日日是好日

某月某日、やっと樹木希林さん、黒木華さんのこの作品を観た。ずいぶん気になっていたけどなかなか手が伸びないこともある。

主人公は1993年に20歳。私も同年代で既視感があった。まじめで機転がきかない主人公はどこか居場所がないと感じている。しかも器用に自分の居場所を見つけていく従姉妹とは違い、なんとなく就職も恋愛もうまくいかない。でも、お茶の手ほどきを受けていく中で主人公は頭で考えるのではなく、身体で、いや、心で、受け止め感じていくようになるお話。自然との調和を重んじる日本の心が表現されている。

「すぐわかるもの」と「すぐにはわからないもの」。
ー すぐにわかるものは、一度通り過ぎればそれでいい。
  けれど、すぐにわからないものは、何度か行ったり来たりするうちに、後になって少しずつじわりじわりとわかりだし、「別もの」に変わっていく。

この部分がこころに響いた。

私の中のフランス好きもなぜかよく分からないもの。でももやもやするのではなく、簡単に分からないけどわからなさを心の中に抱えている方が私は好きだなぁ。

若い時は日日是好日、毎日が良い日と言われてもその素晴らしさはわからない。でも、歳を重ねていくといかに今生きていることが幸運だと、今この時間を共有できる喜びをかみしめるものだ。

樹木希林さんの演技も渋く、最後は体調も悪かったに違いないが最後まで透明感があり素晴らしかった。

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