無線LANのノイズを減らすスペクトラム拡散とは
最近ではオンラインで通話や会議をする機会が増えて雑音や画像の乱れなどのノイズに対して少し敏感になった方も多いでしょう。
これまであまりノイズを感じることがなかったかもしれませんが、私たちが長年使ってきた通信には常にノイズがつきものです。特に今回紹介する無線LANのノイズ低減は、まさに私たちの普段の生活を支える技術といって過言ではありません。
これまでに紹介した一次変調では、0と1のデジタルデータを物理現象である電波という形に変換することが主な目的でした。そして一次変調によって作られた電波をノイズに強い形にしてやるのが二次変調のお仕事です。
それでは二次変調について一緒に見ていきましょう。
スペクトラム拡散の原理
二次変調の中でも有名な方法の1つがスペクトラム拡散です。
スペクトラム拡散では、使用する周波数領域を広げるということです。と、言われてもさっぱりわかりませんよね。
どうして使用する周波数を広げるとノイズに強くなるのでしょうか?
ここではスペクトラム拡散の中でも主要な方法である周波数ホッピング方式と直接拡散方式について紹介しましょう。
周波数ホッピング方式
その名の通り時間経過とともに使用する周波数をシフトしていきます。
すると、どこか一か所の周波数でノイズが発生したとしても、すごいスピードで周波数を切り替えているので、ノイズの影響を受けずに相手側に情報を伝達することができるんです。
ホッピングチャネルと呼ばれる、移動する周波数が多いと妨害や干渉または傍受といった影響を受けにくいと言われています。
また、どの順番でどの周波数帯域を使用するのかがわからなければ通信の傍受もできません。このようなセキュリティの点からも秘匿性があると言われています。
直接拡散方式
送りたい情報は通常ある決まった周波数帯の信号として用意されます。
ここで使用する周波数帯域をもとより広げると、その分信号強度が下がります。具体的に何をやっているのかは難しいんですが、一次変調が済んだまだ強度が大きくノイズに弱い信号に対してPN信号というものを掛け合わせます。この操作自体が二次変調だそうです。
このPN信号を掛け合わせることで信号の強度を落として、周波数帯域を広く使った信号に変換されます。信号自体も弱くなることから第三者に傍受される心配もなくなります。
正式な受信者はPN信号を分離してやることにより元の一次変調後の信号を得てさらに位相の処理を行ってやることで、送られてきた情報を復元することができます。
ここでノイズが入った場合を考えましょう。
ノイズが大きく入っていたとしても、PN信号の処理を行うことで、逆にノイズは小さく広がった信号に変換されます。つまり、あらかじめ弱く広げておいた大事な信号は強くまとまり、逆に局所的に入ってきた強いノイズは弱く広がるということになります。こうして欲しかったノイズ以外の情報のみを検出することができるわけですね。
感覚的には想像が難しく、おそらく数学的な処理によりこの変換が成り立っていると思いますが、そこまでの理解は及びませんでした。詳しい人がいたら教えてほしいですね。※
最後に
空間中にデータを飛ばす無線LANの技術は想像以上に奥が深く、非常に難しい理論の下で成り立っていることがわかりました。今回紹介した内容だけでもずいぶん難しいと感じるかもしれませんが、まだまだ表面的なところをさらったにすぎません。
私たちの生活はこのような複雑な科学技術の進歩によって支えられているということが感じられたのではないでしょうか。
※ざっくり調べた限り信号変換は、おそらくフーリエ変換・逆フーリエ変換の関係ではないかと思います。広いものは狭く、狭いものは広くなるので情報とノイズの周波数幅の関係が逆転するのかなと予想します。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?