好きなものの話はなぜあんなに面白いのか?

好きなものについて語っている人の話が好きです。

その内容に関わらず、こちらを置き去りにするぐらいの熱量で話しているのを聞くのが好きです。

私にとって、“話している人の好きなものに興味があるかどうか”という観点はあまり意味がありません。

私は「その人がその対象を愛している様子」に興味があるから。

「好きなものに対するあなた個人の見解」が聞きたいから。

好きなものの話には、話してくれる人の趣味嗜好や考え方の傾向、人格などがにじみ出ていて本当に面白い。

なんの話だってそういうものがにじみ出るんだろうけど、好きなものの話が特に顕著。

だから、初めて会った人には「何が好きなのか」を聞いてしまうし、
何かのヲタクである事がわかったら「その中で何が一番好きか」「どういうところが好きなのか」「いつから好きなのか」と質問攻めにしてしまう。

そして聞くたびに、「そんなところが好きなのか」「そんな見方もあるのか」という発見が毎回あって、それが本当に楽しい。

逆に、好きなジャンルについて一から説明してくれるような話はあまり興味が持てない。

例えば歴史ヲタクの人に話を聞くなら、
「この人はいつどういう生まれで何をした人で…」という説明はあまり楽しめない。
話し手の主観が入らない話は退屈に感じてしまう。

それよりは、いきなり「この人のことをもうずっと推している!好きな所はやっぱりなんたらの時になんたらしたその行動力!」とか言ってくれた方が、ほうほう、ってなる。
(なんたらばっかりですみません、詳しく知らないもので)

幸い、私の周りは色々な趣味を持っている人が多かったので、今まで色々な話を聞かせてもらった。

アニメ・俳優・声優・マンガ・アイドル・キャラクター・オススメのYouTube動画・歌手・バンド・ボカロ・ゲーム などなど…

みんなめちゃくちゃプレゼンがうまい。
誰の話も、聞いていて聞きごたえがある。

たくさんの人に対して、そのもの自体を、その概念をわかりやすく説明するなら客観視できてる人の方がいいんだろうけど、それはあくまで「説明」だ。
やっぱり「好き」の熱量が違う。「説明」寄りのものは聞いていて物足りなく感じてしまう。
話し手の主観、見方が影響しまくった「考察」の方が聞いていて楽しい。

そういう風にいろいろな人の好きなものの話を聞いていたら、結果として、意図せずあっという間にさまざまな分野に詳しい人になりました。

最近は、どの話題を振られても「ああ、この人なら知ってるよー」とか「なんたらっていう作品ならわかるよ」とか言えるようになった。

話している人にとっても、「自分の好きなものを相手も知っている」ということも嬉しいみたいで、さらに熱量を増して良さを語ってくれる。
なんてwin-winなんだ。

こういう風に人の好きなものの話を聞くのが楽しいのは何故なのか考えたのだけれど、
多分、私は「理解ヲタク」「考察ヲタク」なんだと思う。

何か特定の分野じゃなくて、
“「知ること」「考えること」のヲタク”
と言えるかもしれない。

何か特定の分野をすごく好きな人は、話しているとその熱量に引かれてしまうことも多いらしい。
私が話をうんうん頷いて聞いてるだけで、「趣味の話を最後まで興味を持って聞いてくれた」と感激されてしまったりする。

なぜ好きなことについての話が煙たがられる世の中なんだろう。
話している中身に興味が持てないからって聞くのをやめてしまうのは、とてももったいないことだと思う。

でもその手の話が敬遠されてしまうのは明らかに聞き手の問題なんだから、話す側は遠慮なんてせず、思う存分語って欲しい。

むしろ、バーっと語ろうとして、「ああごめん、わからないよね?つまらないよね、こんな話。ごめん」とか言われてしまうのがじれったくてしょうがない。

詳細を正しく知りたいならググるよ!つまらないかどうかは私が決める!私は本当に好きなあなたにしかできない話が聞きたいんだ!さあどうぞ続けて!

何かを好きになって極められる、それは本当にすごいことだと思う。

あなたにしかできない解釈、あなたにしかない視点。ちょっと変わった愛し方、あなただけの向き合い方。
そういうものが、ジャンル以上に重要視される世の中になるといいなと思います。

ここまで豪語しておいてなんだけれど、一つ申し訳ないのが、聞くことは本当に楽しいんだけど、別に話を聞いたからってその分野にハマるわけでもないこと。

「え!?知ってるの!?好きなの!?」って言われることも多いんだけど、その度に
「詳しく知ってるけどそこまで好きってわけじゃ…」ってなる。

多くの人は「好き!もっと知りたい!」ってなるらしいんだけど、
私は「新しいことを知るのが好き」「見解・考察を聞くのが好き」だから
聞いた時点で満足してしまう。
その中身に愛着が湧くのはまた別の話なんだなあ。
10個に1個か2個くらいは本当に好きになるんだけど。

どっちかっていうと、話している人の思想や文化を享受しているので、話の後で自分でそのジャンルを掘ってみようとは思わないことが多いんだ。
ごめんよ、宣伝しようとして話してくれた人。

「趣味がない」って困ってる人もいる中で、何か夢中になれるものがあるのはそれだけで一種の才能だと思います。

けれども最近、
何か凄く好きなものを持っていて、それを他の人に話した時、相手がその話を全く楽しんでくれなくて、軽いトラウマになってしまった人、
リアルの世界で話すことを諦めて、Twitterなどで見つけた同じ趣味の人としか好きなものの話をしなくなってしまった人
が多いように思います。

そういう人たちに、
私みたいな「考察好き」っていうタイプもいるんだよ、
同じものが好きでなくても、あなたが「好きなものについて話している」だけで楽しい人もいるんだよ、
ってことを伝えたくて、つらつらと書いてみました。

長々と書いたけど、結局言いたかったことを最後に書いて終わります。

あなたの好きなものの話が聞きたい。




ここまでお読みくださりありがとうございました!

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