『情報処理』で「さようなら,意味のない暗号化ZIP添付メール」を企画しました

 時期を逃してしまいましたが、書いておきます。以下の、情報処理2020年7月号「《小特集》さようなら,意味のない暗号化ZIP添付メール」は、私が編集委員として企画しました。

https://www.fujisan.co.jp/product/1281702304/

 本小特集を企画した意図は、編集室のコラムに書かせていただきました。以下、記載します(印刷のものから修正してます)。

「さようなら,意味のない暗号化ZIP添付メール」企画意図

 まず最初にお詫びをしたい。このような特集では、本来は賛成派と反対派の両方の意見を載せるべきである。そうであって、はじめて適切な議論となる。だが、今回は、PPAP賛成派または推進派の原稿を載せることができなかった。書いていただける推進派は見つけられなかった。もし次回があるのであれば、そのような推進派の方を交えて、より本質を突いた議論を行いたい。そうすることで、はじめて問題解決の糸口が見えてくるはずだ。
 この「意味のない暗号化ZIPメール」の問題は、「部屋の中の象」である。「部屋の中の象」とは、誰もが目にしていて、誰もが解決するべきと認識している問題なのに、どうにも対応しようがなく、その場で居座り続けているというものである。
 私たちはセキュリティやUI・UXについて議論し、研究対象としてきている。「情報処理」でも度々扱ってきている。この分野への研究投資・技術投資は、すさまじい巨額であるはずだ。だが、そのような我々の努力をあざわらうかのように、この問題は、今日も目の前に存在している。
 私は、研究とは「目の前にある問題」を解決できるべきであると考えている。この目の前にある巨大な問題を無視して、セキュリティ、UX、ユーザビリティを論じるのは、そもそもおかしいのではないだろうか。
 今回は、この問題を論じるのに理想的な先生方に登場していただいた。今回のこの特集が、問題を解決する端緒となることを期待している。

おわりに

 以上です。私は「目の前にある問題」から離れて、取り扱いやすい話題だけを扱うという今の風潮に疑問を持っていました。これをきっかけに、PPAPに代表される、多くの人が疑問に思っている問題が扱われるようになってほしいと思っています。

 最後に、以下が本号のアンケートページです。ご存じの通り、意見を書いてくださる方は、とても少ないです。以下から意見を書いていただけると、編集委員として参加した私にとっても、はげみになります。みなさまの忌憚の無い意見をいただけますよう、どうぞよろしくおねがいします。

https://www.ipsj.or.jp/02moshikomi/enq/enq6107.html

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