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天体の「品位」で出生図の優劣は決まるのか?

「出生図の天体の品位のよさでマウンティングしてくる人がいる。」
という話題が占星術界隈のtwitterでありました。
そんな方はごく一部だとは思いますが、「品位(ディグニティー)」は「他人と差をつけるためのランキングじゃないよ~。」というおさらい。
※「品位ってなに?」という教科書的な説明はありません。

品位の区分は一つだけではない

先程のマウンティングに使われた「品位」ですが、「品位」は実は2種類あります。

エッセンシャルディグニティー:天体の「状態」を測る尺度
アクシデンタルディグニティー:天体の「動き」を測る尺度

詳細はここでは説明しませんが、めちゃくちゃ略すると「品位」からは「どんな状態の」天体(エッセンシャル)が、「どう動いている」(アクシデンタル)かがわかるのです。

エッセンシャルディグニティーが高ければ「天体は自分が持つ本来の力をのびのびと発揮できる状態が整っている」のであり、アクシデンタルディグニティーがよければ「天体は思う存分活動している」ことになります。

※いけだ笑み先生「ホラリー占星術」P132に、ハサミを例にしたとてもわかりやすい説明があります。

冒頭でのマウンティングに関してはエッセンシャルディグニティーでのお話のようですが、アクシデンタルディグニティーも考慮しないとチャートの全体的なことはわからないのです。

(この後文章に出てくる「品位」は、エッセンシャルディグニティーについてとなります。)

吉凶≠幸不幸

クライアントの質問に答えるための「ホラリー占星術」では、「財布はどこにありますか?」の質問に対して「努力次第で見つかりますよ。」などの曖昧な占断では困ります。はっきりとした答えを導き出すため、判断の手掛かりの一つとなるディグニティーは重要です。

ネイタル(出生図)ではどうなのか?

Charles Obert氏は著書「Introduction to Traditional Natal Astrology」で、品位の低い天体は「試練のキーポイントになりやすい」と述べています。
本人がその不安定さを修正するための動機となるが、それは「運が悪い」ということではなく挑戦する力の源となる、とのことです。

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上図はtwitterに以前アップした、エッセンシャルディグニティーの説明に土星先生を例にしたイラストです。品位としては「ドミサイル」「エグザルテーション」が高いのですが、「デトリメント」「フォール」の土星先生のキャラのほうが断然人気です。

個人的な意見としては、品位の低い天体は(私も含めて)本人の中で引っ掛かりや違和感を感じている部分のように思います。他人から見て全く問題ない、個性的で好き、または「すごい!」と感心するような天体でも「私フォールだから。」などと自虐ネタが多いのは、本人が気にしている部分だからなのではないでしょうか。

反対に品位が高い天体を出生図にお持ちの場合は、特にご本人が違和感や不自由を感じていない天体なので「お、いいですね。」って感じです。先程も言いましたが、それもその天体のアクシデンタルディグニティー次第で全く変わってきますし(品位が高くてもマレフィックである土星や火星とハードアスペクトがあれば、その天体の働きには障害が出てきます。)、本人が違和感を感じていないからこそ無自覚で他人にとっては不快である場合もあります。

他人が評価する「性格の良し悪し」や「人気の有無」と、品位(エッセンシャル)の高低はリンクしていません。

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もう一つ具体的なデータを挙げます。
2020年7月にAsto-seekさんのサイトで登録されている世界の女優さん(出生日時データの信ぴょう性:AA)1,153名の太陽・金星を調べたデータです。

美や女性的な魅力を表すのは金星です。

品位が高い(ドミサイル・エグザルテーション)「牡牛座・天秤座・魚座」
品位が低い(デトリメント・フォール)「牡羊座・乙女座・蠍座」

金星は太陽のサインと最大2サインまでしか離れません。(太陽蟹座だと金星は牡牛座から乙女座までのいずれかになる)太陽サインの人数を基準に同じサインの金星を見てみると、品位が低い金星を持つ女優さんは多いですよね。

「本人が気にして努力していること(ディグニティーが低いこと)」と「それが他人に与える印象や魅力」や「幸せであるかどうか」は別モノです。

マウンティングは全く無意味

・品位の判断には2種類あること(1種類では無意味)
・品位(エッセンシャルディグニティー)の高低は社会での評価や印象、人気に直結しないこと

加えて
・品位は1枚のチャートの中の天体の相対的な強さを客観的に判断するためのものである
(これホラリー講座いけだ笑み先生の受け売りになっちゃいますが、品位を考えるにあたってとても大切なことだと思っています。)

以上から、「天体の品位から他の人の出生図と優劣を評価することはできない」ことがわかります。そもそも、他人と優劣をつけようとする行為自体が…。違う「品位」が落ちちゃいます。

最後に、品位が低い金星を持つ女優さんをリストアップしてみました。
「百聞は一見に如かず」
いかに品位マウンティングが無駄なことかを実感いただけると思います。

牡羊座金星(デトリメント)
レニー・ゼルウィガー、ジェニファー・アニストン、オードリー・ヘップバーン、マリリン・モンロー、綾瀬はるかさん、有村架純さん

乙女座金星(フォール)
ジュリア・ロバーツ、イングリッド・バーグマン、キム・カーダシアン、ブリジッド・バルドー、山本美月さん、米倉涼子さん

蠍座金星(デトリメント)
ジョディ・フォスター、ソフィー・マルソー、ジェーン・バーキン、シガニー・ウィーバー、深田恭子さん、石原さとみさん

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