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干し野菜作りとその効果【Day46】

任地13日目.
今日はいい天気だったので,一日家事DAY.

朝から料理,洗濯,家の掃除と平日中にはできない家事を行った.

午前中は干し野菜作りに勤しんだ.

1.なぜ干し野菜?

私は料理をするのが好きなので,基本的に食事は自分で作っている.
月と木曜にはマーケットで買い物をするのだが,ついつい野菜を沢山買ってしまう.また,ニンジンやトマトなどはすぐ傷んでしまうため,消費が早いのである.

加えて,私の家には冷蔵庫がない.
今月末に帰国する先輩隊員から冷蔵庫をもらうことになっている.

野菜を上手く保存するかつ少しでも栄養価を上げるために,干し野菜を作ることにした.

2.干し野菜づくり

日本から昆虫飼育用にネットを持ってきているのだが,本来の用途は干し野菜用ネットなのでこれを用いることにした.

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このネットがなくても,洗濯ネットや生ごみ用の排水ネットでも代用できるようだ.アフリカでは,お米や野菜を入れるビニールを編んだ袋があるが,その袋でも代用できるか今後試してみたい.

ルワンダの現在の気候は乾季で,標高が高いこともあって日差しがとても強い.そのため,干し野菜作りが非常に向いているように思う.

ニンジン,トマト,ピーマン,ナス,しょうが,ニンニク,加えてサツマイモの干し野菜を作ることにした.

ニンジンや大根,ゴボウといった水分が少ない根菜は干し野菜に特に向いているようである.他にも,ピーマンやトマトといった水分の多い野菜でも作れるようだ.

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これらの野菜は天気の良い日であれば半日で作れる.セミドライだと腐らせてしまいそうだったので,明日ももう一度干す予定である.

サツマイモに関しては,干し芋が食べたかったので試しに作ってみた.
作り方は,サツマイモを茹でてから(本当は蒸す方が良いらしい)適当な薄さにスライスし,4日ほど干すと干し芋が完成する.

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3.干し野菜が完成

1~2日間天日干しした野菜たちがコチラ.
手前がニンニク,奥が生姜である.ニンニクはオリーブオイルに付けてガーリックオイルにするのが楽しみだ.ショウガはミキサーがあるので粉末にするのもいいかもしれない.

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ニンジンは輪切り,千切り,細切りにしてみた.4本分使用したが結構面積が小さくなった.

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トマトは色鮮やかになり,風味が変化した.こちらもオリーブオイル漬けにしたり,パスタと一緒に食べたら美味しそうである.

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ナスとピーマンである.ナスは乾燥してかなり小さくなった.出汁が手にはいったら,出汁で戻して鰹節と一緒に食べてみたい.
ピーマンも色が鮮やかになった.傷んだりしわしわになりやすいので,干し野菜として保存するのは良さそうである.

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そして,完成した干し野菜たちがこちら!
小さな段ボール1箱分の野菜が,一皿に収まるくらい小さくなった.
美味しい食べ方についても模索していきたいと思う.

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干し芋に関しては2日間干したものもちゃんと干し芋になっていた.4日間干す予定であるが,あまりの美味しさに干し終わる前に食べ終わってしまいそうである.

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4.干し野菜って何がいいの?

干し野菜について調べると,“干し野菜はいいことづくし”,“メリットしかない!” といったプラスの内容が多かった.

野菜が凝縮されて,栄養価がある的なことが多く書かれていたが,果たして天日干しすることによって何故栄養価が上がるのか,メリットだけなのか,デメリットはないのか気になったので,調べることにした.

この記事「食の科学“干し野菜”を考える」が面白かったので,参考までに.

干し野菜は古くから“保存法”として世界各地で行われてきているが,現在では“野菜をたくさん摂取する”,“栄養価を上げる”ことが目的としてあるようだ.

野菜は種類により異なりますが,一般に, 水分は約 90%,炭水化物は約7%,たんぱく質は 2%前後,脂質は 0.1%程度とほとんどなく,無機 質は約1%です。

野菜を構成する90%が水分になるのだが,干すことにより数%~30%まで水分が減少するようだ.栄養素が凝縮するというのは明らかである.

化学的変化の面からみると,天日干しすることにより温度上昇(熱エネルギー),さらに太陽光(光エネルギー)により化学変化が起きて栄養素が変化することになる.

主な変化としては,以下の3つが挙げられる.
〇デンプンのα化
〇酵素反応
〇ビタミンや色素の酸化

デンプンは,α-グルコースがグリコシド結合によって重合した高分子化合物である.直鎖状の構造をもつアミロースと枝分かれ構造をもつアミロペクチンがある.

α-グルコースは水素結合によってこれらの分子構造を維持しているのだが,加熱つまり太陽光で温まることにより水素結合が切れて構造変化が起こる.水素結合が切れることで水が入りやすくなり,α化つまり糊化(こか)が起こるのである.α化したデンプンを食べることで唾液に含まれるアミラーゼ(デンプンを糖に分解する酵素)が働きやすくなり,結果として甘く感じるのである.干し野菜にすることで甘みが増すということは,デンプンのα化が関係しているのである.
(参考資料:食品安全委員会「食品を科学する」)

野菜には様々酵素が含まれているのだが,デンプンと同様に太陽光で温まることにより,酵素が働き自己消化が起きるのである.酵素反応が起きることでアミノ酸や糖などが生成し,旨味や風味が生じるのである.

ここまでは主にメリットになる.一方で,ビタミンや色素が酸化されることで栄養素を失ってしまったり,色が悪くなってしまうデメリットもある.
特にビタミンCやビタミンB類は熱や酵素に弱いため,天日干しすることで減少してしまう.

しかし,アフリカで生活している以上生野菜を摂取することはあまりなさそうである.加熱することが基本になるのでどちらにせよビタミンが必然的に失われることになる.そのため,ビタミンに関してはフルーツから摂取するかサプリメントの服用が良さそうである.

ここまで簡単に干し野菜についての化学的側面からの効果についてしらべてまとめてみたのだが,自分なりにメリットとデメリットをまとめてみる.

5.干し野菜のメリット

参考資料に記載されていた干し野菜の利点は以下の通りである.

〇保全性の向上
〇栄養素の凝縮
〇味の向上
〇色の向上
〇香りの向上
〇利用価値向上
〇苦みの向上
〇その他(テクスチャーの向上,独特の風味,容量及び重量の減少)

メリットに関しては“干し野菜”で検索すればいくらでも出てくるので,ルワンダやアフリカで行うメリットについて挙げたいと思う.

①保存性
なんといっても保存ができることである.冷蔵庫の有無も影響があるが,日本に比べて電気が不安定かつ買い物がしずらい状況にあるため,腐りにくい状態で保存ができることは大きなメリットである.

②野菜の有効活用
特に使いきれなかった野菜についての活用法としては非常に良いと考える.地方では,野菜が安いかつマーケットの開催日が制限されているため,野菜を多めに買う機会が多い.さらに日本に比べ,野菜の品質が劣っているため,野菜が萎れやすかったり,腐りやすいように思う.そのため,使う前に傷んでしまうことが多々ある.萎れた状態であれば,そのまま乾燥させてしまえば捨てなくて済むのである.

③栄養素を沢山摂取できる
野菜の体積が減るため,食べれる量も増加する.アフリカではTHE 炭水化物中心の食事であるので,野菜を意識して摂っていても葉物野菜が食べれない分,結局十分に摂取できていないように感じている.野菜を多く食べるという点では容量が減少した干し野菜は,栄養摂取という点では優れていると考えられる.また,乾燥したことにより,調理時の栄養素の損失が生野菜よりも少ないようである.
加えて,手軽に摂取できるのも大きなメリットであると考える.野菜や果物を食べるにしても,よく洗って,切って,場合によっては調理してといったようになかなか手間がかかる.干し野菜にしておけば風味が向上しているのでドライフルーツ感覚で食べることができる.こちらで小腹がすいたときに食べるものがビスケットかバナナしかなかったので,いいおやつになりそうである.

他にもまだメリットがあると考えられるが,調理していく中で付け加えていきたい.

6.干し野菜のデメリット

干し野菜デメリットは以下のことが考えられる.

①ビタミンの減少
ビタミンCやビタミンB類などが加工過程によって失われてしまうことである.このことに関しては,通常の加熱調理でも同等のことが言えるので,ビタミンの損失が少ない調理法を考えていくとともに,サプリメントで補っていきたいところである.

②農薬の凝縮
日本に比べて,がっつり農薬が使用されているようである.ニンジンのように皮をむいて干し野菜を作るのであればいいが,トマトやナスのように皮つきの場合,農薬をよく落とすが皮を取り除く必要性が考えられる.
日本の食器用洗剤の用途欄には“野菜”と書かれている.こちらの食器用洗剤もおそらく使えることを信じて,洗剤を使って農薬を落としている.葉物野菜の加工は厳しいかもしれないが,トマトのような野菜ではしっかり農薬を落とすことが大切である.

③カビや腐敗
日本に比べて年中の気候が安定しており,なおかつ湿度も高くないのでカビは生えにくいと予想している.現在は乾季なので,雨期になったときにカビや乾燥しきれていないことによって腐る可能性がある.その点については今後調べていきたい.

ここまで干し野菜について調べてきたが,作ること,食べることを通して効果的な調理方法や摂取方法を模索していきたい.

#青年海外協力隊 #JOCV #ルワンダ #干し野菜
#dryvegetable  

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