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運動すればストレスはかなり減る

 3月からジムに通い始めた。東京に住んでいた時分から、なんとなくジムを契約してしばらく行ってからは足が遠のき、やがて退会する・・・というしょうもない動きを繰り返していたのだが、函館に住むようになってからはいろいろと状況が変わったこともあり、ほとんど毎日のように行っている。

 一番の要因は、年を取ったので身体を動かさないと読書や勉強を続けられなくなってきたことを身を以て実感していることかもしれない。去年はジム通いはしておらず、iPadやパソコンを使って情報収集や勉強をしていたが、クルマで図書館に行けるようになったこともあり、紙の本と紙のノートに手書きして勉強などもするようになった。デジタルでもアナログでも、丸一日作業に集中していると次の日は全然集中できなくなるようになっていた。別に疲れを感じるわけではないが、作業を始めたとしてもやる気が出てこないというような状態になることがしばしばだった。

 運動不足は実感しつつも、何もジムを契約せずとも外を散歩すればいい、とも思っていた。しかし、外で散歩するというときは基本的に汗をかかない程度の強度で歩く。そういう「ただ身体を動かしている」状態と、ジムのランニングマシンで心拍数を上げて、有酸素運動をするというのは明確に異なる、ということが最近ようやくわかった。ジムでもランニングマシンでスマホを眺めながらただ身体を動かしているだけの人々も多くいるが、あれも無駄ではないにせよさほど有効な運動の仕方ではないように思う。あと函館は寒すぎて、冬場は外を歩きたくない。東京とは寒さの質が違う。

 有酸素運動を1日20分でも行っていると、世の中のたいていのことがどうでもよくなってくる。定住することによる運動不足は、身体や脳への負荷・刺激の不足をもたらして、刺激を求める脳は些細なことやどうでもいいようなことにも過剰に反応して、その刺激の不足を補うようになるのだろう。それでストレスがたまったり、些細なことにイライラしたり、情緒不安定になったりする。いまはジムで走ってきたら余計なノイズにイライラさせられないので、ローマ史や日本史など本当に集中すべき情報に集中できる。読んだ内容を走りながら反芻することで理解も深まる。

 さらに食事もそれほど量を食べなくてすむようになる。有酸素運動を始めた当初は、普段よりもエネルギーを消費したためか食欲が旺盛になって多めに食べていたが、継続しているとむしろ腹にあまり食べ物が溜まっていないほうが身体の調子が良く、1日1食とはいかなくとも2食を軽く食べれば済む。

 東京に住んでいたときと違って、クルマでジムに行けるというのも大きいかもしれない。わざわざクルマでジムに行くなんて、アメリカ人みたいな生活になってしまったと自嘲気味に思っていたこともあるが、先述のとおりただ歩くのと有酸素運動は違うし、筋トレをするのにもジムにいる時間の間に集中的に行うのが良い。東京ではジムまで歩いて数十分かかっていたこともあって面倒だったが、いまはクルマでうろうろして、飽きたらジムに行くという移動の気軽さがある。ジム後に買い物に行くのも気楽である。本やパソコン、着替えなどを持ち歩くのもクルマにおいておけばよい。こういう移動できる個室としてもクルマは良い。

 ちなみにランニングマシンを英語でtreadmill(トレッドミル)というが、treadは足で踏む、millは粉ひき器・水車で、かつて英国で囚人への刑罰として水車のような器具の上を歩かせ、発電や粉ひきなどの動力として使役させたことに由来している。現代では逆に電力を消費して、ジムに金まで払ってわざわざ走りにいくのだから、人の世の愚かさには涙を禁じ得ない。しかし走ればそんなことはどうでもよくなるのだ。

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