんの区切りとなり、これまでの日常生活に戻るにはまだ時間がかかりそうなものの、ようやく人や社会とのつながりを取り戻せるとほっとしている人も多いのではないでしょうか。

海外研修時、米国大学でのインターンに先立って、研修の一貫として2ヶ月間、モンタナ州立大学(Montana State University: MSU)という、モンタナ州の山々に囲まれた大学で、学生として米国の高等教育に関する講義を受講しました。
MSUは Land-grant university(米国政府から歴史的に土地を付与されている大学)に分類される大学で、その設立経緯とモンタナ州というカントリーサイドの風土から、地元密着型の大学です。大学のあるボーズマンの街には、"MSU"や"Bobcats(山猫)"のスローガンがあちこちに。BobcatはMSUの学生の愛称です。大学が街全体に溶け込んでいる様子に、それまではモンタナにまったく縁のなかった私たち研修生も、この2ヶ月間で、気持ちはすっかりbobcatとなりました。

楽天といえばパンダ、Suicaといえばペンギン、熊本といえばくまモンのように、米国の多くの大学では、マスコットキャラクター、スローガン、スクールカラーが大学のシンボルとなり、キャンパスコミュニティーをつくっています。
たとえば、サンフランシスコ州立大学はワニのGator(ゴールデン・ゲート・ブリッジ:Golden Gate Bridgeとワニ:alligatorの言葉遊び)。キャッチフレーズは先鋭都市のサンフランシスコらしい、 "Make things happen(物事を実現させる)"です。また、季節になるとスクールカラーのえんじ色がスタジアムを埋める、アメフト強豪のアラバマ大学は象。スローガンは"Where legends are made(伝説の生まれる場所)"です。ちなみに冒頭のMSUは"Mountains and Minds (山と意志)"。大学の個性がにじみます。

不思議なもので、最初は縁のなかった場所でも、マスコットキャラクターやスローガンがあしらわれたTシャツやグッズを目にすると、自分もコミュニティーの一員としてつながっていることを感じ、大学の構成員としての自覚や誇りが芽生えます。

あるとき、オレゴン州のポートランドに旅行したとき、緑のユニフォームをつけたドナルドダックを見つけました。実は、オレゴン大学のマスコットキャラクターはドナルドダック。あまりのかわいさにぬいぐるみを購入し、バッグからドナルドの頭がはみ出た状態で飛行機でサンフランシスコに戻ったところ、バス停で通りがかりの人に、「Duck(オレゴン大学の学生)かい?」と話しかけられました。偶然にも卒業生でした。マスコットは、大学の顔として、大学と社会をつなぐ役割も果たしているようです。

私たちも、離れて仕事をしていても、顔を合わせる機会が減っても、東京大学の構成員。業務上での多少の利害関係はあっても、同じ方向を向く1つのコミュニティーです。
今日はノー残業デー。会えない仕事仲間とはZoomやチャットで雑談(water cooler chat:給湯室話)もはさみつつ、今日は早めに仕事を切り上げ、家族や友人に本学のこぼれ話を話したり、「ただひとつ」を歌ってみるのも楽しいかもしれません。(私は歌えません。)

*オレゴン大学(University of Oregon)のオレゴンダック
https://goducks.com/sports/2003/8/28/153778.aspx

*フォレスト・ガンプ/一期一会(1994年)
https://movies.yahoo.co.jp/movie/19931/story/
アカデミー賞を受賞したこの名作映画のなかで、主人公フォレストがアメフトの才能を開花させたのはアラバマ大学です。

*いまここケア
https://imacococare.net/zaitaku/
本学の医学系研究科精神保健学教室が運営する、自宅でのストレス対処法や心の健康に関する情報サイト。在宅勤務時のチームのつながりの大切さにも触れられています。

(写真:ポートランド国際空港)

この記事が参加している募集

オープン社内報

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?