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はははの話/ずっとよろしくね


 わたし(えりぱんなつこ)が、胃痛から仕事を辞めて、田舎に住む祖母と母と暮らしていたときの話を書いています。


●今回は父からプレゼントされたくまのぬいぐるみを「ぎんじ」と名付けてからのお話


↓前編のようなもの


 わたしは「くま」の名前をぎんじと決めたあと、「くまの名前はぎんじにしたよ!」と声高らかに宣言した。母には「えぇ?」なんて不服そうに言われたけれど、もう決めたからと強く言い切った。


わたしは不慣れながら、毎日「ぎんじ」と呼んだ。


仲良くなるにつれて、ぎんじは変わっていった。
当初は、毛並みがふさふさと冬毛みたいで緊張した面持ちだったのに、毛並みは落ち着いてなめらか、表情だってやわらかくなった。(気がする)


ぎんじ、かわいいねと話しかけるにつれて、自身を持った顔立ちになり、さらにかわいくなっていった。(気がする)

写真で見比べてみても、変化しているように見える。


わたしが働いていた時代のぎんじ
顔がこわばってる?

祖父母の家に住んでいるときのぎんじ
冬バージョン



母にも、ねえ!ぎんじ顔変わったよね!!かわいくなった!!と強く訴えては、親バカと言われた。
今でも、ほんと親バカだよねぇと言われることは多々ある。


まあるい体のぎんじを抱きしめると、ぎんじの重みを感じる。うお〜かわいいよ〜と愛おしさが芽生える。まあるい頭を撫でると、毛並みの良さにもっと撫でたくなる。


職場で嫌なことがあった日も、母と喧嘩した日も、ぎんじはわたしの味方だった。ちなみに母との喧嘩の終幕はぎんじが手伝ってくれた。


一緒に寝るようになってから、
冬はぎんじの体があったかくて、わたしは余計に布団から出られなくなることも、
夏は暑くて、ぎんじが布団から出ていってしまう夜もあることに気づいた。


ぎんじは季節が移り変わるごとに、わたしが作った服を着ている。七五三で着物やドレスを着た我が子を見ているように、わたしは毎回テンションが上がっている。めちゃめちゃかわいい。(自画自賛)



ぎんじと過ごすようになって12年。実質は5、6年。段々とぎんじの耳や鼻周り、足先の白いところが真っ白ではなくなってきて、茶色いお鼻もびしびしと細かなひび割れがあらわれてきている。

わたしだって、歳を重ねてシミしわ白髪が増えていくだろう。関節も痛くなるかもしれない。
(既に体力は落ちている……)


一番初めに出会った姿から、お互いに少しずつ変わっていくけれど、わたしはこの先もぎんじのことが
かわいくって仕方がないと思うんだ。
ぎんじも、わたしの変化を受け入れてくれると嬉しい。
(決して、ババアと言ってはいけないよ。わたしのことをババアと言っていいのは、わたしだけだ)



また違う土地に引っ越すことがあっても、勿論ぎんじも一緒だよ。


これからもずっとよろしくね。



もしサポートいただけたら、部屋の中でものすごく喜びます。やったーって声に出します。電車賃かおやつ代にさせていただきます。