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骨粗鬆症患者への骨密度検査は、思ったほど頻繁には行われていない?

こんにちは。株式会社ユカリア データインテリジェンス事業部の城前です。

今回は、骨粗鬆症治療における骨密度検査の実態について、弊社の電子カルテデータベース、ユカリアデータレイクを用いて見ていきたいと思います。

日本骨粗鬆学会のガイドラインでは、骨密度の評価を定期的に行うことが推奨されています
そのため、骨密度が定期的に測定され、それに基づいて治療方針の変更が随時行われている、というイメージがあるかもしれません。

しかし、今回の調査では、そんなイメージとは異なる治療の実態が見えてきました。


【ポイント】

①調査の目的

骨粗鬆症治療の評価に用いる骨密度の検査数値や、YAMと呼ばれる指数は、電子カルテデータにおいて、血液検査結果や尿検査結果などが記載される検査値データには含まれず、医師所見の含まれるテキストデータに記載されることが多くなっています。

そのため、一般的な医療用データベースでは、

  • 検査値の実態

  • 検査が行われるタイミング

  • 検査の実施頻度

が把握しづらい状況があります。

今回は、弊社の電子カルテデータベース、ユカリアデータレイク内のテキストデータからこれらの値を客観的なデータとして読み取ることができるかどうかを検討するとともに、その読み取り結果から得られることを考察したいと思います。

②DEXAとYAMについて

骨密度の検査法として最も代表的なものがDEXA(Dual Energy X-ray Absorptiometry)で、日本骨粗鬆学会のガイドラインや海外のガイドラインでも推奨されています。

被ばく量が極めて少なく(胸部レントゲンと比べると1/6程度)、患者さんの負担が少ないうえに、検査結果も分かりやすいとされています。

また、骨粗鬆症の指標として用いられるのがYAM(Young Adult Mean)で、「若年成人平均値」というものです。

「対YAM(%YAM)」は、若年成人(20~44歳の健康な人)平均値を100としたときの現在の自分の骨量の割合を表しています。
80%未満は要注意、70%以下まで減ると骨粗しょう症と判定されます。

③調査方法

骨粗鬆症治療薬デノズマブが投与されている症例のうち、DEXA法による計測が複数回実施され、その数値が読み取れた14症例を対象としました。

テキストデータを閲覧し、デノズマブ投与期間中に骨密度がどのように変化したかを確認しています。

デノズマブ投与された時点のDEXA法の計測結果を基準とし、テキストデータにおいて最後にDEXA法の計測がされた日、計測結果を治療成績の確認期間としました。

転帰や投与期間の最終的な長さは、この期間にこだわらず、全て確認を行っています。

④14患者の症例

対象症例のサマリーです。
年齢構成は、50代が1名、60代が2名、70代が6名、80代が4名、90代が1名となっています。

症例1~7
症例8~14

DEXAによる計測期間をグラフ化したものが以下となります。

DEXAの計測期間

なお、後述する各患者さんの個別症例にも記載していますが、
「薬剤の投与期間に比べて、DEXAによる計測は比較的短期間で終わっている」という傾向が全体的にみられます。

DEXAによる計測回数の分布はこちらです。

DEXAの計測回数

計測期間の傾向と同じく、長期的な評価というよりも、「薬効の確認」といった位置付けで行われていることが推察される結果となりました。

以下、14症例に関する、投与開始時からDXA最終計測時までのスコアの変遷をグラフ化しています。

定性データとして読み取った内容を含め、治療経過の概要も記載しています。

⑤結論と考察

  • 骨粗鬆症の重症度と骨密度検査測定の回数・頻度の間には明確な相関は見られなかった

  • 骨密度やYAMの数値が記録されていない症例も多くみられた

  • 医師にとって、骨密度は治療方針を判断するための決定的な要因ではない。骨密度以外にも、骨質や筋力、生活習慣など複数の要素を総合的に勘案して判断を行っている

  • DEXAの経時的変化だけでなく、治療の変遷や患者の状態を複合的に見ることで、骨粗鬆症の実臨床における病態や患者、医療従事者の考え方を学ぶことができる

  • リミテーションとして、電子カルテの医師所見に医師が直接入力するため、DEXA法による測定結果が断片的にしか記録されていない/記録方法が客観的に確認できない ケースも多く、全症例における調査は難しい

以上、骨粗鬆症治療における骨密度検査の実態についての調査結果でした。

弊社の保有する独自の電子カルテデータベース「ユカリアデータレイク」では、定性的なテキストデータを含めた分析が可能です。
そのため、今回のように通常の検査値データには含まれない情報に関しても調査対象とすることができます。

ユカリアでは、
独自の電子カルテデータベース専門家(医療従事者・アカデミア)ネットワークを強みとした
製薬企業様のマーケティング・営業活動をご支援する調査・コンサルティングを行っています。
詳細や事例にご関心のある方は、以下までお気軽にお問合せください。

株式会社ユカリア データインテリジェンス事業部
お問合せ窓口:pharma.biz@eucalia.jp

今回もお読みいただき、ありがとうございました。

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