「フリーランスはタダ働きしてはいけない」は本当なのだろうか

暇なので「タダ働き」してみたら

この1ヶ月くらい休暇をいただいていていたのだけど、いろんな事情があって東京を離れるわけにもいかなかったので、ちょこちょこ近場でいろんな人に会っていた。

もともと知り合いに会社やってる人とか、これからスタートアップやろうという子が多いこともあり、流れで新しいビジネスの立ち上げやプロモーション、メディアや出版についての相談を受けることも多かった。

そのうちのいくつかは「仕事」としてやってもらえないかと依頼をされた。ただ、今はお金を貰って仕事を受けることはしたくなかったので、無報酬で「お手伝い」をさせてもらうことにした。

現況の自分の立場がフリーランスだったら、こういうことは絶対やらなかったと思う。初見の人に「ちょっと相談が…」と言われても、お断りすることがほとんどだ。「自分の時間」が商品であるフリーランスがこんな話をいちいち聞いていたら食っていけなくなる…と思っていたからだ。

だけど、実際こういう感じでラフに仕事に関わらせてもらって、もしかしたらそれは自分の思い込みだったのかも?と思った。

条件付きなら「タダ働き」もありかもしれない。とくに駆け出しのうちは。

単価を上げる努力をしているフリーランスはどのくらいいるのだろうか

自分の周囲を見渡しても、フリーランスが「食べていく」こと自体はなんら難しいことではないと思う。ただ、「その人がサラリーマンの道を選んでいた場合以上に明確に稼げているか」という観点で見ると、該当者の数は絞られる。20代は良いけれども、会社員が年収のあがる40代、50代になると、年齢相応に稼げなくなってくる人が増えてくるからだ。

体が1つしかないフリーランサーが40代、50代になったときに年相応の収入を得る方法は、もう1つしかない。仕事の単価を上げることである。

ところが、フリーランサーでこの努力をしている人は意外に少ない。職人肌の優秀な人ほど、1つのクライアントに囲い込まれていて、仕事の単価がもう何年も上がっていないというような場合が少なくないのだ。

もちろん、古い付き合いの大口クライアントは大事ではある。ただ、1社の仕事だけをコツコツやっていても報酬はなかなかあがっていかない。同じところで長く働いていれば給料が上がっていく会社員と違って、フリーは少しづつでも「新規」を受けて、より良い条件を引き出していかないといけない。

フリーランス人口の増加で「ハズレ」を引く可能性が増えた

一方、発注者側の視点に立つと、こうした経験豊富で優秀なフリーランサーになかなか出会えないという悩みがある。彼らは多忙であるがゆえに新規の仕事を求めてくることもないので、もともとの知り合いでもない限り出会うことができない。

そうなると必然的に仕事を頼むのは、まだ実績が少ないフリーランサーが中心になってくる。

これがけっこうな「博打」だと感じている。正直なところ、ここ数年はフリーランサーの実力差が想像以上に広がっているので、結果的に相場報酬が「高い」と感じるケースも少なくはない。

なぜこんなことになっているのかというと、ここ数年「フリーランスはタダ働き(安売り)してはいけない」「ノーギャラの”相談”はできるだけ断るべき」といった意識が高まっていて、まだ実績がほとんどない人ですらもこれを実践してしまっているからではないかと思う。

ノーギャラで始めても実力のある人はすぐに高くなる

最初に相場より低い報酬で仕事を請け負うことに不安を感じる人もいるだろうが、そこは心配無用だ。フリーランスにおいては、仕事が出来る人のギャラは一瞬で高騰する(少なくとも相応にはなる)そこが一度給与が決まるとなかなか上がらない会社員とは大きく違うところだ。

ちなみに、最近自分が関わった中で最もギャラが上がった人といえば、Web漫画家のかっぴーだろう。かっぴーは、私が編集長をしていたkakeruというWebメディアで彼自身にとって初めての連載を持ってくれたのだけど、そのときのギャラは恐ろしくてここでは言えないくらい安かった。

それでも、かっぴーは「いいっすよ」と快く引き受けてくれた。おそらくそのとき彼は「今は目先のお金を追うフェーズではない」と考えていたのではないかと思う。

その後の彼の活躍は説明するまでもないが、彼が最初の段階で「仕事を吟味する」よりも「露出を増やす」ほうを選んだのは、私は正解だったと思う。結果的に、最速で単価が上がったわけだから。

重要なのは常に「選べる立場」に身を置くこと

そんなわけで、「タダ働き」や「安売り」もあながち悪とは言えないのではないかと思い始めているのだが、1点だけ注意してもらいたいのは、これを実践する場合1つのクライアントに縛られてはいけないということだ。

このタダ働きの肝は「取引先の選択肢を増やす」「複数のオファーを引き出す」というところであって、安売りセールではない。タッチポイントを増やすことによって、自分のポジションを「選ばれる立場」から「選べる立場」に転換することが重要なのである。

これって「婚活」とかにも通じるものがあると思うのだけど、最初から「こういう条件で」と決め打ちでいくとなかなかそういう相手は見つからないし、見つかっても選んでもらえなかったりする。だけど、ちょっと(ぐっと)ハードルを下げて自分を「非モテ」から「モテ」に転換すれば、気づいたらいつのまにかその条件をクリアしている人と結婚できていたりする。

異性関係にせよ仕事関係にせよ、その人の本質的な価値なんてちょっとの付き合いではわからないものだ。とすれば皆何で相手の価値を判断しているのか?

私は、これはその人からにじみ出る「自信」だと思っている。

どのような人であれ自信がある状態の人は輝いて見えるし、価値があるように見える。その自信を支えるのは「他者から必要とされている」という確信なのではないかと。

少なくとも今回私はいくつかの「タダ働き」を通して、人に盛大に感謝されたり、今後の仕事のオファーをもらったり、金銭でない対価をいろいろといただいたりして、「お、自分も捨てたもんじゃないな」と思えた。

ちなみに、いまはオファーをもらっても受けられないので仕事の類は断ってるんだけど、断れば断るほど条件が良くなっていくのも面白いなぁ、と。

なんか「既婚者のほうがモテる」っていうのに通じるものがあるなと思った。まとまりないですけど。


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コメント6件

わかるなー!って読んでたら、ぼくが例に挙がっててどきっとしたw ありがとうございます
最後のところですが、たしかに一度仕事を断ってから、単価の高い仕事を振ってもらえるようになりましたね。
こんにちは。ご投稿を斜め読みしました。当方フリーランスカメラマンでして全然食えないのでボランティアで撮るのは考えにくいのですが、えとみほさんお考えは極めて健康的で正しいと思います。要は「法律と公序良俗に反さないなら個人の考え自由」ですから。
ただし「既婚者のほうが…」のとこでは笑ってしまったし、ちょと違うと思いますよ♪
フリーランス2年目です。身にしみますねぇ〜〜。単価を増やす施策を考えないと。
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