えとふみ

「これ描きたい!」からスタートする私の油絵。真っ白なキャンバスに絵具をのせ、乾かしなが…

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「これ描きたい!」からスタートする私の油絵。真っ白なキャンバスに絵具をのせ、乾かしながら重ねて、重ねて。仕上がった時には頭の中は空っぽ。絵に吸い取られたあれこれの舞台裏を文でも書いたので、両方を楽しんで頂けたらと思います。油彩画以外に鉛筆画、ボールペン画、たまに写真と気まぐれ派。

最近の記事

「残り花」  えとふみギャラリー No.10

          ( ↑ 油絵 F15号) 上野の森の中にある美術館を出た。いつもなら駅に向かって歩くのだが、今日は何となく右に折れて、行き交う人や緑の葉が生い茂る桜の樹、下草などを見ながら歩いていくと古い茶店が見えてきた。このお店も上野の歴史とともに暖簾をくぐるお馴染みさんを迎えてきたのだろう。店内はさほど広くはないがしっとりとした落ち着き

    • 「スズメウリとリャマの置物」     えとふみギャラリー No.9

                                (↑ 油彩 F0号) グラスに入ったこの実は、ちょっと美味しそうだが毒があるので食べられないらしい。正式にはオキナワスズメウリというウリ科の植物の実で、南方の沖縄方面育ちだ。身近によく見られるオレンジ色のカラスウリと仲間である。 友人がこのスズメウリが大好きで、毎年苗を購入して育てていたのだが、昨年は自然に落ちた実から芽を出し、夏にかけて盛大に繁茂して、秋にはたくさんの実を付けたとか。 実を付けると葉は枯れてしまうの

      • 「種を蒔いたら」               えとふみギャラリー No.8

        (↑スケッチ画 ボールペン) 4年前の事、頂いた甘夏ミカンがとても美味しく、しかも立派な種だったのでベランダの植木鉢に蒔いてみた。20粒ほどだったと思うが皆、元気に芽を出した。 どう育てるか分からないまま、取り敢えず10㎝間隔で大きな鉢に植え替えた。2年も経つと緑の葉も地厚になり、茎もしっかりしてきた。心配だったのは、柑橘

        • 「柿を生ける?」えとふみギャラリーNo.7

          ( ↑ 油彩画 F8号) 縁があって、一軒の古い借家に引越したことがある。駅から歩いて7分位、商店街もすぐそばにある便利な所だ。 敷地内の家の周りはぐるっと回れるが、庭らしいスペースはなく、東南の角に少し植木やらが植わっていた。 その中に、10㎝ほどの太さでスパッと切られたばかりの切り株があ

        「残り花」  えとふみギャラリー No.10

          「お気の毒様」えとふみギャラリーNo.6

                                     ( ↑ 写真) いつもの道を散歩していると、つい足を止めてしまう所がある。どうしてこんな可哀想なことになったのだろうかと。 その道は、もと小さな川を暗渠(あんきょ)にして地上を遊歩道にしたもので、両側には花や木を好きな方たちが世話をし、育てている。私にも四季折々を楽しめるお気に入りの散歩コースだ。その道で見つけたのだ。 道に沿ってブロック上に金網のフェンスがある。道に面した住人が設置したものだろう。 ある日、そのフ

          「お気の毒様」えとふみギャラリーNo.6

          「その名はリッティー」         えとふみギャラリーNo.5

                              (↑ スケッチ画 ボールペン) このアカミミガメが我が家に来てから、30年近くにもなる。 末っ子の息子が小学3年生の頃に、世話は1人でちゃんとするからと懇願されて買ったのだ。 4センチ位だったか、小さくて可愛かった。毎日水を替えて、餌はそこの店で売っていた物をやる。何かを乾燥させて固めたようなものを小さくちぎってやると、その挟んだ指からパクッと食べる。 私はその当時、かなり忙しく仕事をしていたので、小さな飼育員はどの程度のお世話を

          「その名はリッティー」         えとふみギャラリーNo.5

          「鳩と狛犬」えとふみギャラリーNo.4

          (↑ 油彩 F10号) 静岡県の三嶋大社を訪れた時、狛犬の前を通りかかったら、2羽の鳩が頭と尻尾に止まっているので足を止めた。 狛犬は何処の神社でもあるので見慣れているが、鳩がその上に堂々と止まっているのは初めて見た。私が側で見ていても飛び立つ様子もない。 多分2羽はつがいに違いないく、

          「鳩と狛犬」えとふみギャラリーNo.4

          「モノトーン」えとふみギャラリーNo.3

                                 (↑ 鉛筆画 37×45) 最近、あるデッサンの講習を受けた。 久しぶりの鉛筆画だが「描くモデルは黒い色の物」という課題であった。 各自が様々な素材の物から選んでセットする。それらを置くスペースも各自が探し、私は西面の出窓風の棚にした。外からの光が室内の照明より多少強い為、柔らかな逆光となる。 白い立方体の台に白いトイレットペーパーを横向きに置き、下にふわりと垂らした。下は真っ黒な布を敷き、まるで黒いタキシードを着ているかのよ

          「モノトーン」えとふみギャラリーNo.3

          [古い急須] えとふみギャラリー N0.2

                                     (油彩 F6号) 「よろしかったらお持ちください」と書かれた紙が貼られた段ボール箱が、我家の近くの道角に置かれていた。不要となった食器をゴミとして廃棄するより、どなたかに使ってもらえたらというところか。 見てみると、洒落た洋食器や和食器の、数がバラバラになったものが入っている。 私は多人数に使えそうな急須を見つけた。丁度欲しかったサイズだ。 頂いて家に持ち帰ってよく見たら、全体にかなり使い込んだ感じもある。 近頃で

          [古い急須] えとふみギャラリー N0.2

          「日薬」の効用 えとふみギャラリーNo. 1

                       油彩画 F10号 「早春の北アルプス稜線上」 4人も手のかかる子供がありながら、大荷物を詰め込んだリュックを背負って出掛ける夫。 一応、目的地はざっと説明していくが、山は見るもの、登るものではないとの持論がある私には、その目的地は如何なる危険な所なのかも分かるはずもない。 すでに夫は、日常のあれこれで疲れ果て、赤信号がピカピカと頭の上で点滅している症状が現れだし、直ちに治療が必要と判断して登山科を受診するのだろう。 夫の登山のほとんどは単独行

          「日薬」の効用 えとふみギャラリーNo. 1