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「ハーブのある暮らし」に憧れて。

「いつかハーブを育ててみたい。でも私はそういうの、枯らすタイプだし。虫が苦手だから寄ってきたら嫌だしなぁ。都心部だから排気ガスも多いしなぁ。そもそも私の家、ベランダないし。」

#ハーブのある暮らし ・・・に憧れはあるけど、なんだかんだ、ハードルは高くって、その夢は「いつか」という名の倉庫に放置されていた。

そんな私がかつて並べた言い訳が、全て吹っ飛んじゃうような環境に、あれよあれよとカスタマイズされたのが現在である。

虫が得意な人と結婚し、コロナでおうち時間が増えて、空気の澄んだ田舎に移住し、ベランダ付きの一軒家で暮らしている。

そうして、ハーブに「こっちこっち」と手招きされているかのように、私はハーブの虜になっている。

↑前回書いた記事は、ハーブに沼った入口のお話。

植物は、人間たちが到底暮らすことができない過酷な環境で生きる。人間が生成できない成分をたくさん持っている。人は、植物を摂取したり、皮膚に塗ったり、香りを嗅ぐことで、その力を頂くことができる。

生理痛に良いハーブ、花粉症に良いハーブ、風邪に良いハーブ・・・もはや自然は全ての力を持っているのでは、というくらい、作用してくれるからビックリする。

私が日々、ハーブについて勉強していることをメモしておかないと、もったいないような気がして、noteを開いた。学んだことをメモするというより、学んだ喜びと初心を忘れないようにメモしたい。

「ハーブ勉強しよう!」と思って調べたら、だいたい最初に、“ハーブ図鑑“とかの本がヒットする。実際に読んでみると・・・いや、種類多すぎて覚えられん!(笑)ってなって、ハーブの世界に到着して早々に帰国したくなる。私は、データのようなものが並べられてるものが苦手だ。

実際に手で触れて、香りを嗅いで、思い出を作って、やっと記憶に残る。英語学習と似ているかもしれない。ただ英単語だけじゃなく、例文と一緒に覚えることで身につく。

だから、ふつうのハーブ図鑑というより、ハーブ思い出図鑑のような日記帳をシリーズ化していきたい。(「ももこの動物図鑑」みたいな。あの本すごい好き。)

ローズマリーとの思い出

はじめの一歩として、ローズマリー1つからハーブ栽培を始めてみた。乾燥を好むハーブなので、水やり頻度が少なく、初心者にも育てやすいということでローズマリーを選んだ。

家にハーブがあるとなんか嬉しい。

「料理に入れると、シャレた味になるよね〜」くらいの印象だった。

私とローズマリーの初対面は、18歳の頃だった。高校生上がりで「アンナミラーズ(通称アンミラ)」という、アメリカンレストランでホール業務のバイトをしていた。子供の頃から制服に憧れていたので、念願バイトだった。

ドリンク作りも業務の一環で、特に好きな仕事だった。ドリンクメニューには聞き馴染みのある「カフェラテ」「カプチーノ」、そして「ハーブティー」もあった。ちょっと存じ上げない4種類の草を冷蔵庫から取り出し、ポットにぶち込んでお湯を注いで、砂時計と共に提供する。その4種の中にローズマリーがいたので、強制的に覚えさせられた。

1つ上の先輩に「ハーブティー試飲してみ」と、何か企むような悪い笑顔で勧められ、飲んでみた。「何これ?!草の味じゃん!ベェ〜。」という私のお子ちゃまな感想には、19歳の先輩も「でしょ〜?」と同意見。「なんでこんなものがメニューにあるんだろうね」と、2人で疑問に思っていた。

しかし、どうだろう。30代くらいのイケてるお姉さんたちが、こぞって「ハーブティーには何が入ってるんですか?」と聞かれて答えると「いいね。じゃあ、それで!」と注文してくる。私は心の中で「(え?マジ?あの草の味しかしないお湯でいいの?)」と思いながら、笑顔で「かしこまりました!」と、承った。

「お待たせしました、ハーブティーです。」

テーブルにそっと、ティーポットを置き、遠くからハーブティーを飲むお姉さんを観察する。

「う〜ん、いい香り・・・。美味しい!」と、幸せそうにティーカップを持っている。「いやいや、ほんとかよ?!」・・・と、厨房の奥まで行って、わざわざ口に出した。

そして20年弱が経過した今、そのお姉さんと同じように、ハーブティーを嗜むくらいに成長してやった。「大人の女は、ハーブを求めるもんよ」と、アンミラの制服を着た10代の私に言ってやりたい。

実はローズマリーは「若返りのハーブ」と呼ばれている。強力な抗酸化作用があり、免疫力をアップさせてくれる。アンチエイジングに目がない35歳の私にとって、欠かせないハーブになった。

ローズマリーはこの中でお局さんだけあって、存在感がすごい。

ペパーミントが仲間入り

あんなにハードルが高かった、ハーブを育てるという行為。

まずは1つ、育てるのに慣れてくると、もっと揃えたくなった。

大自然を愛している夫は、「えりちゃんが良い趣味を持ってくれて嬉しいよ」と喜んでいる。ホワイトデーには、ハーブティー用のポット・精油・アロマストーンをくれた。

よっぱど嬉しいのか、なんでもない日に、こんなプレゼントを買ってきてくれた。

ペパーミントとラベンダーミント

ペパーミントは、もちろんモヒートに!・・・と思っていたけど、こちらも調べてみると、効果効能がすごかった。

風邪や、頭痛の緩和、食べすぎ・食欲不足などの消化器系にも良いらしい。

夫はよく食べすぎてお腹痛くなってるデリケートちゃんなので、ペパーミントをハーブティにして出してあげる。「美味しい!」とガブガブ飲み干して、まもなく夫の腹痛は治っていく、という優れもの。

ミントとの思い出と言えば・・・20代の頃、日本語が喋れないオランダ人が経営するバーで働いてた時のこと。(飲食店好き)

メニューにモヒートがあり、お店の裏口にはボーボーに生い茂ったミントが生えていた。「ミントすごい増えるから、モヒートの注文いっぱい取ってこい。他のカクテルより単価が高いし。」と、英語で指令を受けた。

モヒート作るのは、ミント摘んで、ライム切って、砂糖と一緒に潰して・・・って工程が多いから面倒なんだよ、作る身にもなってくれよ・・・と少しイライラしながら「モヒートは摘みたてのフレッシュミントですよ♪」とおすすめすると、お客さん同士が「いいね!」と顔を見合わせ、ほぼ全員がモヒートを注文するもんだから大変だった。混雑している時は大慌てで裏に行って、ミントをブチブチと摘みまくった。

でも、生のミントの香りを嗅いでいると、不思議と癒されていて、ルンルン気分でモヒート職人をやっていたので、オランダ人の思う壺だった。

それにしても、ミントの繁殖力はすごい。小さい鉢では、たちまちに根詰まりしてきたので、大きな鉢にお引越しさせた。

ペパーミントを置いておくと、蚊やGなどの虫除けにもなるので、こちらも生活に欠かせない家族になった。

カモミールの可愛さと裏の顔

「ハーブティーの効果効能、すげえ!!」というのを初めて私に教えてくれたが、ジャーマンカモミールだった。

夫のハウスダストアレルギーに効くハーブは何か?・・・と調べていて、ヒットしたのがジャーマンカモミールだった。実際にハーブティーにして飲んでもらうと、あんなに鼻水のために捧げられていたティッシュの量が、劇的に減っていたのだ。

おまけに、カモミールは林檎のような甘い爽やかな香りがする。何より美味しい!ドライハーブの茶葉で購入したけど、今度はこれも自分で育ててみたい!と思って購入した。

クリーピングタイムも一緒に購入して、5種類になった。

白くて小さな可愛い花が咲くまで、楽しみに待つ。そして購入した後に、カモミールの裏の顔を知ることになった。アブラムシがびっしりと付くものなのだと・・・

細くて柔らかな葉、その裏側に、胡麻粒ほどの小さいヤツが、至極満足げに張り付いていた。思わず「ヒェッ」と声を上げた。

慌てて「ジャーマンカモミール 虫」で検索すると、「カモミールとアブラムシは腐れ縁」という言葉を教えてもらった。環境が悪かったからとかじゃなくて良かったと、一安心。

たしかに、ローズマリーやペパーミントは虫除けになるだけあって全然虫が来ていないのに、カモミールに人気が集中していた。ハーブ界の橋下環奈だ。

駆除方法を調べると、無数にあることが分かった。駆除用のスプレーも売ってるが、なるべく私は無農薬で育てたい。水で牛乳を薄めたものをスプレーしても良いけど、そのままだと牛乳の粘膜でカモミールも窒息して共倒れになってしまうので、その後に水だけもスプレーする。

私はとりあえず王道の、黄色いマスキングテープでペタペタ作戦に出た。黄色はアブラムシを引き寄せるらしい。

もちろん1人じゃ怖いので、夫も召喚した。

テープを竹串に巻き付けて取るという、極めて原始的な方法。葉に当たると傷つけてしまうので、指でペタペタ触って、粘着力をある程度落としてから使う。

虫嫌いな私でも、これは意外と面白かった。

と言っても、この戦いはキリがなさそうなので、てんとう虫を召喚する作戦に出た。てんとう虫は、カモミールに付いたアブラムシを食べてくれるらしい。

てんとう虫誘拐の旅

虫嫌いの私が、虫のために虫を連れてくるなんて・・・昔じゃ絶対に考えられなかった。夫がいる安心感はデカい。てんとう虫に空のペットボトルを近づけると、死んだふりして簡単に捕まってくれるらしい。

カモミール鉢にてんとう虫をログインさせると、本当にあっという間にアブラムシを駆逐してくれた。リヴァイ兵長並みの頼もしさだ。

そして新たに、一気に5種類の苗をお迎えした。はじめは1つ、2つ3つ・・・とコツコツ増やしてきたけど、1つ1つ異なる育て方を勉強していくうちに、「5人?全然OK、来ちゃいなよ!」くらいの心の余裕が生まれ始めた。

「ハーブの状態を見ながら対応をしてあげる」という言葉を最初に聞いた時、そんなの分かんないよ・・・と不安に思っていたけど、毎日ハーブと顔を合わせていくうちに、「今日は調子いいね!」とか「元気なくなってるね、お水をあげよう。」と、少しの変化を感じ取れるようになった。友達と仲良くなると、「今日ちょっと元気ないね」って気づいてあげられるようになるのと同じだ。

もっと大きく育てて、いろんな種類をお迎えして、ハーブとの思い出と知識を増やしていきたい。

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