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イスラエルのスパイがマレーシアに?

 ラマダーン月ももうすぐで終わりますが、きな臭いニュースが報じられました。どうもイスラエルのスパイがマレーシア国内で何かをしようとしたようなのです。


■事件の経緯

 事件は3月27日にクアラルンプール市内のホテルで拳銃6丁と実弾200発を持っていたイスラエル国籍の男(36)が逮捕されたことに始まります。
 
 この男は3月12日にフランス旅券をもってマレーシアに入国。その後に運転手を雇い、銃も購入。そして、銃は暗号通貨を通じてマレーシア人夫婦から買ったと自供しています。

 逮捕された男は、「家族の諍いによりマレーシアにいるイスラエル人を殺そうと思い、銃を購入した」と説明しているようですが、国家警察はこの動機を鵜呑みにしていません。

 警察がさらに捜査を続けると、トルコ国籍やジョージア国籍の男らも関与していることがわかり、マレーシア人夫婦や運転手も含めてこれまでに12人以上を警察は逮捕しています。イスラエルの報道では36歳のこの容疑者は同国のマフィアのメンバーだとも報じているようです。

 警察はこれ以上の情報を開示していませんが、警察はマレーシア国内で何らかのテロ行為を起こそうとしていたのではないかと疑っていて、政府要人の警備を強化しています。

 情報は少ないのですが、これは少しきな臭い話です。ただ、実はイスラエルによるマレーシアでの諜報活動というのは、今に始まったことではなく、2022年にも大きなニュースになったことがあります。

■2022年にはパレスチナ人が誘拐

 2022年9月末にこちらもクアラルンプール中心部でパレスチナ人のプログラマーが複数の男に誘拐される事件がありました。

 この男性はパレスチナの政治組織ハマスの関連ITプログラムの開発を行っていたようで、イスラエルの諜報組織モサドが誘拐を仕掛けたようです。クアラルンプールに住む人なら誰でも知っている通りで夜に誘拐され、目隠しをされて2日ほど拷問を受けていました。

 警察の懸命な捜査の結果、男性はクアラルンプール郊外の民家で無事に発見されて解放されました。さらなる捜査でマレーシア人13人が逮捕され、起訴されています。警察は公表していませんが、地元紙はモサドによる犯行だったと報じています。

 マレーシアはパレスチナを国家として認めており、国内にも多くのパレスチナ人が住みます。マレーシアはイスラーム諸国のなかでは優等生の国として認められ、中東などから多くのイスラーム教徒が移り住む場所としても有名なのです。パレスチナ人が多く住むということは、一方でイスラエルからすると多くのパレスチナ人が移り住むマレーシアを危険視していることにもなります。パレスチナの注意人物もマレーシアに入ってくることも当然あり、イスラエル側はこういった人物を追跡しているのでしょう。

 今回、武器などを購入した容疑者はおそらく誰かを暗殺しようとしていのは間違いなく、それがパレスチナ人だったのかどうかはわかりません。ただ、中東の紛争はマレーシアの国内にも持ち込まれている格好となっており、マレーシアにとってパレスチナ問題は他人事ではないのです。

 
 パレスチナで何かが起こるとマレーシア国内は騒がしくなります。特に抗議デモがクアラルンプール中心部のアメリカ大使館周辺で展開されることがよくあります。

 日本人にとってパレスチナとは遠い国のような感覚ですが、マレーシアに住んでいると遠い国ではなくなります。これはミャンマーのロヒンギャー族問題も同様で、クアラルンプール市内にも多くのロヒンギャー族が住みますが、これとてマレーシアにとっては深刻な問題。いろんな人をマレーシアは受け入れてきているので、それだけ寛容な国とも考えられますが、一方でそういった人たちを受け入れると他国の問題が国内の問題にもなったりする。これは難しい問題ですが、日本もこういったところを見習ってもらいたいものです。

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