見出し画像

しあわせの味

今年も和歌山の実家から八朔(はっさく)が届いた。


家の裏には何本も八朔の木があって、農薬は使わずほぼ何もしていないのに、毎年自然にたくさんの八朔がなる。

大きくて、みずみずしくて、酸っぱくて、時々ちょっと苦くて。

いつでも食べられるように皮をむいてタッパーに入れておこうと思うのだけど、ついついむきながら1つ2つと口に運んでしまって、気づいたらタッパーは空っぽ。結局ストック分は残らず、毎回食べるたびにむいては食べ、むいては食べを繰り返している。

子供の頃は、圧倒的にみかんの方が好きだった。なんせ和歌山なので、実家(当時は”おばあちゃんち”)に行けば、食べても食べても無限にみかんが出てきて、ついには手のひらや足の裏が黄色くなるぐらい、ひたすらみかんを食べる子供だった。当時は八朔は酸っぱくて苦くて、あんまり好きじゃなかったのだけれど、大学生になって一人暮らしをし始めた頃から、和歌山から届く八朔が美味しいと思うようになった。大人になったのか、実家の恋しさか。いつの間にかすっかりはまっていた。


そして今年も八朔が届き、今夜もわたしは八朔を食べている。

しあわせな味がする。


#日記 #家族 #エッセイ #八朔 #季節の話 #旅しゃぶ更新部

ありがとうございます!いただいたサポートは大切に写真や文章の糧にさせていただきます*