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Food|食の編集者が考える飲食店がECを始めた方がいい理由

東京の緊急事態宣言の解除が5/25に宣言され、ウィズコロナの世界が本格的に始まった。そんな気がしています。

ビフォアーコロナに戻るのではなくポストコロナのあり方を意思を持って作り上げていく。令和に改元した瞬間のような、オラ、わくわくすんぞって感じで、ポジティブな気持ちでいます。

もちろん、自己実現の判断だけでなく、医療や経済的な新型コロナウィルスへの判断を尊重しながらの活動にはなりますが、みんなまとめてよーいドンの一斉スタートの世界は、なかなかスリリングなものです。

社会の中で飲食店だけが元の状況に戻るの考えにくい

東京都の飲食店で言えば、緊急事態宣言の解除をうけて5/26の午前0時から東京都が発表した経済活動再開のための「新型コロナウイルス感染症を乗り越えるためのロードマップ」にそって、緩和ステージがステップ0からステップ1に繰り上がりました。これによって飲食店は夜22時まで営業時間が延長(酒類の販売も22時まで)。さらに、早ければ30日にはステップ2に移行しすることが検討されているようで、実現すれば0時までの営業が可能になります。

当然、東京のレストランに営業も変わってくると思います。テイクアウトやお届け便をスタートさせていたお店は、お店の営業に注力するために、リソースを店舗営業に回していくことになるでしょう。レストランであればお店の営業第一ですので、当然の選択だと思います。

しかし一方で、ビフォアーコロナの集客にいつ戻るのか、なかなか判断が難しいと思います。じっさい自粛が明けたからすぐに飲食店に行こうという方は、どれくらいいるのでしょうか。僕のようにレストランが好きな人は一定数いるとは思いますが、多くの人は、まわりの様子を見てから行くことが、おおいに予想されます。

僕自身は、東京に限って言えば、ビフォアーコロナの客足には戻らないと思っています。強烈なファンをもつ高価格帯の飲食店は別ですが、多くの飲食店は以前のような店舗での売り上げには至らないはずです。

その根拠は、やはりリモートワークの加速に代表されるような社会システムの変化です。

そもそもビフォアーコロナの時代から、東京の人口集中が問題になっていました。多額の予算をかけて、オフピーク通勤を推奨するCMが作られてもいました。じっさい、そういったCMや広告を見ながらも、どこか「そんなの言うけど、無理だよね」と、建前だけの現実不可能な問題として認識されていたように思います。

じっさい、東京都が5月11日に発表した、都内企業のテレワーク導入状況の調査の結果によると(調査時期は2020年4月、従業員30人以上の都内企業に調査)、テレワークを導入していると回答した企業は62.7%。同年3月より38.7ポイントの大幅増だったといいます。

もちろん、出社しなければできない職種はあるでしょうし、毎日リモートワークとはいかず、数日は出社するような方もいらっしゃるでしょう。全員がリモートワークをするわけではありません。

しかし、リモートワークをする人は以前より確実に増えます

僕自身も在宅で仕事ができるようになって、ほとんどのことがリモートでできることに気づくと「なぜわざわざ会って打ち合わせしていたのか?」と、そのメリットをほとんど見つけられずにいます。

それはコロナ禍によってリモートワークによる一定の生産性のアップに気づいたわけで、この便利さはを知ってしまったら、ウィズコロナだろうが、アフターコロナだろうが、無意味な移動をしなくなるでしょう。今更、手紙を書くような人がいないことと同じようなことです。人間は、いつだって便利な方がいいんです。

それでも人に会う場面はあるし、移動することも必要なので、「人と人が会わなくなるなんてことはない」ということを、僕は否定しません。じっさい僕も、会いたい人には会いうようにすると思います。それでも、おそらく以前に比べて3〜4割は、人との接触が減少するはずです。地方の出張も減るでしょう。企業にしてみれば、経費が削減できるので、願ったりなはず。逆にプライベートの旅は、多くなるかもしれません。

こうした世界下にあって、飲食店だけが元の状況に戻るというのは、本当に考えにくい。ほとんどの店舗がビフォアーコロナの時より下がるでしょうし、飲食店自体の数も減ると思います。そもそも世界のなかでも異常に飲食店の数が多かった東京ですから(他国に比べて、参入障壁が低いのが原因のひとつとも)、誤解を恐れずに言えば、飲食店は適正の数に淘汰されると思います。

けっして僕は、飲食店がつぶれていいとは思っていません。とくにおいしい料理を作って、最高のサービスを提供してくれるレストランには残ってほしい。実力がある料理人がシェフを務めるお店がなくなるのをコロナ禍で見てきました。

そう考えたときに、緊急事態宣言が解除されて営業時間が伸びたからといって、ビフォアーコロナの店内利用重視の店作りに戻とうとするのは、無理な話なんじゃないかと思います。

レストランの非稼働時間をお金に換える通信販売

そんななかで、ぜひ飲食店の方々に注目してもらいたいのは通販、とくに電子決済ができるEC事業です。これは、いまからでも遅くないので、なんとしても始めるべきだと思います。

テイクアウトやお弁当をやられたお店はおわかりだと思いますが、通常の営業とお弁当やテイクアウトの仕込みを両方やるのは単純に仕事量が増えて大変。とくにお弁当は、作り置きできる時間も短いので廃棄も考えなけらばいけなく、費用対効果としてはなかなか出しにくいものだと思います。

一方でテイクアウトは、お弁当に比べて程度予約をとって受け取りの時間を調整することで通常業務に組み込めると思うので、お弁当よりはいいと思うのですが、それでも営業時間内でできることとなると、上限ができてしまいます。

その点、通販は、店を閉めた夜でもできるし、何なら朝にも作れます。お客さんがいない時間でも製造ができるので、従業員のシフトを組んで朝型に組み替えたり、東京の都市部なら週末の外出が慎重な期間を思い切って閉めちゃって、通販に全振りしておくこともできます。しかも、一度作ってしまえば、ある程度の期間ストックできるのもテイクアウトやお弁当との大きな違いです。活動している人頼みのレストランにとっての宿命だった非稼働時間を有効活用できるはずです。

東京のグレイト・バーガーのハンバーガーや、ホットケーキミックスのミールキットなども、楽しく作れて、おいしく食べられるという、2つの体験がパッケージされていて、レストランの特性がある通販商品だと思います。

今の時代、自社のECサイトがなくともSTORESやBASE、クラシル、通販プラットフォームはいくつもありますので、サイトを制作に関しては初期投資ゼロでいけます。

でも、保健所の許可とかいるでしょう」という意見もあると思いますが、それはやらない理由でしかありません。じっさい、コロナ禍の初期段階で3月から通販をしなければ生き残れないと、営業許可を新しくとったり、現状を整備したことで保健所から許可を得て始めたレストランもあります。

コロナ禍での飲食店レガシーを活かしていくこと

コロナ禍で、多くのレストランが知恵を絞って、慣れないながらもオンラインや通販、宅配を使って非接触のサービスに挑戦されたことだと思います。そのレガシーを、緊急事態宣言が解除されたからといって、元のような飲食店のスタイルに戻ろうとするために止めたりせず、接触と非接触、つまりオンラインとオフラインのサービスを両輪にして、新しい飲食店の可能性を模索できた方が、いいのではないでしょうか。

もしあなたが休業中にインスタライブを始めたのなら、お店のファンとの交流を続けていくためにも継続した方がいいですし、オンラインの料理教室も興味があれば、ぜひ始めてみるべきです。

多くのレストランが、コロナ禍になって攻めの戦略で食で世界を明るくできたし、僕自身も明るくさせてもらいました。

以前だったらもしかしたらコンセプトに反するような洒落たお店でも、「お弁当」と書かれた赤いのぼりも、店頭の呼び込みもお店を知ってもらうための知恵だったのではないでしょうか。つまりそれは、「ただ待っていてもお客さんは来ない」ということです。

現代にはインターネットがあります。SNSを駆使すれば、オンラインでのファンコミュニケーションもできますし、通信で商品売ることができます。それらは、すべて営業外の時間を使ってできることで、何なら帰宅してもできます。めっちゃリモートワークです。

実店舗の売り上げが、ビフォアーコロナのときまでは戻らないのであれば、時間の使い方を変えてオンラインにキャッシュポイントを求めることは、とても時代にあっているのではないでしょうか。

レストランのECを応援する「おた飯」を始めます

そんな理由もあって、レストランは通販を始めた方がいい。僕はそう思っています。

ですので、通販をしているレストランを応援する取り組みを6/15から、東京・京橋で始めようと思います。

ビジネス街で、しかも夜、という厳しい条件ではあるのですが、コロナ前から声をかけていただいていたこともあり、せっかくやるなら、レストランといっしょにできるようなサービスがいいなと思って考えた企画です。

まだ、いろいろと調整中ですし、販売する通販商品もこれからどんどん増やしていこうと思っていますので、すこしずつお知らせしていけたらと思います。

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【明日の予告】

明日のnoteのテーマは「Human」です。会いたい人や気になる人、自分の人生の振り返りなどを書いています。明日は、「人の心をつかむということ」というテーマで、僕が務めていた会社の社長との思い出を一つ書こうと思います。

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