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フランスのバターは皆発酵バター。あれ以外は!?

パリの製菓学校に皆さんお連れすると、目の前のいくつかのバターを指して、発酵バターってどれですか?という質問をよく受けます。
えっと、結論から言うと、フランスのバターは、99%発酵バターなんです。なので、発酵バター(beurre fermenté)などという呼び方はなく、普通にバター(beurre)です。

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昔は、牛乳に含まれる細菌が、乳酸発酵を促していたので、その結果発酵風味のバターができていたんですね。

今は、もう販売していないと思いますが、30年前パリにいた時は、牛乳を殺菌しないで作る農家製のバターというのがあって、買って食べていましたが、4,5日経つと強烈な匂いを発しました。


でも、パスツールさんが殺菌法を発明してから、牛乳は殺菌されるようになり、風味がなくなってしまった。だから、わざわざ乳酸菌を加えて発酵させて作るそうです。なので、純粋な牛乳からの発酵ではないので、発酵バターと呼べるかわかりませんが、日本では、こうしたバターを発酵バターと呼んじゃったものだから、そういうことになってます。

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今回、私は業務用ですが、先月の28日にやっと日本に入ったという、ポワトゥー シャラントのAOP、モンテギュのバターを入手!これがコクとナッツのような風味があって美味しいのです。今日のお教室は、生徒さんが、塊のまま味見したいと言うから、バターの塊乗せ松の実のタルト!りんごのシロップ煮も乗せて欲張り!笑。

AOP(アペラッション •ドリジン•プロテジェ)とは、は欧州連合統一の保護原産地呼称のフランス語(英語は Protected designation of origin)です。厳しい生産規定をクリした生産物にだけ与えられる呼称。バターでは、ノルマンディーのIsigny(イジニー)南西部Pouitou-Charente(ポワトゥー シャラント),Deux-Sevres(ドゥー・セーヴル)、Echire(エシレ)シャラント・ポワトゥー地方ドゥー・セーヴル県の村、Bresse(ブレス)ローヌ=アルプ、ブルゴーニュ、フランシュ=コンテにまたがった地域。この地域で生産されたバターにAOPが授けられています。

で、皆さんに人気のBordierのバターですが、どこのものかというと、これは、上記のどこのものでもないです。だからAOPはなし。生産者は、ブルターニュ地方のボルディエさん。しかも、乳酸発酵させていないみたいなんです。そのかわり、クリームにした段階で、何日間か置いて(エージングという)酸味が出るのを確かめ、最後の練る作業を丁寧に行うことによってあの風味を出しているとか?

ボルディエのバターには、Beurre de baratteと表記がありますが、baratte(バラット)とは、攪乳器といって、バターとバターミルクに分ける器械ですが、昔は木製のものでした。写真は、ブルターニュのカンカルで、オリヴィエ ロランジェさんが、かつて彼の三ツ星レストランで供していたバターを作っていたというバラット。現代ではステンレス製多し。

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バラットで作ったバターは、伝統的な製法で作っているという証明なので、ボルディエ以外でも、そう表記されています。

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