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#47 -薪ストーブのある暮らし。


ぱちぱちと音を立て、時折り舞う火の粉はまるで蛍のようにも見えてくる。ゆらぐ炎を見つめながら暖をとることほど心が落ち着くことはない。

昔から暖炉のある家での生活に憧れていた。

エストニアにきて、初めて暖炉・薪ストーブが当たり前に使われている生活を目の当たりにした時はそれはテンションがあがったものでした。

エストニアにある多くの木造のアパートには必ずと言っていいほど、暖炉があります。

ここでいう暖炉というのはよくアメリカ映画でみるような薪を燃やすところがオープンになっているわけではなく、鉄製のドアが薪をくべるところにあり、実際に火を眺める時間は長くはないのです。
もちろん、ドアが耐熱ガラスになっているものもあるけど、古いパートにはそんなこじゃれた特権はない場合がほとんど。
またこの手のタイプは暖炉の火で暖をとるのではなく、燃やすことによって熱をレンガに蓄熱させる、蓄熱型暖炉と呼ばれている。英語ではMasonry heaterという名で知られています。

2時間ほど薪をくべながら火を焚き続け、暖炉の石が手で触って、熱いと感じるくらいになったら火をとめて、ドアを閉める。
温まった暖炉は蓄積された熱を一年中部屋に与え続け、家の中を温かくしてくれます。

暖炉と1口にいっても、よくイメージしている暖炉や、このような蓄熱式タイプのも、ペチカ(ロシア式)、薪ストーブなどなどたくさんの種類があるけどもそれはまたの機会にとっておきましょう。

もちろんこの蓄熱式暖炉は贅沢品ではありません。

というか昔はこれしか暖を取る方法がなかったわけで、家の中でカチンコチンに凍りたくなければ毎朝早起きして火をたかなければいけなかったわけです。

リノベが施された家・アパートだったり新築であれば、断熱性・気密性も高く、一度温まれば、翌朝までは少し暖かさが残っていますが、古いアパートだとそうもいかず、昔住んでいたアパートでは、朝起きてから「寒い・・・寒い」と身をちぢめこめたまま暖炉まで行っては火を起こしていたものです。

ボクたちが現在住んでいる古民家も元々暖炉があったのだけど、多少の修繕が必要だったこと、火のくべる場所がリビングに向いてなかったことなど、2,3理由があって、新しい暖炉を作り直したのです。

蓄熱式の中でもさらにタイプがわかれていて、我が家はKaminというタイプのものにしました。

簡単にいうと、薪ストーブを暖炉に埋め込むようにして作るタイプのものです。

定番の蓄熱式暖炉はAhjuといって、ドア以外は全てレンガ・石でできています。このAhjuの方が、蓄熱の精度も高いので暖房設備としては優れています。

ただ、新しく作ってもらう時には、このAjhuとKaminでは値段に20万~ほどの差が出てきます。

我が家では暖炉は主暖房設備として使う予定ではなかったので、だったらそこまでこだわらなくてもいいかな?と思って、このKaminスタイルにしたのでした。


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ちょうどリビングの真ん中にある暖炉。こんな感じです。

座るところの石は石灰石でやってもらいました。(お雛様飾るところがなかったので、横にかざってました。)

上部には温風口があり、エアコンの暖房のように温風がでてきます。

蓄熱性は低いですが、少なくとも半日は暖炉の表面は温かいです。

寒くて暗い冬はいつだって、気が滅入りそうになるのですが、冬は毎日火を眺めながらの生活ができるので、あー冬、早く来ないかなー?と思う時もあるくらいです。w

朝、火を起こして、その揺らぐ炎をぼーっと見ながら温かいコーヒーを飲んでる時。子どもが寝た後に同じくぼーっと炎を眺めながらお酒を飲んでる瞬間って至福の時です。

デンマークではないですが、ヒュッゲ的な時間を楽しめるのが暖炉のいいところでもあります。


空気の入り口は横にスライドさせるやつで調節して、空気の抜け道は右上の棒を押したり引っ張ったりして調節します。

違いわかりました? 見た目はビデオでみるとあんまりわからないかもしれないけど、音の変化は聞こえると思います。コォーーってなってるやつが燃えている音です。

また暖炉を作ってもらった時に、まだ完全に漆喰が乾く前に、ヨメがお守りを刻んでくれました。

エストニアにはたくさんのシンボルや表象があり、それぞれの形には意味が含まれていて、民族衣装のパターンから伝統楽器や飾りつけのデザインとしても使われています。

そんなシンボルをいくつか混ぜ合わせて自作してくれたのがこちら。

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雪の結晶に似ていますが、大まかにいって、安全祈願です。

この家を守ってやってね

という意が込められています。

下の△は火を表象するものです。


まだまだ寒い時期が続くエストニアですが、もうすぐ暖炉の季節も終わろうとしています。ちょっと寂しくもあるけど、そんな一方でこれからようやく畑が再開できると思うと、まぁ、また冬になったらよろしくね。と、春の訪れを今か今かと待つことで頭が一杯になってきました。



が、今朝はまだこんな感じ。w

春はまだまだ遠いかな?

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