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#9|『聲の形』とポスト・クラシカル

アルバム制作に向けて新曲を作っているのだが、なかなかに難航している。

頭でイメージしているモノと自分の中から出てくるモノが合致しない、という悩みは制作に励む者なら誰しもが一度はぶち当たる壁だろう。

ま、とにかくトライアンドエラーして、頭と手を擦り合わせていくしかないんだけどね。


ということで、気分転換に『聲の形』というアニメーション映画を今更ながら観てみた。

大学院時代に住んでいた岐阜県大垣市が舞台になっているということで、ほんとに何気なく。


観始めて数分経った頃

「これ、誰が音楽担当してるんだ!?(ピアノの)鍵盤叩く音まで聴こえてるじゃん!!最高かよ……」

と、感激してしまった。

こういう体験は実に珍しい。


どうやら、agraph というソロユニットで活動している牛尾憲輔さんが担当されているらしい。


この素朴な空気感、本当に素晴らしい。

例えば、Ólafur Arnalds や Goldmund、
映画音楽でいうとJóhann Jóhannsson などにも似たような雰囲気を感じる。



一通り『聲の形』サウンドトラックを聴いた後、agraph の楽曲を聴き始めたのだが、さっきまでの素朴なピアノサウンドがら一転、エレクトロニカではないか。

しかし、これまた良い。

Apple music の関連アーティストには Aus や Ametsubなど、大学院時代によく聴いていた人達が並んでおり、逆になぜ今まで見つけられなかったのだ、と悔やんでいる。



同時に、電子音楽を経由している人のピアノって独特の良さがあるんだな、と再確認した。

アンビエント的というか、メロディーの紡ぎ方とかね……。

先に挙げた、オーラヴル・アルナルズも「坂本龍一さんはエレクトロニカ的な発想を持っているから大好きなんだ」みたいなことをインタビューで言っていて、最近は特に自動演奏ピアノやシーケンサーを使用した楽曲を制作している。

牛尾さんやGoldmundも、別名義でエレクトロニカをやっていて、それがピアノに素晴らしい作用をもたらしていることから、

クラシックとエレクトロニカ、アナログとデジタルは相反するようで、実はとても相性が良いことが分かる。


こういった音楽のジャンルを「ポスト・クラシカル」と呼ぶことがあるが、そういう意味では、『聲の形』の劇伴は極めてポスト・クラシカル的な音楽だと言える。


なんか小論文みたいになっちゃったな。

お恥ずかしい。

安らかな音楽に癒されたところで、作曲に戻るとする。

では、また!!



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