自然の恩恵受け
徳島新聞 ちょっとええ話 2022/05/12掲載
夕食のメニューはカレーだ。タマネギがなかったので「畑に採りに行こう」と子どもを誘った。
家に畑があり、義母が丹精込めて野菜を育てている。子どもに三つほど引き抜いてもらい、さっそく採れたてのタマネギに包丁を入れた。サクッと歯切れのよい音がして、真っ二つに割ると、温かかった。しっかりと土に根付いて栄養を吸収し、太陽を浴びて立派に育った様子が伝わってきた。野菜が生きていると思った。
採れたての野菜を調理することが、こんなに感動的なことだとは思わなかった。これこそ食育だ。全てのものに命があるからこそ「いただく」のだ。自然の恩恵を受け、私たちは生かされている。
子どもたちは野菜たっぷりのカレーをぺろりとたいらげた。おかわりもして満腹になったあとは「ごちそうさまでした」と満足そうに手を合わせていた。
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