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初期臨床研修はハイパーとハイポの二元論ではない

読者ターゲット

これから研修病院を決める医学生

この記事を読むと達成できること

初期臨床研修先選びの参考となる考え方を知ることが出来る。

執筆動機

・ハイパー・ハイポ、大学・市中などのラベリングに基づいた二元論で初期研修病院が語られることに一石を投じたかったから。
・初期研修病院選びは自分がどんな項目をどのような優先順位で希望するかを細かく設定し、少しでも望む条件を満たす病院から選択すべきであるという至極当然のことを知って欲しかったから。

初期研修の目標は何か

皆さんが初期研修をする上で忘れてはいけない絶対目標があります。
それは「無事に初期臨床研修を終えること」です。

「教育体制がしっかりしている病院」「手技がたくさんできる病院」「海外へのコネクションが強い病院」「専攻医プログラムが充実している病院」など前向きな理由で病院選びをする学生さんは多いと思いますが、どんなにやる気があっても初期研修で脱落してしまっては元も子もありません。

心身ともに体調を崩すことなく2年間を終えるためには「どのような負担・負荷」を避ける必要があるかを吟味する必要があります。

ハイパーが必ずしも負担となるわけではない

ハイパー病院とは一般的にあらゆる項目において負荷が大きい病院を指すと思います。
中でも勤務時間や勤務日数、当直回数、残業時間、仕事量、必要とされる勉強量などがハイパー・ハイポの視点でよく用いられます。

しかしながら、負荷に対する耐性は人それぞれであって、一般的にはハイパーと言われる要素が必ずしも皆さんのストレスになるとは限りません。むしろ、ハイパーな要素が自分にとってプラスに働くことすらあると思います。

私は当直回数が月8回でも、明け休みがなくても、土日夜間問わず受け持ち患者の1stコールでもそれが負担で辛いと思ったことはありませんでした。
むしろ良い指導を受けられなかったり、明らかに無駄な雑用を強いられたり、飲み会が多かったりするなど、成長につながらない作業が多いときが非常にストレスでした(今考えるとどれも必要なことだったと思いますが、当時はそう思えませんでした)

このあたりの感性には個人差があるため、就職活動前に「自分がどのようなことにストレスを感じてしまうか」についてよく考えておく必要があります。
この点において学生時代に体育会系の部活に所属することやアルバイトを経験するのは良いことだと思います。自分のストレス耐性について知ることのできる良い機会となります。

ハイポ病院は無難か?

「ハイポはハイパーを兼ねる」「ハイパーとハイポで迷ったらハイポにしておけば無難」という言葉もよく聞きます。果たして本当にそうでしょうか。
前項でもお話しましたようにストレスを感じるポイントは個人によって大きく異なります。たしかに業務量の負荷は多くの人にとってストレスになりやすいものですが、自分がストレス耐性がどこにあるかはよく考える必要があります。

私の後輩で非常に優秀で勤勉な子がおりました。
忙しすぎず、給料も多く、教育熱心な先生も多い研修病院に第一志望にマッチし、家庭も仕事もバランスよくこなしていくんだろうなとみんなが思っていました。
しかしながら、その子は研修を半ばにしてドロップアウトしてしまいました。理由は「教育熱心な特定の先生たちと合わなくて辛かった」というものでした。

どんなにみんながハイポ病院だと思っていても、自分にとってのストレス地雷がどのように埋められているかはわかりません。

ストレス環境にさらされたときに重要なのは「ストレス耐性を上げる」などという無謀なことではなく、「ストレス環境から距離を置くこと」や「ストレスを処理できる材料があるかどうか確認すること」です。

私の場合はどんなに理不尽やストレスにさらされても、他では得られがたい経験と給料の高さを納得材料として、自分のストレスを処理していました。
また、初期臨床研修では専属秘書がいる病院を選んでおりましたので、ストレスから距離をあけるための秘書さんにこまめに相談をしていました。

ハイパー・ハイポの二元論ではない

何度も言いますが研修病院選びでは「無事に2年間の初期臨床研修を終えること」を重視し、その上で自分がストレス環境にさらされたときの納得材料や逃避方法を確保するのが一番大事だと思います。

そして、その上で自分が必要とする研修を実現するにはどうしたらよいかをゆっくり考えるのが良いのではないでしょうか。

したがって、病院選びはハイパーハイポといった世間が決めたラベルに基づく病院の評価で見るのではなく、まずは自己分析をするところから始まるのだと思います。

超絶ハイパー病院であっても自分にとってのストレスは一切ない可能性もありますし、逆にハイポ病院であっても自分自身は絶対に許容できないストレス環境が存在することだってあります。

まずは自分が望むこと、望まないことそれぞれについて、優先順位をつけて10項目ずつ挙げてみましょう。そして、病院見学をする際に、それらの項目ごとに点数をつけて、一番総合得点が高い病院を選べばよいのです。

研修病院に求める項目を10個も挙げられないという学生さんもいるかもしれません。
そういった学生さんたちのためにあるのが、レジナビなどの合同説明会や練習用の病院見学です。
先輩たちが「どのようなことを重要視して病院を選んだのか」に関する話をよく聞いて、自分にとっても大切な要素だと思ったら採用したらよいのです。
良い研修病院に出会えるようあなたにマッチした研修病院評価表を作りましょう。

最後に

初期臨床研修病院を選ぶにあたり、様々な人から話を聞いて悩むことと思います。
もしよろしければ喜んで相談に乗りますので、質問がある方は是非TwitterのDMでご相談をしてください。
また、良かったらnoteのフォローも何卒よろしくお願いいたします。

https://twitter.com/erqqicu


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