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「指でなぞる日本語」シリーズのリリース

Youtubeで「指でなぞる日本語」シリーズをリリースしました

新入生が入国。私の勤務校ではプレイスメントテストすなわちクラス分けのためのテストを順次実施しています。しかし、やっぱり、ひらがな・カタカナを満足に書けないという現実に直面。なんとかできないものかということで、授業開始までのわずかな時間を有効につかってもらうためにYoutube動画を制作しました。

ペンで書くのもいいが、指でなぞればいいじゃないかというコロンブスの卵

Youtubeでなんかいい感じの動画を作れないかなぁと常々思っていたのですが、凝った作りをするとそれなりに大変です。朝起きて、布団の中でまどろみながら、待てよ!?、ペンで書かなくても指でなぞれば学生に書き順が伝わるのではないか?と思ったのがきっかけです。まさにコロンブスの卵の発想でした。

とにかく「書き順を大切にしたい」という教師としてのビリーフ

書き順なんかどうでもいい、そういう考えもあるでしょう。必ずしも100%書き順が正しくなければならないとはいいません。しかし、書き順をしっかり身につけておけば、字も綺麗になるし、漢字も覚えやすくなるのではないかというビリーフ(教師としての信念)を私は持っています。データがあるかどうかは知りませんけどね。いわゆる習字、毛筆、書道を祖父から習った私は「書き順のメリット」を体で感じています。このメリットは学生にも強く勧めていきたいところです。

ペンも持ってこない、家で勉強なんかしない学生でもできる方法

日本の小学校で鉛筆消しゴムを持ってこなかったら先生にどやされます。しかし、日本語学校では日本の学校の常識は通用しません。こうあるべきだ、はおいといて、現実そんなんだからそれに対応するのが、日本語教師の仕事なのです。2年間在学して、「家で勉強したの0時間」と言ってのけた学生がいました。アルバイトが忙しくて勉強などしていられないと。まあ、そういうご時世なのでしょう。しかし、しっかりスマホはいじっている。ペンはないがスマホはある。なら、スマホと「指」で勉強できる教材があれば、多少は勉強のきっかけになるのではないかと思ったのです。

カンニングは留学生の常だが、それでも自分で取り組む姿勢を育むしくみをつくりたい

演習を紙に印刷して配っても、隣の人を見て終わりです。友達といっしょに取り組むのは必ずしも悪くはないのですが、どうにかして自分で取り組むしくみを作りたいと、この2年位考えていました。
授業の中では、ホワイトボードの前に出てきて学生に書かせるやり方がありますが、私は好きではありません。時間がもったいないからです。しかし、ホワイトボードに書かせるのは、「紙を斜めにして書く」学生に対しては重要な効果があると思っています。ホワイトボードは動かせませんからね。それなら、もっと効率的に大画面に文字を表示して、それをトレースさせたら誰のを見るのでもなく、頭に入る演習になるのではないかと思うようになりました。
モニタに映して、トレースさせて、書き順が正しかったらクリア、読めたらクリア、意味がわかったらクリアで「次のボタン」を押していく。そんなアプリ的なものをつくりました。間違った問題はまた表示されて、できるまでやるというプログラム。これは近い将来、Webアプリにしたいところですが、このようなアウトプットをする前にインプットするツールも必要なわけです。

何もかも求めず、ただ書き順に特化

ひらがなカード、カタカナカードをつくっていると、ついついサービスしたくなります。アルファベットをつけた方がいいのではないか。関連する語彙を添えた方がいいのではないか。しかし、作る時間を最優先して、すっきりシンプル、BGMも声もない無音の仕様にしました。時間も10秒程度。1分近くの動画は見ないそうです。「秒」の感覚で生きる若者は、日本も世界も同じようです。短く、スパッと頭に入るように作った方がウケるのかなと期待しています。

新入生は授業開始前のウォーミングアップ、在校生は復習、卒業生は授業中寝ていた損を取り戻すために

新入生は私が名付けた「はい、先生!期」ですから素直です。しかし、言いたいことは言えません。それでもいいです。今の素直な気持ちの時期に、とにかくひらがな・カタカナを書き順を大切に頭に入れてくれたら十分です。
在校生は、「ない、先生!期」から「だいじょうぶ、先生期」に入ります。長期休暇を終えると、グンと会話力を伸ばしてきます。アルバイトで鍛えられているんですね。しかし、漢字・語彙・文型はかたっぱしから忘れてくれます。まあ、いいんです。そういうもんです。それをどうにかするのが日本語教師です。また、出遅れからずーっと勉強に苦労している学生も少なからずいます。授業中起きてさえいれば最後までにはなんとかするから、とにかくひらがな・カタカナだけは忘れずに、授業を聞いてわかるようになるようについてきてくれと思う限りです。
卒業生は現在、専門学校に大半が入学していますが、一部就職している学生もいます。日本語学校より専門学校や会社が厳しくて目を回しているようです。ざまあみろ、だから言ったろってなもんです。しかし中には、もっとちゃんと勉強したいと言う意気込みの学生もいます。おお、うれしいね。こちらもひらがな・カタカナだけでなく、もっといろいろ勉強が楽しくなるコンテンツを考えたくなります。授業中寝てて損してしまった時間とお金を取り戻せたらいいですね。

まとめ

とりあえず突貫工事でひらがなシリーズをつくりました。来週はカタカナをつくります。そのころ新入生クラスがスタートします。漢字テキストを始めるころまでに、ある程度の入門漢字の書き順シリーズを用意しておきたいですね。アプリ開発の方もこっそりと進めます。私も学ぶことがたくさんですが、こんな仕事なら楽しくてしかたないですね。最後まで読んでいただきありがとうございました。また次回をお楽しみに。

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