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〜リーグでも通用するプレッシング〜 21/12/5 《プレミアリーグ21-22 第15節》 トッテナム vs ノリッジ レビュー

こんにちは。えつしです。


今回は、プレミアリーグ21-22第15節、トッテナムノリッジの試合をレビュー。


1. スタメン

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・スパーズ
ロリス
サンチェス-ダイアー-デイビス
タンガンガ-スキップ-ホイビュア-レギロン
モウラ-ソン
ケイン

22’ レギロン⇄セセニョン
62’ タンガンガ⇄ドハーティ
80’ モウラ⇄ベルフワイン

スパーズは、直近のミッドウィーク、ブレントフォード戦からエメルソンに代えてタンガンガを起用した〔3-4-2-1〕

エメルソンヒルが病欠でベンチ外。


・ノリッジ
クルル
オモバミデリ-ハンリー-ギブソン
アーロンズ-レス=メル-ギルモア-マクリーン-ウィリアムズ
イーダー-プッキ

69’ イーダー⇄サージェント
72’ レス=メル⇄ダウェル
81’ ギルモア⇄ソーレンセン

ノリッジは、直近のミッドウィーク、ニューカッスル戦からルップサージェントツォリスに代えてオモバミデリレス=メルイーダーを起用した〔3-5-2〕


2. 1st half

2-1. スパーズのプレッシング、WBの縦スラとギルモアをどう抑えるか

この試合、意外なことにノリッジがかなりの時間ボールを保持する展開となりました。


3CBアンカーのギルモアスパーズの3トップの後ろに立ち、CBからボールを繋いでの前進を試みるノリッジ


それに対してスパーズ3CBには3トップWBにはWBの縦スラでのプレッシングを敢行。
しかし、ここで問題となってくるのがアンカーのギルモアへの対応でした。


ノリッジWBにボールが出た際に並行にサポートするギルモアに対し、スパーズボランチが潰しにいきたいところでしたが、そのボランチと縦スラで出ていくWBとの間に顔を出してパスを受けようとするノリッジIHを気にして迷ってしまい、ギルモアを潰しにいけばIHに、IHへのパスコースをケアすればギルモアに、という形でパスを繋がれてしまいます。

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特にこの問題が起きやすいのがノリッジの左サイド。
なぜかと言うと、左WBのウィリアムズ右利きギルモアマクリーンへのパスが出しやすいからです。
アーロンズがいる右サイドに対し、明らかにこのウィリアムズのサイドへの対応は難しそうでした。


スパーズ側からすると、これを防ぐためにはWBがボールの移動中に縦スラでノリッジのWBまで寄せ切りIHへの狭いパスコースにパスを通させる余裕を与えないことが重要です。
しかし、逆サイドからギブソンにボールが渡ってきた際にモウラDFラインのスライドが間に合っていないにも関わらず、プレスをかけてしまうことも。そしてタンガンガウィリアムズに対する寄せが間に合わずに前を向かれ、ギルモアマクリーンのどちらにもパスを出すことができる状況を作られてしまうことがしばしば。


試合開始後すぐにこのギルモアへの対処について怪しさが見えたスパーズでしたが、コンテの声もあってか試合が進むにつれてWBの縦スラも速くなり、さらにスパーズのWBとボランチの間に顔を出してボールを受けようとするノリッジIHには左右のCBが出ていって潰しにいくように。

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上図だと、サンチェスマクリーンを潰しにいくことによってギルモアに対してスキップが迷わず出ていけるように。
3トップの誰かがプレスバックギルモアを抑えにいく動きも増え、次第にスパーズプレッシングで試合の主導権を握るようになっていきます。


2-2. フリーのダイアーとノリッジのアンカー脇

次はスパーズのボール保持の局面について。


後ろは3枚でビルドアップするスパーズに対してノリッジ2トップが左右のCBを牽制する形でかなり開いた立ち位置を取り、2ボランチは2IHがみる形。

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必然的にダイアーがある程度フリーでボールを持てる形にはなるのですが、真ん中のCBがボールを運ぶのはなかなか怖いことなのでダイアーもそこまで効果的な運びを見せることはできず。
さらにスキップホイビュアIHを釣って空いたノリッジアンカー脇スパーズシャドーの2人がボールを受けることもありましたが、そこにはノリッジCBが出てきて対応。


ソンモウラの2人はノリッジのCBの迎撃に対して簡単にボールを奪われることはないですが、彼らが楔を受けた後が繋がらず。
シャドーに入った後にレイオフでボランチが受けたりWBがサポートしたりなどのビジョンの共有はまだまだだなと思いました。


また、WBが高い位置を取り過ぎて相手のDFを動かすことができないという問題も。
ノリッジIHスパーズボランチをみる役割になっていたので、WBには中盤のスライドではなくWBが出てくる形になっています。スパーズWBサイドでの個人打開力があり、1対1を作れば抜けるのであれば高い位置でボールを受けて勝負すればいいのでしょうが、彼らはそういう選手ではありません。


WBもっと低い位置でボールを受けてノリッジWB釣り出すことができれば、その裏のスペースにシャドーが流れてのサイド攻略などの道筋が見えてくるのではないかなと。
前線の選手がライン間で受けたときにプレーしやすいスペースを作るためにも、そういった相手の背後への意識、プレーはこれから求められていくものだと思います。


9分18秒という早い段階でノリッジを押し込んだ状況からモウラのゴラッソで先制したスパーズ
負傷のレギロン22分に交代したセセニョンも浮くことなく試合に入ることができ、前からのプレッシングで流れを掴み、とりあえず前半は1-0で折り返しとなりました。


3. 2nd half

後半ノリッジは縦スラで出てくるスパーズWBの裏を積極的に狙ってくるように。
ハンリーウィリアムズへのロングボールでスパーズのDFラインを揺さぶり、ウィリアムズがダイレクトでタンガンガの裏に走ったマクリーンに出すなど、強引にでもスライドして前に出てくるスパーズの守備陣の裏を突こうとしてきます。


しかし、スパーズの守備陣は懸命にその攻撃に対抗。
左右のCBWBが出た裏のカバーでスライドを繰り返し、真ん中のダイアーも後半サイドへ流れる機会が増えたプッキに対し、長い距離をついていって起点を作らせまいと奮闘します。


ダイアービルドアップの面でも貢献。後半は前半と比べてフリーの状態で持ち上がるプレーが増えました。
さらに、前半も少しありましたが、ホイビュアデイビスの位置あたりまで降りる動きを見せます。


ノリッジの2トップはスパーズの左右のCBへの意識が強く、その2トップ開いたポジションを取っているため、ホイビュアはフロントスペースである程度自由にボールを持つことができるように。それによって逆サイドのノリッジIHモウラへのパスコースを消すためにスキップにつききれなくなります。

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このようにして、後半はホイビュアからスキップスキップから上がって並行のサポートを作ったサンチェスへのパスでノリッジの1stDFラインを突破するというような前進が何度か見られました。

このサンチェスデイビスボランチに対して並行のサポートを作って前進する動きコンテチェルシーでもよく見られたものだそうです。詳しく知りたい方は、ぜひ上記の https://twitter.com/tome_beta?s=21 さんのブログの"Advancing side backs サイドバックの前進"の項を参考にしてください。


62分タンガンガに代えてドハーティを入れてプレスの強度を維持し、66分0秒ソンのコーナーキックからデイビスがニアですらしてこぼれたボールをサンチェスが蹴り込んで2点目
76分27秒にはノリッジを押し込んだところからドハーティのマイナスクロスをデイビスが拾ってスキップとのワンツーでPAに侵入し、最後はソンがハンドオフでギブソンからボールをキープしてギブソンが堪らず足を出してブロックにいった後にシュートで3点目

3-0で試合終了となりました。


4. 総括、感想

コンテ就任直後に良い影響を見せ、期待されたビルドアップではなく前からのプレッシングでノリッジを苦しめたスパーズ
試合開始直後はアンカーのギルモアへの対応に困らされそうな雰囲気が出ていたものの、時間が経てばWBの縦スラが速くなったり左右のCBがノリッジのIHを潰しにいくようになったりとアジャストしていけるようになったのはさすがコンテのチームといったところ。


しかし、モウラ後ろの準備ができていない状況でCBにプレスにいってしまったりシャドーが縦パスを引き出しに降りるタイミングが遅かったりWBのポジショニングが高過ぎたりと課題はまだまだありそうです。


5. おわりに

課題がある中でもチームは少しずつ成長を見せ、リーグ戦でもプレッシングで試合の主導権を握れるように。
今後の強敵との戦いまでに、ボール保持の局面でもさらなる成長を期待したいです。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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