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GFIレポート(培養細胞食品)- 培養魚肉の状況について

培養魚肉関連企業の特許分析について、過去に少し深めに特許分析をしたことがありましたが、

今回は、2023年のGFI(Good Food Institute)のCultivated meat and seafoodのレポートの中から、培養魚肉の状況について、特許以外の状況について、かいつまんで紹介をしたいと思います。

なお、GFIとは、代替タンパク質に関する非営利シンクタンクおよび組織の国際ネットワークとなります。

*Commercial landscape

培養魚肉と培養魚肉の開発に主眼を置いている企業数は、2022年の166から2023年の174と、企業数は増加しているとのことです。この企業数の増加は、企業がどちらかというとB2Bのバイオプロセスデザインや、細胞株の開発、また細胞培養培地の開発にもシフトし始め、このことは結果として、将来の培養肉、培養魚肉分野の発展に貢献するものと考えられます。

また、企業等の提携活動状況として、培養魚肉においては、Umami BioworkdsとTriplebarが、培養魚肉の細胞株の開発について提携をしているとのこと、BlueNaluとNutrecoは培養魚肉の食品グレードのサプライチェーンの構築での提携を、Umami BioworksとCell AgriTechは培養魚肉の製造施設の開発での提携を、また、Umam Bioworksと日本のマルハニチロは日本の培養魚肉産業のためのインフラの構築での提携をしているとのことです。

流通におけるパートナーシップとしては、BlueNaluが三菱商事、Pulmunoe、そしてThai Unionと、BlueNaluの製品の上市に向けた市場戦略についてパートナーシップを結び、またBlueNaluとNEOMは、BlueNaluの製品の商品化、マーケテイング、そして流通におけるパートナーシップを結んたとのことです。

*Consumer insights

培養魚肉に関して、日本、シンガポール、韓国、そしてタイの4か国の消費者に対する調査では、培養魚肉には水銀や重金属の蓄積という懸念がないというのが、興味を持つ一番の要因になっているとのことです。
一方でこの4か国の消費者から上げられた障壁としては、風味の欠如や、新鮮さ、自然さに関する懸念とのことでした。

*Science and Technology

新たな細胞株や培養条件が毎年発表されるたびに、より多くの研究グループが、小規模のバイオリアクターとともに細胞培養製品のスケールアップを繰り広げ、足場を利用した3D細胞培養や、製品プロトタイプの作製を行うことで、味、風味や栄養についての分析が行われることが可能になるとのことです。

培養魚肉に関しては、繰り返しとなりますが、2023年に、Umami BioworksとTriplebarがパートナーシップを結び、培養魚肉の細胞株の開発の促進が行われるとのことです。

なお、細胞培養培地については、これまでのところ、哺乳類および鳥類の細胞および培地に関する研究がほとんどであり、 魚介類細胞に対する培地の最適化については、引き続き主要なボトルネックになっているとのことです。

また、本レポートの52,53頁において研究者のための情報ソースが紹介されているので、本分野の研究に携わる方にとって、参考になる情報が含まれているかと思います。

他にもこのレポートにおいて、培養肉・培養魚肉に関する各国、地域の規制の状況などの紹介もされているので、ご興味のある方は、是非一度、リンク先にある本レポートに目を通していただければと思います。

なお、本レポートはこの他に、"Fermentation", "Plant based"のシリーズもあり、これらについては、別途Spotifyにて簡単に概要(私の興味に偏っているかと思いますが)を紹介できればと思っています。


*エトワール国際知的財産事務所 

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