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一日中撮影 課題曲を歌いきれなかったレッスン@イスタンブール

昨日からBelgîz宅に来ているジャーナリストのSerbest。今日レッスンがあることを話すと、同行して撮影したいという。彼はドキュメンタリー映画を制作中で、その多くの素材を日本で撮影している。

大事なレッスンの時間は集中したいので本当は気乗りしなかったが、私がいつも通りやればいいだけだと思い了承した。

家を出てスタジオに向かうところから撮影はスタート。いろいろ注文されるだろうなぁと思い早めに家を出たが、意外にスムーズにスタジオ近くに到着。

近所にSerbestが自分の番組を持つテレビ局のイスタンブール支社があるというのでお邪魔する。大統領選の決戦投票日が近いということもあり忙しいに違いないが、みんなにこやかに挨拶してくれて、良い雰囲気。社食的なところでランチをごちそうになった。

椅子がなく玉ねぎの上で一服するSerbest兄さん


社食ランチ



スタジオに到着してしばらくすると太陽神登場。「あれあれ、お客さんがいるね!」2人が挨拶しあう。2人ともGeverの出で旧知の仲だが、仕事柄会う機会がなく、久しぶりの再会だったようだ。

「久しぶりですね、兄さん」
「やぁやぁAli、元気?今日撮影させてもらうね」
「どうぞどうぞ」

ピンマイクをonにして、あとは普段通りレッスンを進める。今日は形式”Şeşbendî”の”Gulê”という曲に取り組む。前半はクルド語、後半はアッシリア語で歌われる。Colemêrg地域の大きな部族Pinyanişîの方言がちょこちょこあらわれる。

Gulêはアッシリアのクリスチャン。歌い手の男性はムスリム。「美しいGulê、Gulêの父親はキリスト教徒。彼はGulêを私に与えはしなかった」宗教の違いにより結ばれることのなかったGulêを想う歌。

ゆっくりと、細かく複雑にビブラートをつけながら歌っていく、非常に難しい曲だ。私の力では相当に手こずるだろうなとは思っていたが、想像以上に苦労する。結局一つのフレーズで1時間半ほどかかり、それでもはまりきらなかった。

途中Serbestが大欠伸をしながら「ごめん、ちょっと眠いから寝るわ」と言ったり、「コーヒーあるかな?」と聞いてきたりして、「寝とけや、黙って外で飲んでこいや」と内心思ったり。コーヒーをもらって落ち着いたら「もっと柔らかく」とちょっと指導してきたりしたので、ちょっぴりイラついたり。「Serbest」は「自由」という意味のクルド語だ。

結局、Gulêは歌いきれなかったので、次回へ持ち越し。もう一曲やる予定だった労働歌”Meşkê”も合わせて。

“Meşkê”は、このゆりかご状のもの。バターを作るための道具で、羊の皮から作られる。



レッスンを終えると、Aliはリハがあるというのでスタジオにそのまま残り、Serbestと2人スタジオを後にする。カメラは回りっぱなし。2時間集中して歌い続けているのでさすがに疲れているが、リクエストにお応えしながら歩いて行く。

アーティストや作家が多く暮らすエリアCihangirで撮影しながらうろついていると偶然知人に出会ったので休憩がてらビールを一杯。エネルギーをチャージし、21時頃ようやく家にたどり着く。顔を洗って歯磨きをしてバタンと寝てしまった。

一杯飲みながら休憩



明日から週末はDersimで過ごす。ついにサズも購入予定!楽しみだ。

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