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【雑記】 夢を叶えた後

若い頃に抱いた夢/目標を叶えるために突っ走った20代と30代前半。その達成に目処がつくと、うつ的症状に突然襲れてしまう。なにもやる気が起きず、そもそもなぜ生きてるんだろう、と生きる気力さえなくなり始めた。中年危機/Middle Age Crisisともいうらしい。今では大分回復したが、そんな泥沼からどうやって這い上がれたのか、忘れないうちに記しておいた。




きっかけ

きっかけは10年かかった博論執筆に終了の目処が立った30代後半。当時私は日本の某企業で働いていた。毎日朝5時におき、7時頃まで研究に費やし、飯を食べて出勤。夜に帰宅して飯を掻き込んでからまた夜の12時過ぎまで研究。土日はもちろん研究。研究してないと罪悪感を覚えるレベル。

そんな、日本の大学受験生のような生活を28歳くらいからずっとやっていた。今思えば、子供がいなかったから出来た事。色々と我慢させてしまった妻にも感謝。

書き終わった論文を指導教官に送付。するとハッと気づいてしまった。ああ、これで博士論文が終わるのか、これからどうしよう、と。些細な気づきではあっただが、今思えばこれがきっかけですべての始まり。

本来、博士号取得は人生・キャリアの一つのマイルストーンであってゴールではない(研究者としての運転免許のようなもの)。しかし博士研究はとてつもない根気とエネルギーが必要で、ほぼ完全の没頭していた私の中で、徐々に目的化していってしまったらしい。

博士号取得という目的地が彼方に見え始めた時、もう終わってしまうか、次どうしようか?と自問自答することに。論文書いたり、仕事頑張るなり、家族大切するなり色々あるが、どれもすべてを注ぎ込んでいた博士研究に代わるものではない気がしてしまった。30台後半だった。

専門家に診断されたわけではないが、おそらくこれが燃え尽き症候群だったのではないかと思う。この絡み付いてくるような脱力感に毎日襲われ、なにもやる気が起きず、そもそもなぜ生きてるんだろう、と考えるように。

②症状悪化

そんな時、パリの国際機関でのお仕事の話が舞い込んできた。職を変えれば状況も好転するかな?と思い、安定を捨てて思い切って「攻め」の転職&パリへ引っ越しをしてみた。結局どうなったかというと、転職先の国際機関で色々とありすぎて(詳細は下記)、精神状態が余計悪化することに。週末は家のソファーの片隅で、延々とスマホをいじっていた記憶がある。

※転職先の国連機関での騒動は下記から

悪化要因のもうひとつが、国際機関で働くという学生時代からの夢をかなえてしまったこと。あるべき論で言えば、そこで働くこと自体を夢にするのではなく、そこでの勤務を通じて社会貢献することこそが夢であり目標であるべき。無論、当時の私もそう考えていないこともなかったが、国際機関の世界に足を踏み入れただけでもう十分と思ってしまう自分もいた。

というわけで、博士号取得と国際機関という人生のマイルストーン2つに到達した自分は、40代突入を前にして、人生の意義みたいな答えのない問いを考え始め、どんどん泥沼にはまっていってしまう。

散歩したり、友人と話したり、本読んだり、スポーツしたりしたが、全然ダメだった記憶がある。まとわりつく倦怠感や虚無感を抱えつつも、何とか仕事をこなし、サバイバルしていた記憶がある。

③変化と改善

結局、症状に改善が見られたのが、2020年、初の子どもが誕生した時。生誕当初、妻に感謝しつつも、醜い猿みたいだなと内心思っていた赤ん坊の息子。が、しっかりした顔つきになっていくにしたがって、愛おしい、という感情が私の心の中で芽生え始めたらしい。昔の日記を振り返ったらそう殴り書きされていた。

たしかに、今では彼の成長を毎日見ることが出来ることに幸せを感じ、それが生き甲斐になっている感がある。

無論、日々大変なことも多いが、それも含め、もはや何で生きているんだろうなどと考えることも自然となくなり、仕事は適度に抑え、子どもとしっかりと向き合うことに時間やエネルギーを注ぎ込むようになった。

というわけで改めて、立ち直るきっかけを与えてくれた長男と子を産んでくれた妻に感謝。結局、人が幸せになる条件は、人との良好な関係に始まり、それに終わる、という「ハーバード式幸せな人生の過ごし方」に書かれていた教えを実体験した形。

最後に

以前呟いたが、他の方々は夢を叶えた後どうされているんだろうか。

空虚感に襲われそこから中年危機チックな状態へ突入していった私の答えは家族含め自分の周りにいる人たちのために時間を使う、だが、きっと新たな夢を見つけ継続して邁進し続けられるエネルギッシュな人もいるし、そういう人たちが尊敬に値するし歴史に名を残すのだろうと思う。

てなところでこの雑記/備忘録を終える。


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