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『Munich ミュンヘン』


スティーヴン・スピールバーグ監督作品。

1972年のミュンヘンオリンピックで何が起こったかは、読んだり聞いたりして知ってはいたけれど、ドイツ人の前夫とでさえもこの事件について深く会話したことはなかった。この9月でこの事件からちょうど50年が経過した。

この作品はオリンピックでの事件そのものよりも、その後のイスラエル人側の視点で、事件の首謀者やその仲間たちを抹殺しようと動いていた者たちを描いている。

私が感じたことを一言で表すと「深い傷あと」。
そしてそれは今も癒えていない。

イスラエルとパレスチナの問題は複雑で長い歴史があることは言うまでもない。ドイツにいるイラン人やトルコ人の友人が「彼らはすごく似た者同士だし、色々な点が繋がっているにもかかわらず、とても憎み合っている」と言っていたのを忘れない。遠く離れた日本で生まれた私にはすぐには理解できない視点だったけれど、切っても切れない仲なのに互いを殺し合っているという、深い深い傷を感じた。

情報提供をしているルイが指定した、「安全な隠れ家」で鉢合わせになったパレスチナ人との間に芽生えかけた友情のような気持ちも描写されていたが、射撃戦であっけなく彼が殺されてしまう。平和を手に入れることはそれほど難しいことなのだろうか。



若き日のダニエル・クレイグもスティーヴ役で出演。



主役のエリック・バナは、オーストラリア生まれで、母はマンハイム出身のドイツ人だそう。「トロイ」も観たけれど忘れてしまっていた(私の記憶なんてそんなもんだ)。コメディアンでもあることも知らなかった。ジェフリー・ラッシュも司令塔役で出演。


アンドレアス役でちらっと出ていたMoritz Bleibtreu(モーリッツ・ブライブトロイ)はミュンヘン生まれのドイツ人俳優。ハンブルグ育ちということで、実は私も街で彼が息子さんと一緒にいるところに遭遇したことがある。


ドイツ語が分かる方は、こちらも。
今年行われた追悼のイベントで、被害者の家族がミュンヘンに集まった。ミュンヘン市長も謝罪しているが、未だに解明されていない点も多く誰も責任を取ろうともしていないとレポーターはコメントしている。


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