安藤菜穂子

旅とアートとデザインとインテリア、その他を中心に活動するライター/編集者。『マティスを…

安藤菜穂子

旅とアートとデザインとインテリア、その他を中心に活動するライター/編集者。『マティスを旅する』(世界文化社)https://amzn.asia/d/hXP6hM7

最近の記事

旅とアート:ヴァンスのロザリオ礼拝堂3    影がない。光しかない。

ロザリオ礼拝堂に入った瞬間に思ったのは「影がない!」ということでした。 ↑の写真(Photo by Yuji ONO)の印象とは、ちょっと違いますよね。 およそ教会であれ寺社仏閣であれ、宗教建築がもっとも大切にしているのは「光」だといえるでしょう。光をより際立たせるため、「影」もまた重要視されます。私たちは、影によって、光の存在を強く感じます。 しかしながら、ヴァンスのロザリオ礼拝堂には、光だけがありました。取材に伺ったのは、3月初めの午前中。マティスのいうベストタイミン

    • 旅とアート:ヴァンスのロザリオ礼拝堂2  修道院からの眺めと、遺言の金魚

      ショヴォー修道士が、「礼拝堂の外観を撮影するなら、とっておきの場所がありますよ」と提案してくださったのが、礼拝堂の隣にある修道院の塔。修道院の中に入れていただけるとは思っていなかったので、いいの?マジで?と少し遠慮がちな態度をとると(本当は行けるところならどこにでも行きたいわけですが)、「マジマジ、行こうよ大丈夫」と軽い感じで案内してくださり、ワクワクしながら最上階まで階段を昇りました。塔の窓から見た礼拝堂の姿が、上と下の写真です。2種類の青と白の瓦を組み合わせた屋根や、壁の

      • 旅とアート:ヴァンスのロザリオ礼拝堂1   本当の設計者は誰?

        2023年の「マティス展」、2024年の「マティス 自由なフォルム」展、ともにヴァンスのロザリオ礼拝堂を大きく取り上げています。「マティス展」では4Kで撮影された映像を大きなスクリーンで上映していました。「マティス 自由なフォルム」展では、これを書いている時点ではまだ展覧会開催前なのでどのようになるのかはわかりませんが、礼拝堂が体感できる空間展示がなされるとのこと。楽しみですね。 この礼拝堂は、ニースから車で約30分のところにあるヴァンスという中世の村の旧市街の外れにありま

        • 旅とアート:2つのマティス展。

          2023年の4月から8月まで、東京都美術館で「マティス展」が行われました。そして2024年にもまた、2月14日から国立新美術館で「マティス 自由なフォルム」展が行われます(5月27日まで)。 私は、2023年「マティス展」の主催社のご協力を得て2023年2月末〜3月初めにフランスを取材し、雑誌『家庭画報』(世界文化社刊)にてマティス特集を担当しました。それを元にした単行本『マティスを旅する』(世界文化社/家庭画報ビジネスパートーナーズ刊)も発売中です。この本は「マティス展」

        旅とアート:ヴァンスのロザリオ礼拝堂3    影がない。光しかない。