見出し画像

直樹さん宅は素晴らしい

今更になって私、半沢直樹を観ている。

いつか観ようとは思っていたが、視聴に至るまでに随分と時が流れてしまった。
なぜ今更なのか。
それはリアルタイムで放送されていた頃、世間の皆が面白いと騒げば騒ぐほど流行りになんて乗るものかといった天邪鬼な私が邪魔をしたからだ。それに、直樹さんは小難しい人という偏見もあった。とても私とは住む世界が違いすぎる……。

例えば、竪穴式住居に住む私が高級住宅街のお宅に訪問するほどに敷居が高すぎて、友人からのオススメも聞き流し、観ることなくここまで時が過ぎてしまったと言うわけだ。

話の内容なんて知らないくせに、「倍返しだ!」のセリフは巷の情報から知っていた。

ハンムラビ法典を授業で習った時、 同等の仕返し、やっても許されるの? と驚きながらも、「超キモチイイ!」と一人ほくそ笑んでいたティーンエイジャーの頃。
直樹さんの「倍返しだ!」は、ハンムラビ法典の何倍以上も私を気持ち良くさせてくれた。
さらに直樹さんが「10倍返しだ!」と数字を跳ね上げさせた時なんかはもう、「ヒャッハー!」と年甲斐もなく喜んでしまったほどだ。

決めセリフは好きなのに視聴しないまま2024年を迎え、ついに私は、半沢直樹宅に足を踏み入れた。

結果、面白すぎて現在進行形でハマっている。

だからか、日常の中で昂りがあった時、直樹さんっぽい話し方になっている自分に気づいて吹き出しそうになることもしばしばだ。

幸い今はそのブームから大分時が流れた2024年だから、私が直樹さんっぽい話し方になっている事を誰一人として気が付かない。

もしも半沢直樹のドラマがリアルタイムだった頃にこんな話し方をしたなら、多分簡単に「それ直樹さんでしょ?」と、バレていただろう。

今は5話目まで視聴済みだけど、全話見る頃には私、直樹さんにゾッコンになっているんだと思う。今の時点でも私、「倍返しだ!」が言えるチャンスを狙って日常を過ごしているのだから。

できれば良い意味での「倍返しだ!」が遣えるのが理想だけど、そんなシチュエーションってあるのだろうか。そんな真逆な遣い方を見つけたなら、カルタを取りに行くみたいに激しく言ってやるつもりだ。

倍返しだ! の決めゼリフを、いつどこで発するのか。
雷様が避雷針探してうずうずしてるみたいな感覚に似ている。

これからしばらくは私、直樹さん宅にお邪魔することになるのだと思う。
ランドセルを床に捨て置き、宿題は後回しで大好きな友達んちへと遊びに行く小学生みたいに。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?