22/2/5 《21-22FA杯 4回戦》 トッテナム vs ブライトン
こんにちは。えつしです。
今回は、21-22FA杯4回戦、トッテナム対ブライトンの試合をレビュー。
スパーズお決まりの移籍市場最終日での駆け込み補強も完了し、迎える代表ウィーク明け初戦の相手はブライトン。
今シーズンポッター監督の元ですばらしいサッカーを体現し、シーズン序盤ほどの勢いはないものの侮れない相手であることは間違いないであろうブライトン。
スパーズはそんな相手をホームで迎え撃つことができたのでしょうか?!
1. スタメン
・スパーズ
ロリス
D・サンチェス-ロメロ-デイビス
エメルソン-ウィンクス-ホイビュア-レギロン
モウラソン
ケイン
68’ モウラ⇄クルゼフスキ
69’ ソン⇄ベルフワイン
77’ ロメロ⇄ロドン、ウィンクス⇄ベンタンクール
87’ エメルソン⇄ドハティー
直近のチェルシー戦(代表ウィーク前の試合)からタンガンガ、ダイアー、ドハティー、セセニョン、ベルフワインに代えてロメロ、エメルソン、レギロン、モウラ、ソンを起用した〔3-4-2-1〕。
ロメロ、ソンが負傷から復帰。新加入のクルゼフスキとベンタンクールが早速ベンチ入り。タンガンガが膝、スキップが鼠蹊部の怪我、加えてダイアーも前日に負傷が見つかり欠場。
・ブライトン
R・サンチェス
ウェブスター-ダンク-ククレジャ
ランプティ-グロス-ララーナ-ビスマ-マーチ
モペイ-モダー
46’ ララーナ⇄フェルトマン
61’ マーチ⇄カイセド
70’ ランプティ⇄ウェルベック
79’ モダー⇄ファーガソン
直近の(代表ウィーク前の試合)レスター戦からフェルトマン、バーン、アルザテ、マック・アリスター、トロサールに代えてダンク、ランプティ、ララーナ、ビスマ、マーチを起用した〔3-5-2〕。
2. 1st half
2-1. ブライトンのビルドアップとスパーズの守備
・ブライトン右サイドのビルドアップ、出ていくデイビス
お互い後ろから繋ぎたい者同士のこの試合。まずはブライトンのボール保持の局面からみていきたいと思います。
この日のブライトンのビルドアップは、3バックからククレジャを押し出しての左肩上がりが基本。ランプティとマーチの大外担当の2人が高い位置でスパーズのWBをピン留め。右サイドは、そうやって空いたスペースに右IHのグロスが降りてウェブスターからボールを引き取ります。
このブライトンの右サイドでのビルドアップに対しては、R・サンチェスからウェブスターに出た時点でソンが内からウェブスターに寄せ、降りるグロスに対しては左CBのデイビスが出ていって前を向かせないことで封殺。
スパーズの先制点もこのブライトン右サイドでの守備から生まれました。
・ブライトン左サイドのビルドアップ
左サイドに関しては、ククレジャがいることによって逆サイドのようにシャドーのモウラがダンクに対して内から寄せて追い込む守備ができず。ケインの脇をダンクがドリブルで運ぶことによってモウラがククレジャをみればいいのか運んでくるダンクを止めればいいのか迷います。
そしてモウラがダンクに出ざるを得なくなったところでククレジャに繋いでスパーズの2ndDFラインを突破、というシーンを何回か作ることができていました。しかしそこからスパーズのゴールに迫るには至らず。
ククレジャがモウラの視野内の低い位置でボールを受けたときは、ビスマがサイドに流れてモウラの裏でボールを受けようとするのですが、そこに対しては逆サイドと同様CBのD・サンチェスが出てきて潰しにいきます。
2-2. スパーズの列落ちビルドアップ
ブライトンはスパーズに合わせる形でのミラーゲームを仕掛けてきたかと思いきや〔3-5-2〕と〔3-4-2-1〕の間のようなビミョーな立ち位置。撤退時のグロスの戻り方から個人的には〔3-5-2〕気味だなと思ったのでここでは〔3-5-2〕と定義します。
スパーズはボランチが列落ちしてCBを開かせてのビルドアップが多め。
サンチェスやデイビスが運んでライン間へ斜めのボールを差し込んでいきます。
列落ちせずに3枚でビルドアップする際には、サンチェスとデイビスがかなり幅を取り、グロスがデイビスを意識して開いたところを配給力の高いロメロからハーフスペースのソンへ。そこにはウェブスターが出ていき前を向かせません。
右もハーフスペースのモウラにはしっかりとククレジャがついていきます。
2-3. 1st halfまとめ
うまくボールを前進させることができないブライトンに対してバックラインの数的優位を活かしてサンチェスやデイビスが運ぶことができていたスパーズ。
12分33秒には2-1.で書いた守備でソンがウェブスターのタッチが大きくなったところをボール奪取し、そのままショートカウンターでケインがゴールを決めてスパーズ先制。
23分19秒にはブライトンの崩しの局面でのコンビネーションがうまくいかなかったところから一気にカウンターでエメルソンが独走でPAまで持っていき、クロスかと思ったボールがそのままゴールに吸い込まれて2点目。
30分辺りにはララーナをトップ下、ビスマをアンカー、モダーを左IHに入れ替えて微調整したブライトンでしたが、2-0のまま前半は終了します。
3. 2nd half
後半、ブライトンはララーナに代えてフェルトマンを投入し、〔4-1-4-1〕へと変更。バックラインでスパーズの前線3枚に対して数的優位を作り、スパーズのプレッシングを掻い潜ることができていなかった前半のビルドアップを修正します。
スパーズはブライトンのSBに対してはWBに縦スラさせるのではなくシャドーの内からの寄せで対応。ブライトンのSBを意識してシャドーのポジションは下がり、〔5-4-1〕気味の守備陣形に。
そうなると1トップになったケインの脇をブライトンのCBが運んできます。
さらに後半はアンカーに入ったビスマに対してボランチが出ていくのか、ケインにプレスバックさせるのか、いまいち定まっていないようで、ここ最近ずっと続いているスパーズの課題である"相手の中盤誰が抑えるか問題"がまた見られていました。
ビスマは持ち前の守備力に加えてドリブルでボールを前進させる推進力も兼ね備えており、ケインの裏でボールを受けての逆サイドへの展開や自らの持ち運びでスパーズの脅威に。
実際コーナーキックの流れからロメロのクリアをカットし、左サイドから密集地帯をカットインして62分44秒にゴールを決めてしまいました。
しかし、その直後の65分7秒にはロリスのロングキックのセカンドボールを回収したところからソンがアンカーのビスマの脇でボールを受け、ドリブルで加速してCBのウェブスターを縦に抜きさり、ゴールラインの目の前に溢れたボールにケインが詰めて再びスパーズが得点。
2点差に戻したスパーズはクルゼフスキやベンタンクールといった新加入選手も投入しそのままリードを守り切りました。
ランプティをウェルベックに代え〔4-3-1-2〕に変更したりしながら追い縋ったブライトンでしたが、最終スコアは3-1、スパーズがFA杯5回戦に駒を進めることとなりました。
4. 感想、総括
前半は攻守ともにブライトンを上回り、2点リードで折り返したスパーズでしたが、やはり後半ビスマをいかに抑えるかが定まっていなかったのは気になるところ。
相手の中盤に対するアプローチに関してはずっと僕も前から書いているようにしばらく続いている課題なので改善していきたいポイントでしょう。
初出場となったクルゼフスキとベンタンクール。クルゼフスキはSBからCBへの二度追いなど、聞いていた通り守備意識の高さはしっかりと見られました。
カウンターの際に気になったのが、目の前の相手に正対して運んでいき、相手をロックしてオーバーラップしてくる味方を使えればその相手を置き去りにできるところを、敵に向かっていくドリブルが怖いのか、相手を避けるように斜めにドリブルして逃げてしまうこと。
ベンタンクールは確かな足元の技術と対人守備の能力を見せ、すぐにフィットしそうなパフォーマンス。
技術はあるもののボールを受ける前の準備が足りず、ピルロ政権下でのレジスタではイマイチ輝けなかったと聞いていましたが、この試合ではフロントスペースでボールを受けた際のプレーも安定しており、ある程度試合も落ち着いていた今回のような試合ではなく、これからリーグ戦でスタメンで使われた際にはどこまでやれるのか気になります。
5. おわりに
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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