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Charlie Parker 『NIGHT and DAY』 解説対訳やってみた

レコードの原文解説の訳をします。

意図としては、自身の英語翻訳の勉強のため、日本語による解説では味わえないsomething elseを探ってみたいため、です。

本日は『the genius of Charie Parker #1 』(Verve)。ビッグバンドやストリングスが入っているため、うるさがたにはウケが悪いかもしれない一枚ですが、パーカー自身は望んでいた編成だったという話は有名ですね。そんな話は特に載ってはいなかった本解説です。パーカーの「ビバップ」への言及が載っていたのが個人的な収穫でした。

では、ご笑覧ください。

the genius of Charie Parker #1 (Verve)

囚徒(Yardbird)、チャーリー・パーカーは今や無い。それは厳然たる事実である。しかしなお、彼がジャズに残した遺産はあまりにも広大であり、指を折っていってもきりがない。真実を言えば、パーカーはこの10年間で全てのモダンジャズサックス奏者にだけでなく、あらゆる楽器のジャズプレイヤーに影響を及ぼしたのである。今日、他のジャズプレイヤーの独創性のない演奏が聴かれる中にあっては、依然としてチャーリー・パーカーのジャズの音色と手口は際立っている。あまりにも際立っているため、彼のレコードには少しの“note”も必要としない。しかしなお、パーカーは音楽に彼自身の多くを費やしている。「音楽は」パーカーはかつてこう言った。「あなた自身の経験であるし、考え方でもある。知恵、といってもいい。もしあなたがその中にどっぷり生きない限り、あなたの楽器からは出てこないはずなんだ。経験も考えも、知恵だって」。

“どっぷり生きた”パーカーはもちろん1955年3月12日にわずか34歳の若さで亡くなってしまった。囚徒(Yardbird)、チャーリー・パーカーの伝説は数多く、どれももっともらしく聞こえる。が、今や彼の音楽を語るだけで充分であるまいか。カンサスシティは1920年8月29日生まれのパーカー、彼は往時ビバップと呼ばれるジャズの突然変異を体現する一人としてみなされてきた。(パーカー自身はビバップという言葉を決して好んでいたわけではなく、むしろ「音楽」と呼ぶことを好んだ)。パーカーが1940年代初期に行ったこと、それは即興演奏における天才的な才能をジャズに加担させ、ジャズの古いパターンを取っ払って、刺激的で新鮮なブツに取り替えたことにある。その多くの着想は究極の鋭敏さで示されて、奇妙とも皮肉的とも捉えられそうな、それでいて比類なく美しい音色で演奏されるのだった。

このアルバムでパーカーは、ビッグバンドと、時折は弦楽セクションを交えて演奏している。アレンジャーはジョー・リップマン。今日、コマーシャルなセンスとアートとを同等視することのできる数少ないアレンジャーの一人である。この作品は、言うまでもなくアートである。

対訳に使用した原文はこちら

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