〜後ろに重たい。逆足WBの是非〜 22/1/9 《21-22FA杯3回戦》 トッテナム vs モアカム
こんにちは。えつしです。
今回は、21-22FA杯3回戦、トッテナム対モアカムの試合をレビュー。
試合前の記者会見でコンテ監督はターンオーバーを示唆していましたが、チャンスを得たスパーズの選手たちはここで自らの実力を示すことができたのか?!
1. スタメン
・スパーズ
ロリス
タンガンガ-ロドン-デイビス
ドハティー-ロ・チェルソ-ウィンクス-エンドンベレ-セセニョン
ヒル-デレ・アリ
69’ デレ・アリ⇄ケイン、エンドンベレ⇄スキップ、ヒル⇄モウラ
86’ セセニョン⇄エメルソン
89’ ロ・チェルソ⇄スカーレット
スパーズは、直近のミッドウィークチェルシー戦からロリス、サンチェス、エメルソン、スキップ、ホイビュア、モウラ、ケイン、ソンに代えてゴッリーニ、ロドン、ロ・チェルソ、ウィンクス、エンドンベレ、セセニョン、ヒル、デレ・アリを起用した〔3-5-2〕。
予想通り大幅なターンオーバー。
・モアカム
カーソン
クーニー-マクラフリン-オコナー-ビドー-リー
マクローリン-ディアグラガ-マッカルモント
アユンガ-ストックトン
58’ アユンガ⇄オビカ
65’ ビドー⇄ギブソン
77’ ディアグラガ⇄ウィルディグ、クーニー⇄カラム・ジョーンズ
モアカムは、直近のドンカスター戦からレザーレン、ギブソン、グナハワに代えてカーソン、クーニー、ビドーを起用した〔5-3-2〕。
2. 1st half
ソンとベルフワインを怪我で欠き、試合前の記者会見でコンテが言っていたように17日間で6試合に出場しているケインはここで休ませたいという状況のスパーズは、この試合ヒルとデレ・アリの2トップにして〔3-5-2〕で臨むことに。
そしてモアカムは調べる限り普段から慣れ親しんでいるであろう〔5-3-2〕。2トップでアンカーのウィンクスを監視、運んでくるスパーズの左右のCBにはIHが出ていって対応する守備。
スパーズはこのブロックを壊すことがなかなかできません。
〔5-3-2〕の相手を崩すには、左右に揺さぶってサイドで2対1を作っての打開や3センターのギャップを広げてその間に顔を出しての中からの攻撃があります。
この日のスパーズは2IHのポジションが低く、ロ・チェルソはモアカムの3センターの前、エンドンベレは左サイドの低い位置でボールを受けることが多く見られました。
それだとスパーズのWBにボールが渡った際にモアカムのWBに対して2対1を作ることができずサイドを攻略してのクロスという形を作れません。
揺さぶって3センターのギャップを開かせ、そこに顔を出し縦パスを引き出すという形に関しても、IHが低い位置で出し手の位置にいるので縦パスが入った後のサポートがなくなってしまいます。
ヒルはこういった場面でパスを引き出す役割が得意なプレーヤーですが、ロ・チェルソも絡んでの効果的な崩しはあまり見られず。タンガンガが攻撃参加してきた際にヒルが縦パスをワンタッチでタンガンガに捌いてパス&ゴーでニアゾーンを取りに行く動きからグラウンダーのクロスをあげるようなシーンはありましたが、孤軍奮闘感は拭えません。
相手のWBに対して2対1を作るにせよ、3センターのギャップで縦パスを引き出すにせよ〔5-3-2〕を相手にしたときは速いサイドチェンジでどんどん揺さぶりたいというのが前提にあります。
そしてその揺さぶった先で待つ選手が逆サイドのCBではなくIHだったのがこの日のスパーズがうまくいかなかった理由です。
この試合、モアカムの2トップはスパーズのWBがボールを持ったときにウィンクスへのパスコースを切るのではなく、CBへのバックパスを切る意識が高いように見えました。
なので、ウィンクス経由でのサイドチェンジは比較的やりやすく、上記のような場面でロ・チェルソではなくタンガンガがウィンクスからの横パスを受け、左WBのリーに対してドハティーとロ・チェルソで数的優位を作り、大外から攻略していきたかったところです。
このCBがポジションを上げて並行のサポートを作るプレーはノリッジ戦でサンチェスが見せていました。
https://note.com/etsushi_football/n/n46aadeb4a9e2
↑ノリッジ戦のレビューはこちら
さらに、2トップでウィンクスをみる形にはなっていたものの、2人の間が広く、ロドンからウィンクスにパスをつけることができそうな門ができていることは何度かありました。もっとそのパスコースを使えていれば、アユンガとストックトンの2人は中を締めるポジショニングを取らざるを得なくなり、スパーズの左右のCBはドリブルで運びやすくなったと思います。
そうすれば、CBを経由するよりも速い、上図のようにWBからウィンクスを経由してのサイドチェンジもしやすくなっていたかなと。
3. 2nd half
スパーズはハーフタイムにドハティーとセセニョンのサイドを入れ替え。左右に逆足のWBを置いた布陣に。
前半大外でモアカムのWBに対して2対1を作って攻略することができていなかったことから、WBを逆足にしてカットイン、またはヒルやデレ・アリへの楔を入れやすくすることが狙いだったのかなと思います。
2.であげたウィンクスからのサイドチェンジの横パスを受けるのがIHであることは変わっていませんでしたが、CBのインナーラップは増え、そこで攻撃に厚みを持たせようという狙いが見られました。
個人的には、スパーズのCBがインナーラップしてモアカムのボールサイドのCBがそれについていっておらず、インナーラップしたCBを使えば深い位置からのクロスがあげられそうな場面でもWBがカットインを選択しているような場面があったので、この変更はそこまでハマっているとは感じませんでした。
インナーラップするCBで相手に択を迫り、相手の出方を見てカットインかポケットに侵入する味方を使うのかを判断できればこれもまた武器になってくるのかなと思いますが、この試合ではややカットインへの意識が強すぎる感じはありました。
決してうまくいっているとは言い難い状況でしたが、69分にエンドンベレ、デレ・アリ、ヒルに代えてスキップ、ケイン、モウラの3人を一気に投入し、〔3-4-2-1〕に変更。
ケインがライン間でフィジカルの違いを見せつけ、左サイドでドハティーが得たFKをウィンクスが直接決め、73分43秒に同点に。
84分59秒にはモウラがマクラーリンからボールを奪い、そのままショートカウンターで自ら勝ち越し弾。
直後の87分2秒にはケインがオコナーを背負ったところから足元で小さく足を振り、3点目。
最終的にはスパーズが主力を投入して3-1での勝利となりました。
4. 総括、感想
またしてもリトリートして引いてくる相手に対しての課題を突きつけられたスパーズ。
IHの位置取りが低く、後ろに重たい陣形では〔5-3-2〕を崩すことができず、やりたくなかった主力の投入を余儀なくされました。
個人的なスタメン組のMVPはブライアン・ヒル。フィジカルではモアカムのCBに劣るものの、積極的にライン間に顔を出しフィジカル勝負に持って行かれないようワンタッチで捌いてすぐに動き出して自ら裏でボールをもらおうという判断、オフザボールの献身性は引いた相手を崩すために今のスパーズに必要なピースのように思いました。
一方で、ストックトンなどモアカムのCFに対してプレミアリーグのCBの実力を見せつけられなかったのはロドン。
分厚い体躯を相手に簡単にボールを収められてしまい、表情やジェスチャーからはチーム内での今の自分の立ち位置への不満や複雑な想いを勘繰ってしまいました。
5. おわりに
3部の降格圏に沈む相手にも変わらない課題。ここからの数試合は強豪相手の試合が多く、こちらが主導権を握って押し込む時間はそうないと思いますが、その後の格下相手のリーグ戦、2.であげたような修正点をいかに改善できるか注目していきたいと思います。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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