ボクは「君たちはどう生きるか」で宮崎駿監督に説教されたかったのかもしれない


どうも琲煎まきです!!

皆さん観ましたか?!??!?!?!

「君たちはどう生きるか」をだ!!!!!!!!!!

今朝方、早起きしてしまったので映画を観に行きたい欲に駆られて観に行ったのですが、考えさせられる作品…というか何というか…なるほどの嵐だったり、解釈の余地の嵐だったりした半面、劇場がはてなマークだらけになってるような空気を感じながら一人オタク丸出しで「なるほどね…」と思いながらこれを綴っているわけなのですけれど、皆さんどう思いましたか?

まず最初に、ネタバレありきで語ること必須なのでその点気になる方は気を付けてください。…と、思うんですけど情報非公開での上映でいきなりあれを見せられると正直困りそうでは、ある。

ジブリファンとして観るのか、宮崎駿作品ファンとして観るのか、古いアニメオタクとして観るのか、新世代アニメ好きとして観るのか、クリエイターとしてみるのか、アート好きとして観るのかで様々な意見が割れまくると思うので一概に全てを汲み取って語るのは難しいと思うし、あくまでボクの詠み方を滅茶苦茶主観的にフォーカスしまくって語ろうかなと思います。

※あくまで個人的な読みが多く含まれており、当てつけのような表現もありますので、これらが全てではないという事を念頭においてお読みください。

そんな感じで今回は映画語りをしていきますが、普段は料理系で活動してる者なのでもし興味ありましたらそちらもチェックしてみてください!




ボクはどう観に行けるのか

まずお茶濁しから入りますが、ネットでチケット予約すると何かめちゃ安いんですよね。大人一人1100円で観れるんですよ。

それで早朝にネットで予約して10時から観に行くぞ!!!と思って、色々な作業をこなしながらついでに車も洗っちゃお!と思って余裕ぶっこいてたら見事に遅刻してしまいまして、上映開始15分後に到着してしまいました。

正直10分程度であれば上映前のCM段階の可能性もありそうなのですが、15分は絶妙~~!!普通の映画なら無理にでも入りたい所でしたが、今作は前情報無しのジブリ作品。冒頭の数秒でさえも観離せない…!!ので!!一回目の上映をスルーしてもう一度チケットを購入して昼からの部で観ることに!実質2200円…!!でも一つの作品観るのに2,000円台突入してる劇場もあるみたいだし…まあ…ね…?ある意味歴史的瞬間だし…。という事で返って期待値も高まるばかり。

この時点ではまだ「ナウシカ2来るんじゃね?」という淡い期待もありました。監督存命の内に漫画版の続きを映像化してくれ~~~!!という願いは他所に、結果としては色々と裏切られることになるのですが。こんな調子でどう生きていけばいいのか。

…という事で変な前振りから始まりましたが、2回分のお金を払って観てきました。

ジブリの異世界転生物ってコト!?

滅茶苦茶ざっくり感想を言うと意味不明wだったのですが、ジブリ作品としてではなく「宮崎駿監督の作品である」という点に着目すると納得のいく作品でした。

ファーストインプレッションとしては、アニメ版「ピンポン」張りの激しい躍動感のある作画で魅せてくる戦時物って感じで、まず「ナウシカ2」の夢が破られてしまった事に勝手にがっかりしながらそれでも宮崎駿監督の魅せたい物というのはこういった物なのだなと腑に落として観続けました。

正直「風立ちぬ」が個人的に滅茶苦茶面白い内容だったので、期待値そこそこに「蛍の墓をもう一回やるつもりか…?!」と焦りも含めつつ観ていくと、妙に幻覚めいた演出が挟まれ始めます。そういう夢半ばな演出というのは「耳をすませば」などでも挟まれていたので、ある程度は“詠める”のだけども、それにしてもその表現の粘着力が強い。強すぎる。

このストーリーにおいて真人という存在が、過去の経験や境遇から周りに溶け込めずに自傷にも走り、周囲に迷惑をかけながらも自身の思う行動をするという「少年の物語」なのだと受け取っていたら、急にドロッとした物が溢れてきて少年のリアルに侵食していく。

アオサギという存在に関しては少年の空想でもあるように思えた物の、結果として物語に大きく干渉してくる存在でもあったのですが、場面によってコロコロと発言が変わる様は真人の心象の表現にも感じたし、参謀としての立ち位置として面白く、ナウシカのクワトロ、或いはもののけ姫のジコ坊のような存在として楽しめました。主人公の行動にあれこれ水を差していく様が少年の心の中の葛藤のメタファーにも見え…って…あ、これ鈴木敏夫プロデューサーの事か!

で、こっからだいぶネタバレになるのですが、真人が引っ越してきた家の隣にある塔から異世界に飛ばされてしまうんですね。ここから夢なのか現実なのかよくわかんない描写で進んで行って、気づいた時には「これ地続きの話なの!?」と理解するのにしばらく時間をかけてしまったのですけど、まさか戦時の日本を舞台に異世界転生物すると思うわけないじゃんなんだこれ!?マジで言ってんの!?と驚愕してしまいました。

まさかジブリで異世物出てくると思わないじゃん。

異世界編はクリエイター目線で見ると滅茶苦茶おもろい

で、異世界転生した真人が様々なキャラクターと出会うのですが、一緒に来たはずのキリコおばあさんも異世界キリコと化してて、魚を釣って謎の住人やワラワラ達に魚を振る舞うというシーンがあったり、ヒミという謎の炎使いが現れたり、ペリカンやセキセイインコが暴れ散らしたり、インコ大王がちゃんとジブリ作品の悪役として機能してくれたり、大叔父様が積み木で一人ジェンガしてたり…もう何か登場人物が面白過ぎる

これ…比喩とかどうとかってレベルじゃなくてもう制作陣が好き勝手やってるな~~~!!

観る人選び過ぎてると思うんだけど宮崎駿監督が作った作品としては面白過ぎる内容でした。

逆にこれ「わかる人どこまでいるの問題」が出てくると思うんですけど、これよく事前情報無しに劇場というフィールドでやったな…という点においては、だいぶ心配になる作品でもあります。

キリコやヒミの言動や行動からは高畑勲監督へのエールのようにも汲み取れたし、大叔父様と真人には宮崎駿監督自身の葛藤や願いが秘められているように感じたし、ワラワラと謎の住人たちは新米クリエイター達だし、そんな大事に育てて現実に飛び立とうとするワラワラを食べて地獄にとらわれて暮らすペリカンはインターネットに蔓延るアンチだし、インコってモノマネする事から現代の若手クリエイター達の成れの果てのような示唆をしてるように感じたし、その中でもひときわ威張ってて結果を出してるインコ大王は現代の偉業を成していていずれ日本が誇るジブリの座を奪い去ろうとするアニメ監督達を示唆してるようにも感じたし…色々整理してたら面白過ぎるでしょ。

と、言った感じでまず登場人物がどのように機能していて、なぜそういう役回りをしているのかを、宮崎駿監督の生き様を汲み取って読み取ることでやっと真価を得られる作品が「君たちはどう生きるか」なのか~~~~~~~~~・・・・・・ってわかるわけないだろ!!!!!!!面白過ぎるだろ!!!!!!!!!!!!!!!!

ただ、この作品を「意味不明w」の一言で終わらすには惜しいぐらいに、感受性や読解力が求められて、それらの周波数が合うタイプの人種には「面白み」が確かにくみ取れる内容になっているので、宮崎駿監督作品のファンには滅茶苦茶面白い。

でも、ジブリという枠組みでカウントされて、しかも夏休み真っただ中の映画館というエンターテイメントの場としては物凄い悪手にも思えてしまって、その板挟みになってるジブリファンや家族連れのお子さんへの裏切りにもなってしまってる点においては評価分かれてしまうだろうなあという杞憂もありました。

ただ、その杞憂というのはマジの杞憂かもしれなくて、ぶっちゃけ風立ちぬで既にその片鱗は見せてるから。…宮崎駿監督に何か変化が起こってるのかもしれない。

なぜこの作品が生まれてしまったのか?

と言う感じで、一応の読みとして作中に出てくる人物を実際の人物などに置き換えて語る事はいくらでも出来るのですが、クリエイター側からすると「全部が自分自身の片鱗」っていう事も全然あり得るし、「作者そこまで考えてないから」説もまたあり得まくるので真実は闇の中なのですが、じゃあなんでこの作品が出来てしまったのか、について読みを含んで語っていこうかなと思います。

多分監督自身の老いから次世代のクリエイター達に対するエールのようにも汲み取れる節もあるのだけれども、また再スタートを切った挑戦状のようにも感じたし、これまでのジブリ作品のやり直し、要はシン・宮崎駿をしているようにも感じました。

と言うのも、現役で病みながらもバリバリ好きな事をしまくってる庵野秀明監督が、シン・ヱヴァンゲリヲンで綺麗な後始末をして評価され、かつて二次創作をしていたウルトラマンを自分の作品としてリメイクしたり、映画館というエンターテイメントなフィールドで好き勝手しているのを見ていたら…

ボクが宮崎駿監督だったら羨ましいし悔しさも感じるかも…!!!

他にも最近では細田守監督や新海誠監督など、社会的にも認められてる新たな大衆向けアニメを展開する若手が同じフィールドにも入ってきてるし、そこに「ジブリ作品だから好き」という層が未だに根付いているとしても、それはかつての高畑勲監督の栄光にすがっているような気もしてくるかも。今のジブリ作品を本当の意味で評価する層って実はアラサー後半~シニア世代で、現代の若い層に向けてのジブリ作品って、どれが当たるのだろう?

その新たな挑戦としての「君たちはどう生きるか」であり、ある意味これまでの作品の集大成を見せて問いかけられていたのかもしれないと思うと、この作品はとても意義のあるように感じるし、尊い願いのようにも汲み取れるのでした。

ただ…これまでのジブリ作品のやり直しのような描写やメッセージも確かに含まれてたけど、ぱっと見で汲み取れるのか…!??!?

そういう意味ではボクはもしかしたら、ちゃんとしたわかりやすいストーリーラインでたまに現れる宮崎駿監督のジブリ節に説教されたかったのかもしれないな…。

ボク達はどう生きるんやろなあ…

それで急に本編の話に戻りますが、真人とナツコが異世界で生前のお母さんと若い頃のキリコに会い、そしてそれぞれ別れて異世界から現代へ戻るのですが、ペリカンやインコたちも一緒に来てしまって何故かナツコがインコを「可愛い!」と言ったり真人もペリカンを「無事でよかった」と言うとアオサギが何かしら思う事を忠告するのですが、これはある種の多様性を受け入れた描写のようにも感じました。

クリエイター目線からすると、大叔父様が積み上げた積み木が崩壊し、真人はそれを継がなかったけれど、欠片を手にして現実世界へ持ち込んだことから意志を繋いだように感じるし、ワラワラを食べることしか生きれない地獄から抜け出せたペリカンも救われたし、インコも憧れの象徴であるインコ大王の元から離れて自分の羽で飛び立ったのです。この世界にそれらは存在しても良いのだという未来への希望として描いたようにも感じて、それらが本当によかったのか、或いは破滅への一歩なのではと示唆する要素でもあるように感じます。

そのようなメッセージを噛みしめ、ナツコと和解(?)してちゃんと家族になった真人が戦後日本を生き抜くという締めで幕を閉じるのですが、よかったね~~~~~。

正直な話をすると、宮崎駿監督作品としては高評価なのですが、娯楽映画としての受け取り方は難しすぎました。もしかしたらなんですけど、劇場じゃなかったら物凄い評価していたかも。

と言うのも、ダンサーインザダークやキューブリック作品など結構好きなのですが、それぞれ後味が悪すぎたり難解すぎて放映中は色々と評価がヤバかったという話は耳にしました。でもそれらの作品が好みなのは何故かというとメディアや動画配信サイトで繰り返し見れて深堀りできるから

ジブリ作品は基本円盤でしか観ることが出来ないので今後あり得ないとは思いますが、映画館よりかはライトな動画配信サービスなどで初めてこの作品を見ると、滅茶苦茶ドハマりするかもしれないです。

アニメ好きの中学、高校生の時にこの作品に触れると絶対ヤバイ。かつてサイコホラー系アニメを探求しまくったように、「わからないからわかろうとする」を発動させて色々な文献を調べつつ、汲み取って真意を読み取って最高のアニメだと位置づけする可能性があります。

今評価割れまくってるようですが、この先10年後とかに改めて掘り起こされた時に真価を発揮する可能性も十二分にありえそう。

その時に、きっとまた大叔父様が真人へ積み木を託そうとしたように、新たな世代へアニメ文化という物を継承するアートアニメとして存在しているところまでがセットになるのかもと思ったら…面白い作品だなあ…。

って……わかるかァ~~~~~~~~~~~~~‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼

面白かったです!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

【終わり】

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